こんにちは。これまで使ったスマホは300台以上。生まれはギリギリZ世代のライター はやぽんです。
さて、ソフトバンクから発売されたOPPO Reno10 Pro 5G。80Wの急速充電に対応するフラグシップクラスのスマートフォンながら、「のりかえ一括4980円」という破格で販売されている。今回はReno10 Pro 5Gを利用できる機会があったのでレビューしてみよう。
- OPPO Reno10 Pro 5Gのスペックをチェック。80Wの急速充電が特徴
- 2年落ちのミッドレンジ向けプロセッサを採用。価格の割に性能は低め
- 売りのカメラは綺麗に撮れるが、撮影体感はあまり良くない
- 防水性能はReno9 Aを下回る。OSアップデート期間も不透明
- 「ソフトバンクで一括4980円」のインパクトが強すぎて定価で買いたいと思わせてくれないスマホ
OPPO Reno10 Pro 5Gのスペックをチェック。80Wの急速充電が特徴
OPPO Reno10 Pro 5Gは比較的使いやすいスペックを持ちながら、各種独自の機能を備えたスマートフォンだ。グローバル向けに発売されている機種となっており、日本向けに各種最適化が行われている。スペックは以下の通り
SoC:Qualcomm Snapdragon 778G
メモリ:8GB
ストレージ:256GB
画面:6.7インチ FHD+解像度
120Hz対応 OLEDパネル
カメラ
標準:5000万画素超広角:800万画素
2倍望遠:3200万画素フロント:3200万画素
バッテリー:4600mAh
80W充電対応(約29分でフル充電可能)
FeliCa対応
画面内指紋認証
OS:Android 13 ColorOS 13
価格:約8万6800円〜(直販ストア)
パッケージはグローバル版と同様だ
今回選んだものはグロッシーパープルだ。Reno Glowではなく光沢仕上げとなる
画面は6.7インチ FHD+解像度となる。
本体にイヤホンジャックはない。スピーカーはモノラルだ
本体上部にはIRブラスターを備える
やはりこの機種の最大の特徴はSuper VOOCによる80W充電だ。4600mAhのバッテリーを持つスマートフォンを最短29分でフル充電できるため、寝る前に充電し忘れてもリカバーできるのだ。
ソフトバンクでは「神ジューデン」に対応するスマートフォンの第2弾として展開しており、非常に優秀な充電体験を可能としている。
80Wの急速充電時は画面にSUPER VOOC 80Wの表示が出る
専用の充電器は付属するが、独自の充電規格のためOPPOのスマートフォン以外で利用する場合は10W給電となる
画面性能が比較的高い点もプラスだ。8万円のスマートフォンとしては10億色の色表現、120Hzのリフレッシュレートに対応する点は良い差別化ポイントとなっている。スマートフォンとしては画面が綺麗なものの方が、視聴体験としては優位だ。
一方でLTPOには非対応な点と、ピーク輝度は1000nitを下回るひとつ前の世代となる。ここはミッドレンジゆえの差別化と捉えることができるが、バッテリー持ちや使用感に直結する要素なだけに惜しい。
画面は綺麗だが、世代としてはひとつ前のものとなる
2年落ちのミッドレンジ向けプロセッサを採用。価格の割に性能は低め
さて、この機種については惜しいところの方が多い。価格の割に基本性能が低いこと。カメラ性能を売りとしながらプロセッサ性能が微妙なことが惜しい点だ。
まず価格の割に基本性能が低い点は惜しい。プロセッサはSnapdragon 778Gとなるが、正直なところこの時期に出すとなれば賞味期限切れに近いものだ。
このプロセッサは2年前のミッドレンジ向け製品に展開されたSoCとなっており、搭載機種はモトローラ edge 20やnothing phone(1)、Xiaomi Mi11 Lite 5G NEなどとなる。
Mi11 Lite 5G NEは日本でも発売されたMi11 Lite 5Gのバリエーションモデル
これらの製品は当時4〜6万円台で販売されており、発売から2年が経過した今ではゲームなどではスペック不足を感じる場面も見られる。
Reno10 Pro 5Gの8万円という価格に対し、スペックを求めるユーザーに「今から選ぶ」という意味では不向きな製品と評価する。256GBというストレージ量を加味しても、OPPO Reno10 Pro 5Gは価格が釣り合っていないと考える。
原神については待機時で48fpsと50fpsを割り込むことが多かった。少しでも動かそうなら30fps前後とかなり厳しいものとなる。
OPPO Reno10 Pro 5G ミリシタ
— はやぽん (@Hayaponlog) 2023年10月27日
Snapdragon 778G メモリ8GB
3D高画質 難易度MM
ノーツスピード:195 タイミング:-3
ミリシタくらいなら問題なく動作。いかんせん8万円の機種ながらモノラルスピーカーなのが惜しい。 pic.twitter.com/dK1E1p7QRe
ミリシタくらいなら問題なく動きそうだ。
売りのカメラは綺麗に撮れるが、撮影体感はあまり良くない
また、カメラ性能も売りにしているポイントだ。メインカメラにソニー製のIMX890という大型のイメージセンサーを採用するなど、アッパーミドルというカテゴリーでは性能が高い。その一方でカメラ構成やプロセッサ性能がアンバランスな点は惜しい。
Reno10 Pro 5Gのカメラ構成は5000万画素のメインカメラ、3200万画素の2倍望遠カメラ、800万画素の超広角カメラとなる。
Reno10 Pro 5Gは超広角カメラの性能強化が叫ばれる価格帯の中、かなりスペックを落としたものとなっている。正直、8万円のスマートフォンとしては微妙なスペックと評価せざるを得ない。
高画素メインカメラに2倍望遠という構成も近年の主流ではない。5000万画素の標準カメラをデジタルズームしても2倍望遠で1250万画素相当は確保できる。そのような意味では2倍望遠カメラは必要があるのか?という疑問が残る。
ポートレートなどを売りにしている製品なので構成は理解はできるが、近年の高性能なイメージセンサーを採用したReno10 Pro 5Gでは効果は薄く微妙なものとなる。また、望遠カメラには光学式手ぶれ補正がないため、手ブレしやすい点も惜しい。
iPhoneやGalaxyのように望遠カメラを3倍とする構成だと、メインカメラの性能を生かしつつ、トータルの望遠性能も向上させることができたと考えられる。最短撮影距離的にも、より利用しやすくまとまったのではないかと考える。
確かに写りとしては悪くない。その一方で2倍望遠カメラの最短撮影距離が長く、撮影方法によっては標準カメラでの撮影となっていた。
ズームの様子。2倍望遠カメラが3200万画素のため、5倍望遠くらいまではある程度きれいに撮影できる。
超広角カメラは800万画素と性能も落ちるため、廉価モデルのような写りとなる
加えて、もうひとつ惜しい点が前述したプロセッサーの処理能力の低さだ。近年のスマートフォンでは高度な画像処理を行うことで、きれいな写真を撮影することができるようになっている。
一方でこれらの機能は、ハイエンドプロセッサを採用したスマートフォンで快適に行えるようにに設計されている。2年前のミッドレンジほどのスペックしかないReno10 Pro 5Gにこれ行わせるとやはり"もたつき"を感じてしまう。
具体的には撮影した後の画像の読み込みの遅さ、夜景モード時の処理時間の長さ、シャッターラグによる撮影中の手ぶれといったところに影響してくる。
夜景モードも備えて綺麗に撮影できる。その一方で画像処理能力があまり高くないプロセッサを採用しているため、処理レスポンスがあまり良くない点が惜しい。
実際に使ってみると確かに綺麗に撮れるが、8万円の価値に見合った撮影体験とはいえない。プロセッサの非力さは仕方ないとしても、カメラ構成などにも疑問が残る。最も競合する可能性が高いGoogle Pixel 7aに劣る部分も多いため「カメラ性能重視」ではお勧めしにくい印象だ。
OPPOが日本でも一昨年発売したフラグシップ「Find X3 Pro」よりも性能的には劣る結果となった
防水性能はReno9 Aを下回る。OSアップデート期間も不透明
惜しい点はハードウェアのスペックだけではない。防水防塵性能ががIPX4・IP5Xな点やOSのアップデートがあまり見込めない点も惜しい。
防水等級については、グローバル仕様のものを日本に持ってきたため、この辺は致し方ない部分もある。OPPOのスマートフォンを検討するユーザからすると、より廉価なReno7 AやReno9 Aよりも高価なスマートフォンながら、防水性能が劣る見方をされてしまう。
IP68防水に対応するReno9 A
ソフトウェアアップデートについても、プロセッサーが2年前のミッドレンジSnapdragon 778Gなため、OSのメジャーアップデートはあまり見込めないと考える。もちろん、近年はOSのメジャーアップデートがされないからといって、特定のアプリが利用できなくなるわけではない。ただ、利用者としては不安に感じる要素だ。
これには日本におけるOPPOのスマートフォンはアップデートの姿勢の低さも影響している。過去に展開した商品も日本向けは他国向けよりもアップデート期間が短いものも少なくなかった。
Android 13ベースのColorOS 13を採用しているため、操作性は悪くない。アニメーションも非常に滑らかだ
今回の機種も「4年間快適に使える」としているものの、ソフトウェアアップデートの期間については言及されていない。仮にグローバルでは3年のアップデートをアピールに言及していたとしても、日本版向けはキャリアとの関係やFeliCa搭載のハードウェアということもあって別となることが大半だ。
メーカーとしては80Wの急速充電を利用しても、4年間はバッテリーの製品容量の80%を維持できるとしており、4年間は快適に使えるスマートフォンとしてアピールしている。
「ソフトバンクで一括4980円」のインパクトが強すぎて定価で買いたいと思わせてくれないスマホ
今回のこのスマートフォンを評価するにあたり、メーカーとして非常に攻めたものを出したと思っている。香港などで展開される価格と大きく変わらないまま、日本向けにおサイフケータイに対応させている。この辺はしっかりローカライズしてきたなと感じさせられる。
カメラの脇にFeliCaのマークが見える
Reno10 Pro 5Gは香港では3999香港ドル(日本円で7万7000円前後)の設定だ。香港では消費税のない税抜価格となるため、日本の税込8万6000円前後の設定は妥当なラインだ。
その一方、ソフトバンクにて「乗り換え一括4980円だから買う」という評価をされてしまったことも事実だ。発売日からこのような販売方法がとられたため、8万円のスマホとしては評価されず、値引き後の2万6980円や白ロム市場での5万円前後の価格で評価されてしまうのだ。
機種を評価するにも、発売日の大幅に値下げされた価格が基準となってしまう
白ロム市場における5万円前後の価格であれば満足度は高い。基本性能、カメラ性能、各種付加機能を考えても周りに敵は少ない状態だ。
ただ8万円の価格で考えた場合、正直検討するラインナップからは外れてしまう。少し足せばハイエンドのZenfone 10やnothing phone(2)がいて、これよりも安価なラインにPixel 7aがいるとなれば中途半端な立ち位置にいることは否めない。
正直なところ、この価格帯の機種としてはキャリアでもGoogle Pixel 7aが強力なライバルとなる。両者使ってみた感想としていえば、正直このスマートフォンが優っている部分は29分でフル充電できること。キャリア版でもSIMカードが2枚利用できる点だ。
ソフトバンク版でも物理的にSIMカードが2枚利用できる仕様だ
それ以外は厳しいところにある。売りのカメラ性能で引けを取り、一般ユーザに親しみのある防水防塵性能でも劣る。無接点充電機能も無ければ、本体スピーカーはモノラルだ。
もっと言ってしまえば、基本的なスペック等でも差を開けられており、体感的にも性能差がわかるくらいだ。価格を除けば30分以内にフル充電可能な急速充電機能以外はほぼ劣っており、万人に勧められるようなスマートフォンではない。
厳しく評価するのであれば、ストア定価では買おうと思わないが、ソフトバンクでの値引き後価格や5万円前後の白ロム流通価格であれば十分に検討すべきとなる。
要素ごとに少々ピーキーなところがあるが、気にしないユーザーにとってはちょうどいい選択肢となるはずだ。興味がある方はチェックしてみて欲しい。