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シャニソンの推奨スマホ、推奨環境を検証!最高画質は最新スマホでも厳しい結果に

 先日正式にリリースされたアイドルマスターシャイニーカラーズのリズムゲームとなる「SONG for PRISM」通称:「シャニソン」。筆者も手元にあるスマートフォン20台ほどで早速動かしてみたところ、正直びっくりすることが起こった。なんと予想以上のスペックが必要とされるコンテンツだったのだ。

 今回は推奨環境を取りまとめてみたので、各々のプロデュースの参考にして欲しい。

 

シャニマスの音ゲーである「シャニソン」推奨環境をチェック


 基本的には既出のブラウザゲーム「アイドルマスター シャイニーカラーズ」の内容を盛り込みつつ、3DMV再生とリズムゲームに重点を置いたコンテンツとなっている。

 基本的なゲームシステムについては多くのゲームメディアが触れているため、ここはあくまで推奨環境といったところについてまとめていこう。

 

 まず、シャニソンの推奨環境はiOSでApple A13以降、AndroidではSnapdragon 865クラスかそれと同等クラスの性能が求められるものとなる。iPhone 11やGalaxy S20が最低ラインとなるため、アイマスのリズムゲームではかなりの重量級コンテンツだ。

 

 そんなシャニソンの画質設定については、大きく分けると「グラフィック優先」と「パフォーマンス優先」といった形に分かれる。ここ最近発売された端末については、概ねグラフィック優先の設定になる。

 この設定は3D画質が最高、シャドウ品質中、アンチエイリアスが低の設定となる。この部分のシャドウ品質とアンチエイリアスをそれぞれ高にしたものが「最高画質設定」となる。

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この設定で基本的に検証を行った

 

 検証に利用した楽曲は「星の声」を使用。5人描画楽曲かつ、レイトレーシング処理なども必要とする場面が見られるなど、最も高負荷な楽曲としてチョイスした。

 正直なところ、この環境であれば他の楽曲でも問題なく楽しめるという面でのチョイスだ。

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5人描写時はかなり負荷のかかる場面だ

 

最高画質の推奨環境はApple A17 ProかSnapdragon 8 Gen 3。かなり高い性能が要求されるシャニソン

 

 単刀直入に最高画質で「星の声」を60 FPS キープできる環境を推奨とした場合、これをクリアできた環境は以下の通りだ

 

・Apple M2

・Apple M1

・Apple A17 Pro

 

・Snapdragon 8 Gen 3

・MediaTek Dimensity 9300


 iOS/iPad OS端末ではApple M1またはM2を搭載したiPadのみになる。iPhoneに関してもA17 Proを採用したiPhone 15 Proシリーズでないと60fpsをキープすることは難しい状態だった。

 

 またAndroid環境では、現時点で60fpsキープできたものはSnapdragon 8 Gen 3、Dimensity 9300採用機のみとなる。

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Snapdragon 8 Gen 3を採用したXiaomi 14 Proでの実測データ。MVはほぼ60fpsをキープしている


 それでは前世代の環境は60fpsをキープできないのだろうか。最新のiPhone 15にも採用されるApple A16、国内ではまだまだ主流のSnapdragon 8 Gen 2の端末で試したが、いずれも60fpsキープはかなり厳しい様相だった。

 

 最新のSnapdragon 8 Gen 2環境でも、シャニソンの最高画質を60fpsキープすることはできなかった。筆者も疑問に感じ、高クロック版の「for Galaxy」やREDMAGIC 8 ProやROG Phone 7といったゲーミングスマートフォンでも同様の検証を行った。
 それでも、Snapdragon 8 Gen 3環境のように60fpsを安定してキープすることはできなかった。手持ちの機種でこれをキープできたものは、クーラーを装着したROG Phone 7のみとなり、これにはかなりかなりの衝撃を受けた。

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Snapdragon 8 Gen 2を採用したREDMAGIC 8 Pro で平均58fpsとなる。廃熱で有利なゲーミングスマホでもロード中のフレーム低下だけでなく、MV再生中にも瞬間的に何回かフレームが落ちていることがわかる

 

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一般的な端末となるAQUOS R8 proだと平均57fpsとなり、冷却性能で劣る点が見える

 

 

 それでは、それよりも性能が低い機種ではどうなるのだろう。ここでは Snapdragon 8+ Gen 1とSnapdragon 8 Gen 1の環境でそれぞれMV 再生を行ってみた。
 これについての結果も正直驚くべきものだ。今でもかなり高い性能を持っているSnapdragon 8+ Gen 1の環境でも平均フレームは55 FPS となり、前者との差が明確にあることが確認できる状態だった。

 

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Snapdragon 8+ Gen 1を採用したOnePlus Ace 2では平均55fps前後となる。この時点でSnapdragon 8 Gen 2端末との体感的な差も出てくる

 

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Snapdragon 8 Gen 1を採用したXperia 5 IVに関しては平均50fps前後となった。発熱で一時的に性能が抑えられていることも考えられる。

 

 これらを鑑みると、シャニソンの最高画質は2年前のハイエンドスマホに搭載されているプロセッサでも悲鳴をあげ始めるような状態なのだ。筆者としても最高画質でMVを楽しむ用途でスマートフォンを選ぶ場合は、最低でもApple A16またはSnapdragon 8 Gen 2が必須と考える。

 

 もちろん、これは最も厳しい環境での検証となる。3人描写の楽曲「アルストロメリア」などでは同じ要件でもSnapdragon 8 Gen 2環境で60fpsキープできたので、あくまで参考といったところになる。

   

買い替えを検討する4年前のスマホや廉価機種でチェック。シャニソンでは既に厳しさを感じる

 

 そうなれば一般的なユーザーが買い替え対象とする4年前のスマートフォンで動かしてみよう。対象となる4世代前のSnapdragon 888端末で動かしたところ、平均45fpsまで下がっており明らかに厳しい様子を伺わせた。

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データはSnapdragon 888+を搭載するvivo X70 Pro+のものとなる。波形が波を打ち、フレームレートが安定しないことがわかる

 

 加えて、Snapdragon 888環境でもグラフィック優先設定でも60fpsに張り付く事はなかった。この時点でもかなり高いスペックが要求されていることがわかる。これよりもスペックが劣る環境では、スマートフォンの買い替えを考えてもいいラインだと思われる。

 

 最後にベータテスト時の最低ラインとなるSnapdragon 855端末で動作させてみる。2019年発売の世代となるため、買い替えも視野に入れる方が多いラインだ。

 この環境での平均フレームレートは最高画質で30fpsを下回り、この時点で快適な動作は困難だ。

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Snapdragon 855を搭載するLG V50 ThinQでは30fpsを下回った

 

 このラインではパフォーマンス優先設定でも厳しいところがあり、マニュアル設定で最低画質に落とさないと30fps以上での描写が難しい状態となっていた。画質を落としてのMV視聴を目的としても、最低ラインでSnapdragon 888クラスの性能は欲しいものとなる。

 

 また、この時点でSnapdragon 7番台と呼ばれるアッパーミドル帯、Snapdragon 6番台と呼ばれるミドル帯のSoCではかなり動作が厳しいものであると想像つく。

 Snapdragon 855の実性能がSnapdragon 778G 5G相応となるため、これよりも低い性能ではリズムゲームで遊ぶにも処理落ち等が付きまとうことになる。

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試しにSnapdragon 765の端末で最高画質を動かしたところ平均fpsは20を割り込んだ。この機種では画質最低でも35fpsとかなり厳しいものとなった。

 

相性の悪いPixelのTensorプロセッサ。最新のPixel 8シリーズでも30fps前後と厳しい結果に

 

 最新のスマートフォンでも、シャニソンと相性の悪い機種がGoogleのPixelシリーズだ。Pixelは自社カスタムチップの「Tensor」になって以降、ゲーム性能はあまり高くない構成となり、原神などでも「快適に遊べない」といった指摘があった。

 

 実際にTensor G3を採用するPixel 8 Proで検証した結果、最高画質では平均30fps前後とかなり厳しい様子だった。ベンチマークスコアを重視するSoCではないため、結果は理解できなくないが、2023年発売された1000ドルのスマートフォンとしてはかなり性能が低いと評価せざるを得ない。

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フレームレートは30fps前後と厳しい結果になったPixel 8 Pro。MV再生開始と共に一気にフレームが落ちる結果となった

 

 また、Pixel 8 Proはデフォルト設定が「パフォーマンス優先」という表記になり、そもそもゲーム側の判定が「性能不足」という判断となる。実際パフォーマンス優先の設定にしてMV再生したところ、平均フレームレートは57fpsを記憶している。

 

 意外なものとしてはHuawei Mate 60 Proだ。実ののところ、シャニソンはGMS※がないと起動しないものになっているが、画質のデフォルト設定は「グラフィック優先」となる。

 そんなあらゆる意味で謎のスマートフォンとなるこちらの機種では、平均35fps前後を記録。この数字はTensor G3よりも良いものとなっている。

 

 

「令和のデレステ」と評価できる新たなベンチマークとなったシャニソン

 

 シャニソンついて、筆者としてはまるで「令和のデレステ」を連想させるようなコンテンツだ。2015年にリリースされた「アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ」は当時の最新環境でもまともに動かすことができず、「一体どんな端末向けにこれを作ったんだ」と指摘されるようなものだった。
 
 あれから時代は8年も経ち、よほどのことがなければ最新スマホで動かないコンテンツはなくなってきている。モバイル版原神の最高画質もSnapdragon 8+ Gen 1端末であれば概ね満足に動くのだ。

 ここに来てのシャニソン最高画質設定は、現時点で日本でも発売されている最新スマホでも60fpsをキープすることが極めて難しいものだった。

 

 もっとも、これはあくまでMVを再生した状態となるため、この環境でリズムゲームを遊んだ場合はまた変わってくる。実際、このような高負荷な処理と同時にリズムゲームを行うことで、タップ音のズレやある種の遅延がSnapdragon 8+ Gen 1クラスの性能を持つ機種でも起こることを確認している。

 

 正直なところ、リズムゲームの入力等なしの状態でこの状態なので、部分的な要求スペックはモバイル向け原神の最高画質を超えてくるものと考えられる。

 筆者としては最高画質でのMV視聴であれば、推奨ラインとしてSnapdragon 8 Gen 2クラスは欲しいところだ。妥協してもSnapdragon 8+ Gen 1クラスの機種でないと快適な視聴は難しくなる。

 

 筆者もミリシタの端末課金として、過去に200台ほどの蓄積があるが、シャニソンに関しては「最適化」の3文字は全く通用しないことがわかった。完全に「力こそパワー」のゴリ押しだ。

 ベースとなる「課金は惜しまない。端末は裏切らない」という部分は変わらないものとなる。むしろシャニソンを基準に端末を選べば、デレステやミリシタの端末課金も自動的に終了すると考えればお買い得だろう。

 

 ただ、端末課金ついては、少々厳しいものを要求されることになる。最新端末は円安の影響もあって価格も高騰しており、安価に入手することが難しくなっている。

 廉価なところを突くならREDMAGIC 8S ProやiPhone 15といった選択になる。海外端末も厭わないなら、Xiaomi 14といったSnapdragon 8 Gen 3端末がひとつおすすめになる。 

 

 令和のデレステの再来とも言える高負荷なコンテンツであるシャニソン。今後の展望にも期待したいものだ。