さて、今年は2月から3月にかけてスマートフォンの大量ラッシュ。筆者もキニナルスマホを買ってしまいました。海の向こうからやってきた、1型センサー搭載ハイエンドスマホのニューフェイス。OPPO Find X7 Ultraのレビューといきましょう。
世界初の「ダブルペリスコープ望遠」搭載!OPPO流のカメラ特化スマートフォン
カメラ特化のスマートフォンの進化は留まるところを知らない。今年もvivoやXiaomiからメインカメラに1型センサーを搭載した機種が現れた。そして、OPPOからは満を持してカメラハードウェアを大幅強化したハイエンドスマートフォン「Find X7 Ultra」が登場した。
今回はブルー系のカラーをチョイス。本体はガラスとレザー調のハイブリットで、Huawei Mate 60シリーズにも通づる。指紋も目立ちにくく、高級感も備えるデザインだ。
OPPO Find X7 Ultraはメインカメラに1型の大型センサーを採用。大きさだけならスマホでは最大のものだ。このほかに14mm相当の超広角カメラと65mm相当の望遠カメラ、135mm相当の6倍望遠カメラを備える4眼構成だ。
カメラ部はでかい。今回は高級感も高まった
望遠カメラは2つともペリスコープ方式のものを採用する。 この方式は薄型の筐体でもズーム倍率を確保できるため、近年のハイエンドスマートフォンでは広く採用されるが、これを2つも搭載するスマートフォンは過去に例がない。技術的な意味でも興味深い機種だ。
大型カメラの存在感というか厚みがすごい
カメラ性能がさらに進化!全方位に進化した最強スペックのカメラスマホ
世界初の ダブルペリスコープ望遠など売りとしているOPPO Find X7 Ultraのカメラは4眼構成。35㎜換算で14㎜の超広角、23mmの標準、65mmと135mmの望遠だ。メインカメラにはソニーの新型イメージセンサー「LYTIA LYT900」を世界初採用。現時点でも本機種とXiaomi 14 Ultraにしか採用されていない。
超広角カメラにも高性能なソニー製のLYTIA LYT600を採用。センサーサイズは前作より小さくなったが、処理アルゴリズムを改善したことでより高画質になったという。
3倍望遠にはFind X6 Pro同様にソニーの「IMX890」という大型のイメージセンサーを採用。1/1.56型と大型でROG Phone 8などのメインカメラでも使用されるものだ。それを望遠カメラで使うのだから贅沢だ。
6倍望遠にはこれまたソニーのIMX858を採用。Xiaomi 13 Ultraなどにも採用されている実績のあるものだ。
超広角カメラや望遠カメラの基本性能も高い
加えてFind X7シリーズのカメラチューニングは、Find X6シリーズに引き続きハッセルブラッドが監修している。Hyper Toneというあたらきい処理アルゴリズムが採用され、従来よりも滑らかかつ、自然な表現ができるようになったという。
なお、Find X7 Ultraには独自チップの「MariSilicon X」は採用されていない。これは同社の半導体子会社が倒産したこと、MariSilicon XのAI性能を現行のSoCが上回るくらいに進化したことが理由と考えられる。
OPPO Find X7 Proでの作例は以下のようになる。デフォルトのクォーターマークに画角が表示されるのでそちらを参考にしてほしい。
OPPO Find X7 Ultraでは比較的自然な色調、質感の絵が出る印象だ。一般的な彩度を盛って鮮やかさを演出するGalaxy などとは異なり、かといって過度に「カメラ」を意識したチューニングとは異なる印象だ。
メインカメラは1型センサーを採用しているだけあって、ボケの表現などが豊かな印象だ。これは良くも悪くも取ることができる。また、最短撮影距離はどうしても長めになるので、メインカメラでは「寄れない」印象は否めない。
OPPO Find X7 Ultraの夜景モードは強力だ。どちらかと言うと、HDRを効かせて明るくはっきりと浮かび上がらせるチューニングとなっており、メリハリのある作例となる。
前作同様に手持ちでもサクサク撮影できる点はこの機種の特徴ともいえるポイントだ。三脚検知モードも備え、ある程度長時間の露光も可能になっている。また、超広角カメラや望遠カメラでも大型センサーを採用していることで、これらのレンズでも夜景が綺麗に撮影できる機種だ。
さて、OPPO Find X7 Ultra最大の特徴が65mm相当の望遠カメラだ。レンズのf値がペリスコープ方式ながらf2.6と明るいことに加え、1/1.56型の大型センサーを搭載。最短撮影距離が約20cmとこちらはかなり寄れるカメラに仕上がった。
評価の高かった望遠カメラを引き続き備える。暗い場面でもきれいに撮影できる
第2の望遠カメラは換算135mmの6倍望遠だ。前作ではもう一声の望遠カメラが欲しかっただけに、この追加はありがたい。
また、望遠カメラはいずれも5000万画素のものを採用するため、3〜6倍の中間倍率、6倍以降でも綺麗に撮影が可能だ。最大倍率は120倍となるが、実用に耐えうる範囲は10倍までとなる。
225mm相当でも画質の劣化は少ない。ただ、AI補正の関係もあって、飛んでいる飛行機といった「動きもの」はやはり苦手なようだ。
超広角カメラも見事だ。OPPOのハイエンド機では、超広角カメラの性能を重視しており、この機種も例に漏れない形となっている。明るいところはもちろん、夜景などの場面では他社の機種と比較してもかなり綺麗に撮影できる。
余談だが、OPPO Find X7 Ultraでは端末の透かしを画像センターに配置することができる。構図がキマるといい感じの1枚に昇華する。
動画撮影については、強力な手ぶれ補正によって快適な撮影が可能だ。HDR補正も強力で、撮影中でも望遠カメラにスムーズに切り替えられるなど、iPhoneに近い感覚での撮影ができる。
OPPO Find X7 Ultraは綺麗に撮れる広角カメラ、暗いところでも扱いやすい望遠カメラを備えることで、スマートフォンの撮影体験をより良いものにすることを可能にした。そのようなところに力を入れることで、同じくカメラ性能をアピールしているvivo X100 Pro、Xiaomi 14 Ultraとは明確に差別化を図っていることがわかる。
カメラだけじゃない。全方位でまとめてきたフラッグシップスマホがOPPO Find X7 Ultra
OPPO Find X7 Ultraに関しては1型の大型センサー搭載のカメラやテレマクロ性能に注目が行きがちだが、画面性能なども大きく評価したい。ざっとスペックを書くとこんなところだ
SoC:Qualcomm Snapdragon 8 Gen 3メモリ:12/16GB
ストレージ:256/512GB
画面:6.82インチ 2K+ Samsung E7 AMOLEDカメラ
リアカメラ
標準:5000万画素 f1.9 1型センサー
超広角:5000万画素 f2.2
望遠:5000万画素 f2.6
望遠:5000万画素 f2.6
フロント:3200万画素
バッテリー:5000mA/h
100W充電 無接点充電対応
OS:ColorOS 14(Android 14)
画面はOPPOのハイエンド機らしく、サムスンのAMOLEDパネルとなっている。前作のOPPO Find X6 Proと比較して、より自然な色が表現できるようになった点は大きく評価したい。
画面は6.82インチと大型な部類となる。発色もよいAMOLEDパネルを搭載し、画面解像度は2K+だ。評価機関のDisplayMateでは最高評価A+を獲得するなど、色表現をはじめとした要素もかなり強い。画面輝度はピーク時で4500nitとかなり高く、屋外での視認性も向上した。
画面輝度はかなり明るく、視認性も良好だ
プロセッサはSnapdragon 8 Gen 3を採用している。先行しているXiaomi 14 Proなどに次ぐ形での搭載だ。搭載メモリは12または16GBと必要十分。 冷却性能も大容積の冷却機構を搭載しており、プロセッサーとの組み合わせもあってか、長時間のゲームも問題なく遊ぶことができた。
ストレージもUFS4.0規格の高速なものが採用されている。省電力ながら高速の伝送が可能になっており、仮想メモリ等を利用してもパフォーマンスの低下を抑えられていると言う。
OPPO Find X7 Ultraを使ってみると、ハイエンド機というのもあって動作にストレスは感じない。Snapdragon 8 Gen 3はかなり優秀なチップセットなのか、単純な発熱もかなり抑えられているように感じた。原神のような高負荷なコンテンツを1時間ほどぶっ通しでプレイしても、発熱で「熱い」と感じることは少ない印象だ。
本体スピーカーの音は前作に比べてかなり向上した印象だ。独自チューニングのスピーカーだが、筐体の箱鳴りは抑えられているように感じた。それでも他社の同様セグメントの機種には劣る。
OPPOのFindシリーズながら、OnePlus端末同様にアラートスライダーも備える。物理ボタンによるマナーモード操作は信頼感がある
加えて、100Wの高速充電にも対応。ワイヤレス充電のほか、端末から無接点充電可能なリバースチャージにも対応している。バッテリー持ちについてもFind X6 Proからは体感的にも大きく向上している。
OSはAndroid 14ベースのColor OS 14が採用されている。
素晴らしいクオリティのOPPO Find X7 Ultra。写真を撮るのが楽しくなる
OPPO Find X7 Ultraのカメラに関しては、前作のFind X6世代から処理アルゴリズムを大幅に強化し、他社のハイエンド機とも真っ向勝負かのうなところまで進化を遂げたものだ。
1型センサーはスマートフォン向けのものを採用し、プロセッサベースでの最適化も行われた。最新のプロセッサを搭載したことで、高度なHDR処理などを可能にしている。これらのあわせ技によって、高いクオリティでの写真撮影が可能になった。
それでありながら価格は非常にお手頃な端末となっている。Galaxy S24 Ultraが20万円近い価格となる中、Find X7 Ultraは最小構成で5999RMB(約12万2000円)と抑えている点も好感が持てる。また、天通という衛星通信に対応するものも存在する。
これはHONOR Magic 6 Proが5699RMB(約11万4000円)、Xiaomi 14 Ultraが6499RMB(約13万2000円)であることを考えると、その中間を狙った非常に攻めた価格だ。
その一方でグローバルモデルが存在せず、Find Xシリーズは中国専売モデルというのは惜しいところだ。
OPPO Find X7 Ultraの価格設定は5999元〜と日本円で12万円台からの設定だ
筆者としては、Find X7 Ultraは「撮影体験が楽しいカメラスマホ」と呼べるものだ。簡単にキレイに撮れるカメラはもちろん、基本性能の高いハードウェアでマニュアルモードの追い込みなどにも応えられる点は大きな利点だ。
また、同じく評価の高いvivo X100 ProやXiaomi 14 Ultraとも使い分けのできる絵作りだ。どれもクオリティは高いので、ここはよく撮る被写体や好みで選ぶのが良いだろう。
加えて、テレマクロ性能を重視した望遠カメラは他社のスマートフォンには少ない新しいモノだ。べらぼうな望遠性能だけを突き詰めるのではなく、日常的に利用頻度が高い画角で「使い勝手」を向上させる構成は嬉しいものだ。
その中でも、Find X7 UltraのカメラはGalaxy S24 Ultraの望遠性能を強化した構成が近く、全体的にバランスの良い機種だと感じた。高いHDR性能や動画撮影性能はもちろん、Xiaomi 14 Ultraにも引けを取らないテレマクロ撮影の体験は楽しいものだ。
もちろん、Snapdragon 8 Gen 3による高いスペックを持ち合わせ、快適に使えるといったところも選ぶ価値となる。長期間のアップデートが行われることも公表されており、長く使っていける端末となることは間違いないようだ。
他社の商品とも真っ向勝負できるレベルにまでカメラ性能が進化したOPPO Find X7 Ultra。カメラ性能の高いスマートフォンを選ぶ際には、選択肢の一つに加えてみてはいかがだろうか。