こんにちは。これまで使ったスマホは300台以上。生まれはギリギリZ世代のライター はやぽんです。今回はvivoの最新スマートフォンとなるX100 Ultraです。先行入手できた機種のレビューと行きましょう。
- ついにベールを脱いだX100 Ultra。極限までカメラ性能を強化したフラグシップ。
- 強力なカメラハードウェアと強烈なソフト補正。20倍望遠も実用できるカメラスマホ vivo X100 Ultra
- 大容量バッテリーにフラグシップのSoC。全方位に進化したvivo X100 Ultra
- 度肝を抜かれた望遠とテレマクロ性能。夜景、望遠、マクロ撮影を求めるならX100 Ultraが現時点のマストバイ
ついにベールを脱いだX100 Ultra。極限までカメラ性能を強化したフラグシップ。
昨年発売されたのvivo X100 Proは高い望遠性能を見せつけ、最上位モデルへの期待感をグッと高めた。その後に多くのカメラ特化スマホが登場したが、今回vivoは中華勢における今世代の「トリ」を務めることになりそうだ。
vivoもついにUltraを冠する機種へと進化した。ドイツの光学機器メーカー「ZEISS」のレンズとT*コーティングが採用されている。独自チップにあたる「V3+」を搭載するなど、マニアの間でも評価の高いスマホだ。
そんな最強スペックのX90シリーズを軽く超えたと好評なvivo X100 Ultra。スペックは以下のようになる。
SoC:Snapdragon 8 Gen 3
メモリ:12/16GBストレージ:256/512GB/1TB
画面:6.78インチ WQHD+解像度
120Hz対応 AMOLEDパネルカメラ
標準:5000万画素 f1.8 1型センサー
超広角:5000万画素 f2.23.7倍望遠:2億画素 f2.67
フロント:5000万画素
vivo V3+チップ搭載
バッテリー:5500mAh100W充電対応、50Wワイヤレス充電
10Wリバースチャージ対応Android 14/Origin OS 4.0
本体デザインはカメラを意識したものとなっている。ハイエンドスマホでは珍しいIP69の防水に対応しており、温水を噴射したテストをクリアしている。メーカーの説明では-20度の低温環境でも安定して動作するなど、過酷な環境にも耐えうるスペックだ。撮影の幅も普通のカメラに比べてグッと広がる。
今回はホワイトをチョイス。競合するXiaomiやHuaweiの上位モデルはビーガンレザーを採用するが、こちらはガラス筐体だ
とにかくカメラが分厚いが、X100 Proと同様にうまくデザインに溶け込ませている。1型センサーや大型イメージセンサーを採用した望遠機構が入っているだけはある。
強力なカメラハードウェアと強烈なソフト補正。20倍望遠も実用できるカメラスマホ vivo X100 Ultra
カメラ性能が大幅に強化されたVIVO X100 Proだが、カメラハードウェアについてはざっくりと以下のようになる。
超広角:5000万画素 f2.2
メイン:5000万画素 f1.8 1型センサー
3.7倍望遠:5000万画素(最大100倍ズーム) f2.67
vivo X100 Proに引き続きZeiss T*コーティング、Zeiss APOを冠する高品質な望遠レンズが採用されている。最上位のX100 Ultraでは主に望遠性能の強化、テレマクロ撮影がアピールポイントとして紹介された。
望遠カメラには2億画素のセンサーを採用。センサーサイズも1/1.4型と潜望鏡方式の望遠カメラを持つスマートフォンの中では現時点で最大のサイズだ。
これに加え一新されたレンズコーディング。独自チップセット「V3+」の存在が従来機との違いとなる。
今作もドイツのCarl Zeissとのコラボレーションとなっており、本体には青いロゴが入っている。
そんなvivo X100 Ultraの作例は以下に掲載する。
今回のスマホもきれいに撮影できるカメラを備える
vivo X100 Ultraで撮影すると、明暗差のある場所でも白飛びを抑えて撮影できる。細かい看板などを見てもHDR 補正がかなり強烈に効いていることが分かる。X100 Proで感じた「塗り絵感」も抑えられているので、順当に進化した。
写真の良し悪しについては読者の好みに任せるが、全体的に「目が覚めるような写り」に仕上がっており、一発で綺麗に撮れるスマートフォンらしい進化を遂げたと評価したい。
vivo X100 Ultraは独自のISPとなるvivo V3+チップを搭載している。これはV2世代から処理アルゴリズムが変更され、より高画質での撮影に寄与している。短期間ながらX100 Proに採用された「V3」のアップグレード版が登場したことには驚きだ。
このプロセッサはSoC標準のISPでは難しい処理、時間のかかる処理を補完する形で撮影が可能だ。V3+ではライブ等のイベントで演者を撮影する際に優位に働く「ステージモード」のアルゴリズムが新規追加された。
超広角カメラもカメラフォンらしくきれいに撮影できる。今作ではLYT-600にセンサーもアップグレードされた。
また、X100 Ultraにはフードモードも備わっている。こちらはデフォルトが2倍望遠となるが、他カメラとの被写界深度合成を行うことで「過度にボケない」撮影が可能だ。これによって、メインカメラの1型センサーを使うことで起こる「過度なボケ」を抑えている。
ラーメンも美味しそうに撮影できる。
vivo X100 Ultraの望遠カメラは85mm相当の3.7倍望遠となった。X100 Ultraでは2億画素のイメージセンサーを採用し、高品質なレンズの採用と処理アルゴリズムの改善でズーム性能は大きく向上した。
X100 Ultraでは「Zeiss APO」を冠する高品質なレンズを採用。X100 Proよりも高品質なものに仕上げている。
そんなvivo X100 Ultraの望遠性能は見事だ。85mmとX100 Proの100mmに比べると広角よりになったが、筆者はこちらの画角のほうが好みだ。
発表会は460mm相当の20倍まで劣化を抑えて撮影できるとしているが、その謳い文句は確かなものだった。デジタルズームとはいえ、高画素センサーを存分に活かしてディテールをしっかり残している。
この高い性能を生かしたものがテレマクロだ。vivo X100 Ultraの望遠カメラ最短撮影距離が10cmと寄れる構成であり、高画素センサーを生かしたテレマクロが撮影できる。
2億画素カメラを生かしたテレマクロ性能は圧巻で、植物からモノ撮りまで幅広く対応できる
また、vivo X100 Ultraでは「ステージモード」というフェスのアーティストなどの撮影に最適化されたものも追加された。夜間の望遠撮影でもきれいに撮影できる。
夜間の10倍ポートレートという曲芸にも対応できる。Artist:結芽乃
ここまで見てスマートフォンの望遠カメラながら、高い解像感と広いダイナミックレンジを持っていることが分かる。場面によっては強烈な補正も入るが、HDRを過剰に効かせたものにはならない印象だ。手振れもしっかり補正され、X90 Pro+で感じた手ブレもかなり抑えられてる。
1倍(標準カメラ)
3.7倍(望遠カメラ)
望遠カメラ(10倍ズーム)
望遠カメラ(100倍ズーム)
デジタルズームの補正に関しては、前作のX90 Pro+からはもちろん、X100 Proをも凌駕する進化を遂げた。10倍クラスはもちろん、20倍クラスでも強烈な補正で高いクオリティに形に仕上げてくる。多くの場面では10倍クラスまでは十分、昼間なら20倍でも利用できるシーンがある。30倍までは記録用としてもSNS投稿用に残せるクオリティだ。
100倍望遠についても、文字などを認識した場面では高い性能を発揮した。体感的にはGalaxy S24 Ultraをも凌ぐレベルだ
Xperiaのような感覚で撮影できる「ZEISSナチュラルカラー」も引き続き搭載されている。こちらの処理は中華メーカーに多い派手目で明るいものではなく、ナチュラルカラーというだけあって見た色に近い処理となっている。
独自のvivo V3+チップの真価を発揮するのは夜間撮影、明暗差のある場所での撮影だ。これらの写真は夜景モードにて撮影しており、自然なホワイトバランス処理の優秀さ、白飛びしないように丁寧に処理されていることがわかる。
vivo X100 Ultraはモノクロ撮影のアルゴリズムも追加された。こちらも綺麗に処理される
vivo X100 Ultraでは「さすがvivoのスマートフォン」と思わせる長時間露光を生かした撮影モードが充実している。フォトスタイルを変えるだけで簡単に光の軌跡を描いたりできる。他にも被写界深度合成機能や星空撮影モードなど特徴的な機能をいくつも備える。詳細な使用感はSNS等で追って更新したい。
長時間露光の滝モードなど、昼間に使えるものも充実している
そして、Xiaomi 14 Ultraのストリートショットなどに近い機能がvivo X100 Ultraにも搭載されている。それが「Humanisticモード」だ。
こちらは通常カメラアプリのシャッターボタンの下からスワイプするとUIが変更され、露出などを調整しやすくなる。23mmの広角から85mmの中望遠を主体とした撮影方法になる。
操作UIはカメラライクなものになる
Humanisticモードではプリセットも可能。モノクロやエモい質感も出すことができる
合わせて、動画撮影性能も強化された。Pro手振れ補正と水平線補正モードに続き、Dolby VISIONモードがある。V3+チップの強烈なリアルタイム補正で4K30fpsまでは夜間でもHDR補正が入ったまま撮影が可能だ。また、超広角、標準、望遠の3つのカメラを4K 60fpsの設定でも撮影中にシームレスに切り替えることができるなど、動画用スマホとしても優秀な仕上がりだ。
大容量バッテリーにフラグシップのSoC。全方位に進化したvivo X100 Ultra
vivo X100 Ultraの核となるプロセッサーはSnapdragon 8 Gen 3を搭載。高い性能はもちろん、AI処理性能やISP性能をはじめとした画像認識、画像処理部分の性能も前作より向上している。
vivo X100 Proで採用されたDimensity 9300も高性能だが、カメラ性能に寄与するISP性能などを考慮すると、カメラフォンとしては他社や従来機種同様にSnapdragonを採用する結果となったのだろう。
メモリは12または16GBと必要十分ながら、最大で16GBの仮想メモリにも対応している。ストレージの最低容量が256GBとなっており、写真や動画を撮るのが売りのスマートフォンなだけにありがたいものだ。
高性能なゆえに発熱が気になるところだが、X100 Ultraでは冷却機構が改善され、大型の面積をもつVC(ベイパーチャンバー)が採用されている。このおかげもあって「本体やフレームが極度に熱くなる」ということは少なくなっている。
発熱しても本体の背面がジワジワと暖かくなる程度だ。また、原神ではアップスケーリング機能も利用でき、高性能を生かしてより高画質に描画することができる。
高負荷な原神も快適に動作する
原神よりも高負荷な学マスも問題なしだ
vivo V3+チップにはカメラに直結するISP性能以外にも、描写フレーム補完といった描画面の機能も備えるなど、よりSoCに近い存在となっている。動画視聴やゲームプレイなどでは恩恵を得られるはずだ。実際にゲームをいくつか遊んでみたが、性能が高いこともあって動作には全く困ることはなかった
画面サイズは前モデルと共通の6.78インチ、サムスン製のE7 AMOLEDを採用した。画面解像度は2K+となり、ハイエンドスマホらしいものになっている。画面輝度はピーク時で3000nitとかなり明るいものが採用され、屋外でも高い視認性を確保している。
画面はピーク輝度3000nitの明るいものが採用されている
本機種はエッジスクリーンを採用しているので持ちやすいとはいえ、大きさ的にはXiaomi 14 Ultraクラスとなる。持ちやすさの点での評価は割れるだろう。
搭載するパネルは120Hzの高フレームレート対応をはじめ、色帯域カバー率も高く主流な機能もしっかり押さえた高品質なものだ。LTPO制御も新世代のものが採用され、1~120Hzまでフレキシブルにリフレッシュレートを変化させつつ消費電力を抑えることが可能だ。
サウンド関連では。X100 Ultraはステレオスピーカーを採用。物理的なチャンバー容積が大きくなり、低域もしっかり出せるようになっている。HONOR Magic 6 Proなどには劣るものの、従来のXシリーズと比較してかなり音はよくなった印象だ。
バッテリーはvivo X Fold3にも採用された半個体電池を採用。5500mAhと大容量ながら本体容積を抑えることに成功している。これもあってカメラフォンとしては電池持ちも比較的よい。
UIはOrigin OS 4.0を採用。仮想グラフィックカード機能などを備え、表示するフレームレートの安定化を図っている。中身はAndroid 14ベースだ。新機能としては、AOD画像のAI生成もできるようになっている。
度肝を抜かれた望遠とテレマクロ性能。夜景、望遠、マクロ撮影を求めるならX100 Ultraが現時点のマストバイ
vivo X100 Ultraは期待を裏切らない仕上がりだった。中国メーカー各社がカメラ性能を重視した機種を展開しているが、vivoは暗所性能と望遠性能、テレマクロ性能にかなり重きを置いたスマートフォンと感じた。特に望遠性能は現時点ではひとつ飛びぬけたものを持っていると言ってよい。
スマートフォンのレギュレーション内であれば現状頭一つ抜けた別格の存在なのだ。これには基本性能の高いカメラハードウェア、卓越したソフトウェア処理が挙げられる。
その中でも、夜景モードの多様さ、ZEISSナチュラルカラーの採用は大きい。前者は夜景お化けのファーウェイなどとも差別化でき、後者は彩度高めの中華スマホチューニングとも異なる絵が出せる点で差別化されている。
V3+チップを用いた高度なコンピューテショナル・フォトグラフィーを駆使した「目が覚めるような美しい撮影体験」は最上位のX100 Ultraが持つ特権だ。動画撮影時の手振れ補正の優秀さをはじめ、オートでもマニュアルでも遊び要素のあるとても良いスマートフォンだ。
そんなvivo X100 Ultraは基本スペックも妥協なきハイエンドとなる。Snapdragon 8 Gen 3に加え、画面も高輝度なAMOLEDパネル採用で隙が無い。ステレオスピーカーにIP69等級の防水防塵機能もしっかり備える妥協のないハイエンドスマホだ。
それでいてお値段は6499元(約14万円)~という価格設定も魅力的だ。日本への直輸入なら輸入消費税などを含めてざっくり17万円ほどとなる。
vivoのXシリーズはかつてのフラッグシップになるNEXシリーズに近い価格設定で、Huawei Mateシリーズをはじめとした他社のプレミアムラインと近いものになっている。それでも、ここまでカメラに特化したものはそうないはずだ。
スマートフォンに高いカメラ性能を求めるのであれば、ある意味マストバイと言える存在に仕上がっている。
この機種の難点を指摘するのであれば、メインカメラの可変絞りだろう。XiaomiやHuawei、HONORが採用するが、ここまでカメラを強化したvivoでも今回は採用を見送っている。一方で、発表会では今後もカメラ性能を追求すると説明し、可変絞り搭載を示唆する内容も見受けられた。そう遠くないうちにvivoから可変絞り搭載のスマートフォンも登場することだろう。
また、vivo X100 Proからの乗り換えだと、テレマクロを除くと「劇的な進化」を感じないことだろう。これは前機種も十分に高性能なこと、X100 Ultraはテレマクロや超望遠という部分の進化が大きいことで、普段使いでは極度な差を感じない場面が多いこともありそうだ。
筆者としてはX100 Proの望遠、夜景撮影を強化し、テレマクロ、ライブモード、Humanisticモードなどを追加したような製品と考えている。もちろん、細かいディテールなどの処理はX100 Ultraのほうがうまく処理されており、X100 Proに感じた塗り絵感は薄くなっている。どちらかといえばX90 Pro+のチューニングに近く、上位機種としての立ち位置は実感できる。
筆者の利用した環境が発売前の先行使用ということもあり、今後のアップデートでさらに進化する可能性もある。分かり次第追記していきたい。
こうなると、同じくカメラ性能特化のXiaomi 14 Ultraが比較に上がるが、両者はチューニングとしては対極の位置にいる存在となる。くっきりはっきりした「目の覚めるようなキレイな写真」を得意とするvivoに対して「情景のあるエモい写真」を得意とするXiaomiと評価できる。ぜいたくを言うなら、この2機種のカメラは使い分けが可能だ。
この2機種は場面に応じて使い分けが可能だ
カメラ特化のイメージ付けを行うvivo。正直なところファーウェイやXiaomiのような「高いカメラ性能」を十分に周知しきれているとは言い難い。事実、中国以外では苦戦しているのか、グローバル市場では最上位モデルの展開を行わない傾向が見られている。
一方で、この5年でvivoのXシリーズはファーウェイの「Pシリーズ」に倣ったカメラ特化の製品して確固たる地位に付けたと筆者は感じている。製品としての魅力は高いところまでもっていけているので、今後はグローバル市場にて多くの客層にアピールしていくのかが課題となりそうだ。
vivo X100 Ultraは今世代のカメラスマホとして「ズーム性能」「夜景性能」「マクロ性能」に特化したスマートフォンだ。ポケットに収まるカメラとしても仕上がっており、そのような意味としても1つ手持ちの機種に加えると幸せになれそうだ。