こんにちは。これまで使ったスマホは300台以上。生まれはギリギリZ世代のライター はやぽんです。今回はZTEがnubiaブランドで展開するの最新スマートフォンnubia Z60 Ultraに触れる機会があったので、今回はレビューとしたい。
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REDMAGICに並ぶのもうひとつの柱。フラグシップでもコスパが売りのnubia Z60 Ultra
近年のZTEはAXONとnubiaというふたつのブランドで製品展開をしている。AXONはグローバル向けだったが、近年は中国向けの一部機種が中心だ。代わってグローバル展開に力を入れているのがnubia(ヌビア)だ。
この他に大きな柱でゲーミングをアピールする「REDMAGIC」というシリーズがある。ROG PhoneやBlackSharkなどのゲーミングスマホと真っ向勝負する製品で、空冷ファンとコストパフォーマンスの高さが売りだ。
最新のREDMAGIC 9 Proは日本にもオープンマーケット向けに投入され、過去モデルもマニアを中心に支持を集める。そんなnubiaブランドで「普通のスマホ」がZシリーズだ。その中でもUltraを冠するフラグシップ、その最新モデルがnubia Z60 Ultraだ。詳細は以下の通り。
SoC:Qualcomm Snapdragon 8 Gen 3
メモリ:8/12/16GBストレージ:256/512GB/1TB
画面:6.8インチ FHD+解像度
120Hz対応 AMOLEDパネルカメラ
標準:5000万画素 f1.59
超広角:5000万画素 f1.8
3倍望遠:6400万画素 f3.3フロント:1300万画素
バッテリー:6000mAh
80W充電対応
Android 14/MyOS 14
本体デザインはここ最近のnubiaのフラグシップらしく、板のような角ばった形状が特徴だ。REDMAGICとディスプレイを共用する関係で角ばったデザインになっており、コスト圧縮していることがうかがえる。IP68の防水に対応しており、普段使いも安心して利用できる。
今回は黒系のカラーをチョイス。すりガラスのボディを採用し、高級感もある
35mm画角のカメラ性能も高い。最大30倍望遠も可能なカメラスマホ
安価な機種ながら他社のフラグシップにも引けを取らないカメラ性能が売りのnubia Z60 Ultra。カメラハードウェアについてはざっくりと以下のようになる。
超広角:5000万画素 f1.8
メイン:5000万画素 f1.59 ソニー製センサー
3.5倍望遠:6400万画素(最大30倍ズーム) f3.3
確かにこれだけを見ると、Pixel 8 Proなどにも近い構成で10万円以下という枠には収まらないスペックだ。メインカメラは換算35mm(1.5倍相当)とし、人物撮影などのシチュエーションで歪みを抑えられるとした。
メインカメラには大型のイメージセンサーの採用に加え、超広角、望遠カメラにも光学式手振れ補正も備えるなど、ハードウェア的には充実した仕上がりだ。
今回のスマホもきれいに撮影できるカメラを備える。赤いリングで囲われた部分がメインカメラだ
nubia Z60 Ultraで撮影すると、全体的に明暗差のある場所でも白飛びが少なく、HDR 補正が強烈に効いていることが分かる。メインカメラが35mmの構成となるため、一般的なスマホよりも画角は狭くなる。
一方でゆがみは抑えられるため、モノ撮りや料理と言ったシーンでは優位だ。レンズが明るいこともあって背景ボケも綺麗に出せるが、その分ピントがかなりシビアになる点は注意して利用したい。
24mmといった一般的なスマートフォンと同様の画角は超広角カメラを用いる。こちらも5000万画素と強化されたことで綺麗に撮影できる。
本機種の超広角カメラの画角は18mmと通常のスマートフォンに比べると狭い画角だ。それでも光学式手ブレ補正を備えるので、夜間でもブレを抑えて撮影しやすい点が特徴だ。
望遠撮影も170mm相当までは見事だ
望遠カメラは85mm相当の望遠となった。6400万画素のセンサーを採用し、最大30倍(1000mm相当)までのズームが可能だ。その一方で高画質化処理はあまりされておらず、170mmを超える場面では画質の劣化が目立った。
総じて写真は綺麗に撮れており、破綻は見られない。チューニングとしてはXiaomiなどの「温かみ」を意識したもので、vivoなどのようなクッキリとした雰囲気とは異なるものだ。
一方で、カメラは全体的にレスポンスが悪く、特にカメラの切り替え時や連写時はフリーズに近い挙動をすることがある。これについては今後アップデートにて改善される見込みだ。
高性能なSnapdragon 8 Gen 3を搭載。アンダーディスプレイカメラ採用の「全画面」
nubia Z60 UltraではプロセッサーにクアルコムのSnapdragon 8 Gen 3を搭載。2024年における標準のハイエンドチップセットを搭載しており、同社ではフラグシップの立ち位置だ。
単純な処理性能に限らずAI処理性能やISP性能をはじめとした画像認識、画像処理部分の性能も向上しており、GPUはハードウェアレイトレーシング処理にも対応する高性能なものだ。
メモリは8~16GBを必要に応じて選択でき、最大で12GBの仮想メモリにも対応している。ストレージの最低容量も256GBとなっており、パフォーマンスが売りのスマートフォンとしては標準的だ。
高性能なゆえに発熱が気になるところだが、nubia Z60 Ultraでは冷却機構も改善され、大型の面積をもつVC(ベイパーチャンバー)が採用されている。このおかげもあって「本体やフレームが極度に熱くなる」ということは少なくなっている。発熱しても本体の背面がジワジワと暖かくなる程度だ。
高負荷な原神も最高画質で快適に動作する。パンチホールのない大画面にナヴィア嬢もこの表情だ
画面サイズは6.8インチのAMOLEDディスプレイを採用しており、画面解像度はFHD+とハイエンドスマホらしいものになっている。画面輝度はピーク時で1500nitと明るいものが採用され、屋外でも高い視認性を確保している。
売りのアンダーディスプレイカメラは1600万画素のものを採用。カメラ周辺も400dpiクラスまで解像度を持たせたことで、意識しなければ分からないレベルに進化した。一方で写りについては他社製品に劣るので、ここはトレードオフといったところだ。
現時点でここまでの精度の製品を展開するメーカーはZTEのみなので、他社製品に対して大きなアピールポイントだ。
ノッチ等がないフルディスプレイだ
画面内にフロントカメラを備えるが、視認は困難だ
パネル自体は120Hzの高フレームレート対応をはじめ、色帯域カバー率も高く主流な機能もしっかり押さえた高品質なものだ。指紋センサーは画面内に備わっている。
本体の特徴として、スライド式のスイッチを備える。初期設定ではカメラのストリートショットモードを起動できるが、懐中電灯やボイスレコーダーの起動、マナーモードのオンオフなどに割り当てることもできる。
スライド式のスイッチを備える
バッテリーは6000mAhと大容量だ。Xiaomi 14 ProといったSnapdragon 8 Gen 3を搭載した5000mAhの機種に比べると電池持ちも良く、長時間の利用も安心だ。
高性能かつ、バッテリー容量が大きい関係なのか、本体は246gと重量級の商品で他社の製品と比較するとズッシリとくるものがある。本体が角張っていることもあって「持ちにくい」という感想を持つ方もいると思うが、筆者としてはカメラパンプに指をかけられるので思ったほど持ちにくくなかった印象だ。
このほか80Wの急速充電に加え、ゲームなどに役立つ充電分離機能(バッテリーを充電せずに直接本体に給電する機能)も備えている。一方でワイヤレス充電には非対応となっており、この辺りにはコストカットの跡が目立つ。
UIはZTE独自のMyOS14を採用。ホーム画面テーマなどの中国メーカーらしい独自機能を数多く備えており、プレーンAndroidの端末に比べるとカスタマイズ性は高い。中身はAndroid 14ベースだ。
操作UIはvivoのOrigin OSなどに近い印象だ。グローバル版のためか、中国メーカースマホに多い「ギャラリー」アプリがない点は気になった。
nubia Z60 Ultraは高いカメラ性能とゲーミングパフォーマンスの両立させたスマートフォン
nubia Z60 Ultraは、カメラ性能と基本性能を他社のハイエンド機と同等にしつつ、実売8万円台からというコストパフォーマンスを高いレベルで両立させたスマートフォンだ。
そんなnubia Z60 Ultraは基本スペックも妥協なきハイエンドだ。Snapdragon 8 Gen 3に加え、画面もアンダーディスプレイカメラを備えるAMOLEDパネル採用で隙が無い。ステレオスピーカーに防水機能もしっかり備えており、他社のフラグシップにも引けを取らないハイエンドスマホだ。
どちらかといえば2023年のハイエンドよりも、2024年のハイエンドと言える構成なので、別格なのは納得できる次第だ。それでいてお値段は599ドル(約8.8万円)~という価格設定も魅力的だ。
このスマートフォンは「実験目的」で日本向けに一部販売代理店を通じて取り扱われている。価格は最小構成で税込み9万9800円としており、Snapdragon 8 Gen 3を採用するスマートフォンとしてはかなり安価な設定だ。
取り扱いを行う代理店に確認したところ、現時点ではメーカー側で技適を取得していないため、総務省の特例申請を用いて利用するマニアやインフルエンサー向けの販売としている。
グローバル展開も予定されるnubia Z60 Ultraは「コストパフォーマンスの鬼」という言葉がぴったりのスマートフォンだ。安価に高性能な端末を選ぶという選択肢としてトップに躍り出るはずだ。
一方でソフトウェアにはまだ粗さも目立つ。カメラの動作レスポンスが悪かったり、日本語化がうまくいっていない部分もある。特にストリートショットが「番地」と誤訳されるなど突っ込みどころがあることも事実だ。
確かに「番地」と誤訳されている
それでも、アンダーディスプレイカメラや35mmのカメラといった独自性も併せ持ち、他社のスマートフォンと差別化も図られている。実験用なので2台目のサブ端末という意味でも、ひとつ手持ちの機種に加えても良いことだろう。