日本時間13日。Appleの新型スマートフォン iPhone 15 が発表された。欧州の規制に配慮し充電端子がLightningからUSB Type-Cへ変更となった。ここで実に11年にわたって続いたライトニングコネクタ端子がほぼ終焉を迎えることになる。
Lightning端子
2012年発売のiPhone 5とともに発表されたLightning端子。当初は端子に裏表がなく、刺し間違いがないことも大きな話題を集めた。また、従来の30Pin Dockに比べて大幅な小型化をしたことも注目を集めた。ケーブル側をオス端子とすることで、micro USB端子と比べて物理的にも破損しにくい端子となっていた。
Lightning端子を初搭載したiPhone 5
この端子は Apple 製品内で瞬く間に広がりを見せ、後に iPodやiPadといった主力製品はもちろん、AirPods、Apple PencilをはじめMagic Mouseといった周辺機器等にも採用されるようになった。
その一方粗悪品の防止を理由として、Appleではlightningケーブルに専用のチップセットを組み込んでいる。後にMFI認証と呼ばれるApple のライセンスを取得したものは、このチップが組み込まれており、充電はもちろん、各種アクセサリーとの互換性が保証されたものとなった。
MFI認証を取得したケーブルは1本1000円前後と、100円ショップで買えるmicro USBケーブルよりも高価であった。ちなみに純正品は2780円だ
もちろん安価なケーブルが出なかったわけではないが、過去にOSのアップデートを理由に、互換品のケーブルが利用できなくなると言ったこともあり、消費者から反感を買った時期もあった。
その一方でAndroid 陣営もリバーシブル端子となる「 USB Type- C端子」が2015年頃から採用されるようになった。この流れは後にスマートフォンのみならず、パソコン、ゲーム機はもちろんのこと、2023年現在では多くの機器が USBType C で充電または給電される仕様となった。
現在のスマートフォンはほとんどがType-C端子だ
もちろん、 AppleもUSB Type-Cの採用を進めた。MacBookに始まり、2018年にはiPad Proに採用した。翌年にはiPhone向けの充電ケーブルをLightning to Type-Cにしたりと、周辺機器やiPadを中心にType-C採用のラインナップを広げるものの、iPhoneだけは固くなにLightningのままだった。
Appleとしても省スペース化という言い分はあったものの、転送速度が USB 2.0止まりのLightningでは、ProRes撮影にて行った大容量の動画などをMac等に転送するには役不足という意見も見られた。
加えて、欧州地域内でAppleの独自規格ケーブルが独占禁止法や環境保護に抵触する形となり、電子機器はType-Cを採用しなければ販売を許可しない方針としたことが大きな流れとなった。最も、今日に至るまで対応し続けたのはLightningケーブルなどにあったMFI認証による膨大なライセンス料の存在と言える。
今回、iPhone 15シリーズにてLightning端子を廃止したことによって、このコネクタは11年の歴史に終止符を打った形となる。残されたものとしては、iPad 第10世代で利用するApple Pencil 第1世代といったところだろう。
AppleがLightning端子によって、スマートフォンの充電体験を変えたという事は非常に大きな意味を持つ。コネクタの向きを気にしなくて良いというのは、小さいながらも普段使いには大きなアドバンテージだった。
当時のAndroidスマートフォンではmicro USBが主流であったため、向きを気にしなければならない僅かなストレスや、端子そのものを破損させてしまうことがあった。後にリバーシブルコネクタであるUSB Type-C を早期に普及させることができた背景には、既に同様のコネクタを採用したiPhoneの存在がかなり強く後押ししたと考えられる。
今ではUSB Type- Cの機器がほぼ主流となり、むしろAppleのLightningだけが10年前から変わらずに残された形となった。今回、iPhone 15でType-Cに統一されることで、AppleとしてもMacやiPadとケーブルを共通化できるとアピール。消費者にとっても、iPhone用に別途ケーブルを用意することなく、Type-Cケーブル1本で済ますことができるという点では、非常に大きなメリットとなる。
ちなみにAppleからはLightningからType-Cへ変換するアダプタも合わせて販売されている。必要ないだろと思われがちだが、国や地域によってはこれらの互換のあるアダプタを販売しなければならない場所もあるため、それらに配慮した形となる。
10年以上、我々の当たり前を彩ってきた「向きを気にしなくても使える」lightnig端子。その利便性はType-Cになった今後も変わらず続いていくことになるだろう。