はやぽんログ!

使ったスマホは300台以上。スマホネイティブ世代のライターが独自の視点でレビューやニュース、コラムを発信中!

ドコモの GalaxyやXperiaの価格が年々高騰している理由。為替だけでなく、iPhoneやPixelなどの人気端末の割引に充てるためか?

 XperiaやGalaxy の新機種の価格が次々と公表されるが、その中でもドコモだけ異様に高価な設定となることが増えてきている。今回はドコモのスマートフォンが高額になりつつある理由を考えてみたい。

 
高価になるドコモのAndroidスマホ。理由はiPhoneやPixelの原資に充てるためか

 

 キャリアで販売されるスマートフォンがここ数年で高価になりつつある。その中でもドコモは特に顕著に表れている。ここでドコモの代表的なAndroid端末を確認すると年を追うごとに大きく値上げしていることが分かる。以下にGalaxy S21~23、Xperia 1シリーズ、Xperia 10シリーズの2年間の価格変化を記していく。

 

Galaxy S21: 9万9792円
Galaxy S22: 12万2012円
Galaxy S23: 13万6620円


Xperia 1 III: 15万4440円
Xperia 1 IV; 19万0872円
Xperia 1 V: 21万8680円

 

Xperia 10 III: 5万1480円
Xperia 10 IV: 6万4152円
Xperia 10 V: 7万9860円


 どの機種を見ても全体的に値上げが目立つ結果となっている。基本的に円安による為替の影響が価格にも推移していると考えられ、Galaxy S21から22への値上げ幅は大きいものの、S23に関しては為替の影響によるものと考えられそうだ。

 

 ところが、日本でも人気を博す「Xperia」についてはそれだけが要因と考えることは難しい。値上げは顕著となり、Xperia 1 IIIは15万4440円と3キャリアでドコモが最も安価だったものが、今年発売のXperia 1 Vでは21万8680円と最も高価な立ち位置にまで高騰している。

f:id:hayaponlog:20230623224518j:image

Xperiaについては年々高騰しているが、キャリア版は特に顕著だ。


 ミッドレンジのXperia 10シリーズも2年前は5万円台と「まだ」お求めやすい価格であったが、今年発売のXperia 10 Vでは8万円に迫る価格だ。この価格はPixel 7aやiPhone SE(第3世代) よりも高価な設定となっている。はたから見たら「誰が買うのか?」と言わんばかりの設定だ。

f:id:hayaponlog:20230623224427j:image

ドコモのXperia 10 Vは8万円に迫る価格となった


 参考までにXperia 1 IIIの価格はauは17万8000円、ソフトバンクは18万8640円だったので、ドコモの価格は他社よりも2万円も安価であった。その代わり、2年後に返却した場合の実質負担額ではドコモが最も高額になる計算であった。

 Xperia 1 Vについてはauが21万0700円、ソフトバンクは別途2万3000円の純正アクセサリー「Xperia Stream」を同梱でして19万9800円のため、ドコモが最も高価な形だ。実質負担額で見てもドコモが高価な点も変わらない。

 

 さて、このように近年のスマートフォンが高価になる理由として、実質1円等の方法でに値引きした人気機種「iPhone」や「Pixel」の赤字分の補填として機能している側面があると考えられる。

 この考えは3月に公正取引委員会がキャリア各社、販売代理店に行ったヒアリングにて「廉価販売した人気端末による赤字分を他の端末の売り上げから補填している」と回答したキャリアがあった。

 ここにきてドコモはauなどに比べても露骨に高価な設定としがちなので、人気端末をお手頃に提供し、そのマイナス分を通信料金や端末料金で補填しようというものと考えられる。

 

 事実、ドコモのPixel 7aはキャリアの中では高価な設定になるが、端末値引きを行って実質1円で販売するなど強気な様子も見られる。より高価なPixel Foldはストアの定価から大きく変わらない設定とする対応だ。

f:id:hayaponlog:20230623224044j:image

Pixel 7aはドコモで5年ぶりの取扱となったPixelシリーズのスマートフォンだ

 

ドコモはかつてのソフトバンクのような「iPhone屋」になろうとしているのか

 

 さて、近年の値上げは円安による部分もあるが、人気のiPhoneやPixelの販売を主軸とする方針。売筋以外の機種は高めの価格にして人気機種の割引きに充てる設定なのではと考えることもできる。

 特に昨年までの売れ筋ミッドレンジであったXperia 10シリーズの価格を、今回あそこまで引き上げている。このことから、ドコモの夏商戦はiPhone SEとPixel 7a。これに6万円台の設定としたGalaxy A54の三本柱で推していくことになる。

 

 そして、ドコモの場合は分割払いの関係で「実質負担額」でも他社より高価になる傾向がある。「スマホお返しプログラム」または「いつでもカエドキプログラム」を適用する場合、端末料金は36分割となるのだが、auやソフトバンクで同様の施策を行うと48分割になる。

 

古い機種では「いつでもカエドキプログラム」の適用ができないため「スマホお返しプログラム」の旨を追記しました。ご指摘に感謝すると共に、お詫び訂正いたします。


 様々な理由でスマートフォンが高価になりつつある今、ドコモの36分割では減免されるのが最後の1年分となるため、2年利用して返却しての実質負担額も高額となる。この辺りは見立てが甘かったと評することもできる。

 

auはGalaxy Foldなどの高額な端末の取り扱いのため、ソフトバンクは「返却したら実質半額」を売りに48分割の設定としていた。

  

 そして、ドコモとは親密な関係で多くの端末を独占供給していたFCNTが会社更生法適用によって事実上の撤退したことも大きい。これでarrowsシリーズが絶たれたことも、同社の取扱ラインナップや他機種の価格設定にも影響していると考えられる。

 

 

 さて、唯一の36分割と言う分割契約でも実質負担額が高めとなるデメリットに加え、昨今の通信品質の悪化によって利用者離れが起こるなど厳しい状態にあるドコモ。

 このタイミングでPixel 7aを取扱ったことで、「Pixelというエサ」で既存顧客の流失をある程度防いだものの、ラインナップ等で優位性を示せているとは思えない。

 

 今のドコモが他キャリアに対して優位性を示すには、もはや人気端末を割り引いて売りさばくことしかない。

 回線品質で引けを取り、端末の強い割引でシェアを伸ばしたかつての「iPhone屋」と言われたソフトバンクのような状態になる。この道しか他社に対して優位性を見出せないのかもしれない。

f:id:hayaponlog:20230623224156j:image

ドコモはiPhoneとPixelという人気機種をエサにして、転入を獲得するしか方法がないのかもしれない

 

 かつては、最も多彩だった国内メーカーのAndroid端末をラインナップに揃えたキャリアだったが、今の主軸はiPhoneとPixel。回線品質は大手キャリアで最悪となったことを考えると、どこか寂しいものを感じる。