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消費者を困惑させる携帯電話の「頭金」の存在。生まれた経緯と今の状況を解説

 スマートフォンを購入する際によく言われた「頭金」の存在。近年では是正されつつあったが、完全に廃止となったわけではない。消費者としても惑わされる携帯電話業界の頭金について、今回は考えてみよう。

 

一般的な頭金とは今の異なる携帯電話業界の頭金。消費者庁からの注意喚起も

 

 そもそも携帯電話業界で、なぜ頭金という言葉が使われるのかという疑問がある。一般的な頭金の考えは300万円の製品のうち100万円を頭金として支払った場合、残りの200万円をローン等で支払うものだ。
 一方で携帯電話業界で使われる頭金という言葉の意味は「定価に上乗せするもの」となっている。15万円の携帯電話に対して頭金1万円と言われれば、総支払額は16万円になるというものだ。


 そのため、一般的に消費者が考える頭金とは考え方が全く異なることになる。

 この「頭金」については行政のメスが入った。特に消費者庁では、一般的な意味と異なる携帯電話業界の頭金に対して注意喚起を行っている。

 これに対し総務省も問題視するようになってから、頭金0円をアピール店舗が増え始めた。特に家電量販店では、ほぼすべての店舗が頭金0円という形となってる。

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オンラインストアでは頭金0円となっている

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総務省と消費者庁は合同での注意喚起を行なっている

 

携帯電話の「頭金」生まれたきっかけは総務省の「携帯料金見直し」

 

 携帯電話業界の頭金の還元先は一般に販売代理店となっている。この「頭金」は2007年頃の総務省による端末の販売方法を見直す要請の存在を背景としている。

 俗にこれは「端末と通信プランの分離」と呼ばれるものであり、この結果通信プランは安価になった。

 その一方、通信料金を値下げした分の穴埋めと言わんばかりに端末料金は高騰する形となった。これに対し、各キャリアは分割購入と言う形で、実質的な負担額を従来と同等程度に抑える策を取った。
 ただ、端末の値上げが進むこと、分割購入による端末の購入機会損失などによって、販売代理店が利益を確保することが難しくなることが指摘された。このため頭金を事前に一定の金額を支払い、代理店側の利益に充てる考えのもと「頭金」は生まれたのだ。
 

 この頭金という仕組みができた頃には本体価格が7万円を超える携帯電話が出てきており、従来の一括購入から12から24ヶ月といった分割での購入が増えてきた。「分割で買う」という経緯から、頭金という名前の制度になったとしている。


 そのため、携帯電話の頭金は今でも「販売代理店が自由に設定できる料金」としており、基本的に販売している端末の定価に上乗せされる形となっている。極端な話、端末の頭金を10万円に設定したとしても行政指導は受けない形となる。

 

オプションの加入で頭金は無料に。現在はどう?

 

 当初は特定のプランやオプションに加入すると、この「頭金」が割引されていた。例えば、通話定額オプションやキャリアが提供する追加サービスに加入すると、この頭金は無料になるものがあった。
 これはインセンティブ獲得で行われていたものであり、この契約に関する奨励金と言う形で代理店は利益を得ていた。このオプション契約をある程度数を取ることができれば、頭金を支払わなくても、店舗側には利益が生まれる構図となっていた。

 

 消費者としても特定のプランに加入したり、他キャリアからの「のりかえ」であれば、頭金が免除になると考えればお得に利用できるものとなっていたのだ

 

 時代は下り、今ではこのような頭金を無料にする追加オプションはなくなった。このようなオプションの中には、半強制的に加入するようなものがあったこともあり、ある種の強制同意とも言えるものだった。これについては現在、禁止されているといった背景もある。そのため、このような頭金を無料にするオプションがなくなったことで、ただ上乗せされてるだけの金額と言う形で頭金は残ってしまうこととなった。

 

   

「頭金」という名前が問題。販売手数料などに変更してはどうか

 

 

 最後になるが、ここ最近はこの「頭金」が高騰しているといった話題がネット上では見られる。筆者も最寄りのキャリアショップを確認したところ、iPhoneやGalaxyの高額な機種に対して1から2万円程度の頭金が設定されている店舗があった。一方で安価な機種は頭金を安価にするなど、一律ではなくなりつつある。

 

 特に高価な機種に2万円近い頭金の設定はなかなか衝撃的なものだ。近年では残価型のプログラムによって、キャリアで購入する端末は軒並み高価になりつつある傾向だ。iPhoneやPixelに関してもキャリアで購入する場合は、ストア定価に上乗せされる形となっている。これに加えて「頭金」が追加で上乗せとなれば、より高価な印象を与えてしまう。

 

 正直なところ、筆者としてはこの「頭金」という名前が消費者に対して紛らわしいものとなっている。一般的な頭金と異なり、端末料金に対して上乗せされる形であれば、これはある種の「店頭販売手数料」といった名称で徴収すべきものだと考える。

 

 店頭では端末についての知識を備えるショップ店員に対し、目の前で端末の初期設定をしてもらい、必要に応じて普段利用するアプリ等の設定も行ってくれる。不明な点は丁寧に説明してもらえる。そういったサービスへの手数料だと考えればよい。

 

 手数料であれば、定価に上乗せされて請求されるものであるため、購入者としてもモヤモヤが残る事は少ない。これに不満があるのであれば、各キャリアのオンラインショップではこれらの手数料がかからずに購入できる。

 

 代理店の利益確保も大切だが、消費者にとって最も適切な形で評価すべきだと考える。