こんにちは。これまで使ったスマホは300台以上。生まれはギリギリZ世代のライター はやぽんです。今回はサムスンの最新フラグシップGalaxy S24 Ultraのレビューとなる。内容としてはファーストインプレッションとを中心に書いてみたいと思う。
進化したGalaxyの大画面スマホ。その決定版がGalaxy S24 Ultra
Galaxy S24 Ultraは、Galaxy S23 Ultraのコンセプトそのままに、より完成度を高めた強化版と言える存在だ。見かけ上の変化は少ないかもしれないが、確実に進化したスマートフォンとして帰ってきた。
Galaxy S24 Ultraの特徴として、スライタスペンである「S-Pen」をS23 Ultraに引き続き本体に収容できる点だ。Galaxy Noteシリーズ最大の特徴だった機能をSシリーズながらも搭載している。従来機種同様にペンはカメラのリモートシャッターなどにも利用可能で、利便性については変わらない。
画面サイズは6.8インチと大型だ
本体の基本的なデザインもGalaxy S23 Ultraから大きく変わらない。今回はYellow Goldをチョイスした
異なる点としては、画面が完全にフラットディスプレイになった。ホールド感よりもペンで文字を書きやすくなったのだ。近年では狭縁にする技術が進んだからこそ、「狭く見せるエッジディスプレイ」に頼らなくてもよくなったのだ
画面は完全なフラットディスプレイになった。反射を抑えるガラスを採用しているので、映り込みしにくい
望遠カメラが日常場面でさらに撮りやすく、使いやすく。進化したGalaxy S24 Ultraのカメラ
このGalaxy S23 Ultraを語るうえで外せない点は背面の4眼カメラだ。メインセンサーは同社の2億画素のものを採用しており、センサーサイズも1/1.31型と大型だ。 そんなカメラのスペックは以下の通りだ
メインカメラ:2億画素 f1.7
超広角カメラ:1200万画素 f2.2
3倍望遠カメラ:1000万画素 f2.4
5倍望遠カメラ:5000万画素 f3.4フロントカメラ:1200万画素
2億画素のメインカメラは基本的にピクセルビニングを用いて、1200万画素相当で出力される。これは高い解像感を残しつつ、最大16個のピクセルを1つのピクセルとして使用することで、夜景などもノイズを抑えてキレイに撮影することが可能だ。
今回、大きな変更点が望遠カメラの仕様だ。従来は10倍望遠だったが、Galaxy S24 Ultraは高画素センサーを備えた5倍望遠に変更された。センサーが大型化されたことで夜間にも優位になり、10倍までの中間望遠がよりきれいに撮影できるとした。
メインセンサーは2億画素のものを採用。超広角、3倍望遠、5倍望遠カメラを備えた4眼カメラ
以下Galaxy S24 Ultraでの作例となる。基本的にオートで全て撮影している。また、本機種はUltra HDRに準拠したフォーマットで撮影しているため、対応機種では画面輝度が変化する可能性がある。
ここまではデフォルトのメインカメラでの作例だ。以前よりもGalaxyらしい青は抑え目ながらも、彩度やディティール処理がやや強めのチューニングで、簡単に映える写真が撮れることが特徴だ。
3倍望遠はモノ撮りやフードフォトで使うと効果的だ。「ちょっと寄りたい」という時には重宝する画角となり、様々なシーンで利用できる。また、フォーカスエンハンサーによって、焦点距離や被写体に応じてメインセンサーとフレキシブルに切り替わる。これを利用すると、撮影時のミスはかなり少なくなっていると感じる。
5倍ズームはシリーズの中でもGalaxy S24 Ultraの特権だ。以前の10倍望遠に比べて自由度が高く、日常的なシチュエーションで撮影しやすくなった。専用レンズなだけあって、体感的にはiPhone 15 Pro Maxなどよりもくっきり仕上がる。
従来では3倍望遠で無理やり引き延ばした5倍以降はGalaxy S24 Ultraでは無理のない構成のおかげでかなりキレイに写る。一方で、10倍を超えるとGalaxy S23 Ultraや競合製品の方が優位な場面も出てくる。スマホでここまでの高倍率を求める場面は少ないかもしれないが、ここは普段使いでの利用頻度が大きい画角に移行したと考えるべきだ。
10倍クラスは現状だとGalaxy S23 Ultraや他社製品のほうが優秀だ。
高倍率ズーム時は枠線が出てきて、枠が黄色くなれば手振れ補正がかかる形だ。この機能は競合他社も取り入れており、Galaxyの特権ではなくなりつつあるが、依然として撮影しやすい機種として君臨する。デジタルズームの上限である100倍ズームは、以前よりも撮影しやすくなり、月などはもちろん、飛行機などにもピントを合わせやすくなった。
超広角はダイナミックに情景を切り取れるGalaxyの場合は広角端が広く、手ぶれ補正も優秀な点が特徴だ。こちらもフォーカスエンハンサーによって、シチュエーションに応じて標準カメラから自動的に切り替わる。
夜景を何枚か。全体的に見た目よりやや明るめに撮れるが、望遠カメラではノイズなどが目立つ。処理アルゴリズムも進化したものの、同世代のXiaomiやvivo、OPPOのカメラ特化の機種に比べると、ノイズや処理の甘さが目立つ場面も見られた。ただ、これらと比較しなければ多くの方には満足に映るはずだ。
これ以外にはAIの最適化機能も備わる。これはカメラで撮影した後段階で補正するもので、ギャラリーアプリから調整できる。反射の除去やディティール補正を行うことができる。この辺りの思想は「写真撮影時」に補正する中国メーカー勢とは異なり、Google Pixelなどに近い思想を感じる。
Galaxy S24 Ultraの特徴はメインセンサーの2億画素を生かした劣化の少ないロスレスズーム。3倍望遠カメラと5倍望遠カメラで10倍までの扱いやすさだ。Galaxy S23 Ultra以上に「使いやすさ」に重点を置いた使い勝手はそのままに、さらに画像処理に磨きをかけた仕様となっている。ブラッシュアップとはこのことだと改めて感じた次第だ。
基本スペックは全方位で高いレベルのGalaxy S24 Ultra
Galaxy S24 Ultraは、カメラに限らずバランスの良さが魅力のスマートフォンだ。2億画素のカメラ性能はもちろん、スマートフォンとして魅力的な機能もしっかり備わっている。一部機能特化の機種はハードウェア的にもバランスが悪い機種が全体的に多いなか、全方面に強いのはやはりGalaxyだ。カメラ性能については前項にて取りまとめたので、それ以外のスペックは以下の通り。
SoC:Qualcomm Snapdragon 8 Gen 3 for Galaxy
メモリ:12GB
ストレージ:256/512GB/1TB画面:6.8インチ Dynamic AMOLED 2X QHD+解像度
120Hzリフレッシュレート対応、LTPO対応
ピーク輝度:2600nitCorning Gorilla Armor Glass
バッテリー容量:5000mAh
45W急速充電、ワイヤレス充電
IP68防水
OS:Android 14 OneUI 6.1
Galaxy S24 Ultraは6.8インチの2K解像度を持つAMOLEDパネルを搭載。LTPO技術を用いてリフレッシュレートは1〜120Hzで可変する仕様となっており、これによって省電力化を達成している。
加えて、画面輝度も従来より向上している。ピーク時2600nitとなっており、有機ELパネルでありながら屋外での視認性も良好だ。両面のガラスにはCorning Gorilla Armor Glassが採用されており、画面強度も高めている。
パンチホールカメラも小型化されて目立たなくなった。画素数は1200万画素と以前より落ちたが、その分画素ピッチが大きくなった。これによって、暗いところの自撮りも綺麗に写るようになっている。Galaxy Harajukuの「ナイトグラフィー」ブースでも強くアピールされていた。
Galaxy S24 Ultraのみ低反射のガラスを採用し、画面への写りこみを抑えることができる。写真の映り込みはフィルムによるもの
核となるプロセッサはQualcomm Snapdragon 8 Gen 3が搭載されている。その中でも「for Galaxy」を冠するものが採用され、通常版よりも高クロックなものになっている。
レビューしてる機材について、パフォーマンスについては全く不満はない。近年出ている重量級なゲームでも余裕の動作だ。筆者としてはSnapdragon 8 Gen 3端末はXiaomi 14 Ultraなども利用しているが、満足のいくパフォーマンスである。
高負荷な原神も快適に動作する。冷却機構となるベイパーチャンバーも大型化したこと、最新のプロセッサを搭載していることで、本体の発熱もかなり抑えられている。
本体スピーカーはステレオ構成。サウンドについてはスマホのスピーカーにしては音質も比較的良い印象だ。前作より本体の厚みが増した関係か、音量自体も大きくなっている。
電池持ちはGalaxy S23 Ultra比較でかなり向上した印象だ。Snapdragon 8 Gen 3採用と各種最適化で消費電力が抑えられているのだ。 本体の最適化も終わってこなれたタイミングにはなると思うが、原神のようなゲームを2時間遊んだり、30分の動画撮影などを加えても、モバイルバッテリーなしで1日利用できた。
Galaxyと言えば「One UI」というカスタムUIを採用している。競合するAndroidスマートフォンよりもカスタム度が高いものになっており、中国メーカー機とiPhoneのいい所どりをしたようにも見える。この辺りの完成度の高さもあって非常に満足度の高い仕上がりだ。
Galaxyは「AIスマホ」をアピール。魅力的な機能をオフラインでも
Galaxy S24 Ultraの強みが「Galaxy AI」だ。画像編集、テキスト生成、要約、リアルタイム翻訳、電話の自動応答などで利用できる。今回メインでアピールしているのはオンデバイスAI(オフライン処理)を含めたこの項目だ。
画像認識性能を用いた「かこって検索」(グローバル名称:Circle to Search)はイチオシの機能としてアピールする。画面内に表示された写真や画像から対象をS-Penで囲って検索できる。
検索に当たってSNSやYoutubeなどとブラウザと行ったり来たりしないでよく、効率的に情報を得ることができる。使用方法は任意の画面でGoogleアシスタントを起動し、S Penで対象を囲うだけだ。
囲った部分の画像を認識して検索してくれる。名称がわからないものなどを調べるのに便利だ
リアルタイム翻訳も優秀だ。対面はもちろん、通話時などでも利用できるため表現の幅も広がる。翻訳などはSnapdragon 8 Gen 3の「オンデバイスAI」として利用でき、ネット環境がない場面でも利用できる。
画像処理にもGalaxy AIだ。前述のディティール補正はもちろん、画像切り抜きや余白のAI生成などの処理も行える。従来以上に編集が手軽かつ、快適に行えることが特徴だ。この辺りはGoogle Pixelの「編集マジック」と競合する。
手始めにこの画像をGalaxy AIの力で編集してみよう
試しに友人が持ってきたガンプラを動かしてみると…
生成された画像はこちら。もうひと声ほしいが、まぁまぁきれいに処理されている
ガラスの反射も除去できる。きれいに補正できると気持ちいいものだ
撮影した画像も編集前と見比べることができる。ノイズ除去を売りとしているが、思った以上に塗り絵になってしまうのが難点だ。
これらの優秀なAI機能が売りのGalaxy S24シリーズだが、これらの機能はいずれ有料化される可能性が高いこと、Galaxy S23シリーズをはじめとした旧機種でもアップデートで利用できることがアナウンスされている。そのため、恒久的な機能でないこと、Galaxy S24シリーズ固有の機能でない点は注意が必要だ。
全方面でバランスの良いGalaxy S24 Ultra 日本発売も期待
Galaxy S24 Ultraというスマホ。筆者的には「最強の全部載せスマホ」の決定版と評価したい。各社スマートフォンにおいて「選択と集中」を図って得意分野を強化する中、覇者とも言えるサムスンから発売されたのは、昨年に続いて「究極の全部載せ」と言えるスマホだった。
Galaxy S24 Ultraは特定の機能がすごいスマートフォンではない。全ての評価点が高い上で、カメラ性能とスライタスペン、分かりやすいAI機能が特徴のスマートフォンと評価する。尖った個性はないが、ある程度なんでもこなせる優等生みたいな機種だ。
その中でも、常に求められる電池持ちなどはしっかり改善され、フラットディスプレイとなったことでS-Penが画面端までしっかり利用できるなど、使い勝手の向上には磨きがかかっている。
最新プロセッサ採用による性能強化に加え、バッテリー持ちや本体の発熱も改善されるなどひとつ「完成された」ハードウェアのように感じた。これに加えて、本体のアップデートも7年間行うとしており、iPhoneやGoogle Pixel並の手厚いサポートも付加価値となっている
そのため、Galaxy S24 Ultraはハイエンドスマートフォンを選ぶにあたって特段こだわりのない方が、無難に選んでも数年間安心して使えるスマホに仕上がっている。「とりあえず」で買っても失敗することは少ないのだ。
もちろん、高性能や明るい大画面、ほぼ独自のスライタスペンやAI機能などの付加価値で選ぶもよし!誰にでも安心して勧めることが出来るスマートフォンなのだ。
S-PenもGalaxyを選ぶ立派な付加価値だ
韓国では人気ゲーム「ブルーアーカイブ」とコラボした本機種向けの特別なアクセサリーキットも販売されるなど、地域によってはタイアップも行われる。
一方でカメラ性能に関しては競合他社の猛追も激しく、今期のGalaxyは厳しい立ち位置だ。Xiaomi 14 Ultra、OPPO Find X7 Ultra、vivo X100 Pro、HONOR Magic 6 Proの同世代と比較するとGalaxy S24 Ultraは十分綺麗に撮影できるものの、現時点ではこれらに劣ると評価せざるを得ない。
カメラ性能だけを目当てにGalaxyを購入するユーザーは少ないと思うが、この辺りはソフトウェアアップデートにて継続的に改善してほしい。
今年はカメラフォンの競合が多く、Galaxyの独壇場ではない
例年通りであれば、Galaxy S24 Ultraは日本での発売も大いに期待される。グローバル版の価格は北米が1299ドル、香港だと9898香港ドルからだ。どちらも日本円で19万円前後の設定となり、フラグシップモデルらしく高価だ。
日本では現行の値引き制度や、円安による為替の関係で値上げは避けられないと思われるが、筆者としては発売直後に入手しても満足できる仕上がりと感じた。値引き規制緩和のため、4万円まで値引きできると考えればアリかもしれない。
筆者の見立てではドコモ、auなどのキャリアでは概ね20万円前後になるのではないかと予想される。これはiPhone 15 Pro Max(256GB)の価格がキャリアだと20万円を超えていることから、ありえなく無い値段設定となりそうだ。また、昨年に続き複数容量を選択できたり、ストア限定カラーのオープンマーケット版の登場にも期待したい。
そんな高価な機種かもしれないが、このGalaxy S24 Ultraでしか出来ない体験があることもまた事実だ。筆者としてはこのスマートフォンを手にして、今現在における究極のユーザーエクスペリエンスを体験して欲しい。