元旦に発生した能登半島地震以降、改めて緊急地震速報の重要性が指摘される。実のところ、この速報は海外のスマートフォンでも受信できる。今回はその理由について解説しよう
現在の緊急地震速報はドコモのエリアメールに利用された技術をもとに、より進化させたPWS(Public Warning System)という仕組みが使われている。PWSは携帯電話ネットワークを使った緊急速報システムのことで、3GPPによって国際規格化されている。
当時は新しいシステムを持ってしても、地震の揺れよりも早く情報を届けることは難しいとされた。緊急地震速報は速報性を求めるサブシステムとして、震災の多い日本が提案し規格採用された背景がある。
それがよく耳にするETWSだ。英語にすると"Earthquake and Tsunami Warning System"となり、この頭文字をとっている。名前の通り地震だけでなく津波情報も伝える警報システムだ。
ETWSでは発報するメッセージを「Primary」「Secondary」のふたつに分けて送信が可能だ。先行して地震発生の情報をPrimaryとして発出し、後発で震源地や地震の規模といった情報をSecondaryとして発出する。これが1回の地震で緊急地震速報のアラートが2回鳴る理由だ。
また、ETWSでは地震の初期微動(P波)を検出してから対象エリアの選別、Primary情報発出から端末側で処理されるまでの時間を4秒以内としている。これは、本震(S波)が来る前に知らせることで、利用者が建物の外に出たり机の下に避難する等の行動できる時間を確保することが目的だ。
ETWSは地震の初期微動を検知して警報を発する仕組み上、いわゆる直下型地震のような初期微動継続時間が極度に短い地震では、警報が届く前に揺れが来てしまうこともある。
現在、このPWSは国際規格となっているので、海外に渡航した際に同様の環境が整備されていれば、現地の災害などの情報も速報で得ることができる。日本以外ではアメリカやEU圏、韓国で利用されるサブシステムは3GPPで規格化されているので、海外から持ち込んだスマートフォンでも受信できる可能性が高い。
海外のサブシステムの例として、アメリカでは、各種災害の他にも付近で銃撃犯の逃走、未成年の誘拐人などが発生した場合に使用されるAmber Alertもエリアメール的な形で発報し情報を受け取ることができる。
韓国の警報システム「KPAS」も規格化されており、日本のスマホでも受け取ることができる。これは災害のほか、北朝鮮からの攻撃などでも発報される。
国際規格化されたことで、海外のスマホ(ここではOPPO Find N2 Flip)でも緊急地震速報を利用できるのだ
さて、海外のスマホでも緊急速報を受信できる可能性が高いとした理由は、各国ごとにこのサブシステムを拡張していることにある。日本でもJアラートや気象情報のエリアメールはPWSのサブシステムであるETWSを拡張した部位の扱いなので、海外から持ち込まれたスマートフォンでは正常にメッセージを受信できない可能性がある。
その関係か、日本でも海外メーカーのSIMフリースマートフォンで稀にエリアメールを受信できないものが売られていた。これはETWSには対応していても、その拡張部分に端末側が対応していなかったことが原因だ。
先の能登半島地震で重要性や必要性が再認識される緊急地震速報。日本で販売されている機種のほとんどで利用できるようになっっているが、一部の、SIMフリーの端末ではうまく受信できないことがある。今一度緊急地震速報の設定を確認し、災害に備えておくことが大切だ。
事前に項目を確認しておこう