どうも
久しぶりに面白いカメラを見つけたので買ってきました
SONY ILCE-QX1です
- これは何
- 世界最小のEマウントシステムカメラ
- 今回使ったレンズ
- 作例とか
- Eマウント機なのにEマウントレンズを使わないのか?
- なぜレンズスタイルカメラは普及しなかったのか?
- 今だからこそSONYに求められるレンズスタイルカメラの後継モデル
これは何
今から7年ほど前の話。Xperia Z1などのカメラ機能をさらにブラッシュアップできる拡張オプションである「レンズスタイルカメラ」が誕生しました。
言わばレンズのみのスタイルで操作系はほぼ全てスマホで行うと言う、当時としてはSNSへの即応性と画質も両立した画期的な商品でした。
当初は光学10倍レンズのQX10と実質RX100という上位モデルのQX100がリリース。
後に光学30倍ズーム対応のQX30もリリースされてます。
そのため
こんな使い方が正しい使い方になります。
そして2014年。われわれの度肝を抜く頭の悪い商品がこのILCE-QX1となります。
世界最小のEマウントシステムカメラ
何を隠そうこいつはSONYのコンデジの系統のものではないのです。
一眼レフシステムのαシリーズに位置付けられるカメラなのです。
そのためミラーレス規格のEマウントを採用し、同等マウントのレンズを交換できる「レンズ交換式カメラ」であります。
カメラのスペック的には同社のα5000相当のスペックとなっています。
もちろんセンサーサイズはAPS-C
スマホカメラのサイズとは比べてはいけません。
申し訳程度にクリップオンストロボ(GN4)が着いています。
バッテリーはα7などと同じタイプのものです。
こいつ単体でも使えるので写ルンですのような使い捨てフィルムカメラのような感覚で撮れる
— はやぽん (@Hayaponlog) 2020年9月27日
写真はスマホで確認してのお楽しみ pic.twitter.com/25fCR5UQuB
これでポトレは確かに撮れるけど、撮影される側はこれだもんな… pic.twitter.com/hRrGqst3tu
— はやぽん (@Hayaponlog) 2020年9月27日
実はスマホ無しでも撮影ができたりします。使い捨てカメラみたいな楽しみ方もできます。
ポートレートもこんなクレイジーな格好で撮れたりします。
今回使ったレンズ
・KONICA MINOLTA 17-35 f2.8-4.0
ミノルタ時代の広角レンズ。APS-Cの当機種では概ね25〜50mm前後をカバーできる使いやすいレンズとなっている。
フルサイズ対応という事もあり、近年ではマウントアダプタを付けてFEマウントで使われる事も多い。
中古でも2万円前後とお手頃に買える1本
・TAMRON B008 18-270 f3.5-6.3
タムロンと言えばこの手の便利ズームなんて方も多いでしょう。だいぶ型は古いですが、AF速度もさほど悪くなくしっかり決まってくれます。
1本で25〜400mmクラス。15倍の焦点距離をカバーできるので余計なものを持ち歩きたくない時には重宝する。
・SONY DT35mm f1.8 SAM
APS-C帯では50mmクラスの標準単焦点となるレンズ。
最短焦点距離が0.23mと使いやすいのが特徴
ここまで読んで気付いたかたはさすがです。
そう、これらのレンズは普通にはこのQX1には装着できません!
そのため、このようなアダプタを付けています。
・SONY LA-EA2
その名の通り、AマウントレンズをEマウントのミラーレス機に装着するためのマウントアダプタです。
このアダプタが他のものと違うのはTranslucent Mirrorと呼ばれるものが付いています。
これはSONYのAマウント機で使われていた透過ミラーと呼ばれるもので、このミラーによって位相差AFを可能にしています。
実は従来のEマウント機はコントラストAFしか使えず、AF速度はかなり遅いものになっていました。
近年では像面位相差AF(コンティニュアンスAF)に対応したモデルも多く普及し、ミラーレス機のオートフォーカスの遅さはかなり改善されました。
そして、このQX1はセンサースペックは高いものの、コンティニュアンスAFには非対応。
通常のシングルAFでAマウントレンズを使おうとすると、とにかくピントが合いません。
それを解消するためにこのアダプタを導入しています。
作例とか
こちらはSAL 35mm f1.8での作例
こちらはMINOLTA 17-35mm f2.8-4.0での作例
こちらはTAMRON B008 18-270mm f3.5-6.3での作例
撮っててわかるのは明らかに専用機と同等クラスの写真が撮れること。
スマホ撮って出しとは訳が違います。
レンズの物理絞りがあるので、夜景では光芒がしっかり出ることでしょうか。
あとは大玉のレンズだったりで背景ボケが綺麗だったり、ズーム時の画質が劣化していない点とクオリティだけはスマートフォンでは越えられない壁のようなものを感じます。
さすがセンサーだけとはいえ、専用機なだけはあります。
Eマウント機なのにEマウントレンズを使わないのか?
ものすごく単純な理由で、「レンズが地味に高い」のです。
Eマウントレンズだとキットレンズでも手ぶれ補正が効くものとかありますが、キットレンズ以外は比較的高価なものが多いです。
特に単焦点レンズはAPS-Cでは使いにくい50mm f1.8で3万円より。30mmマクロはそれより高く、使い勝手の良いものはZeissやGレンズで確かに画質も良いのですが手頃とは言えないお値段です。
CanonやNikonではこの手のレンズが比較的お手頃で「撒き餌」と呼ばれたりしています。
そして、近年こそ増えましたがサードパーティのレンズがかなり少なかったのです。
Eマウントのフルサイズ化をしてからSIGMAなどの高品質なレンズが使えるようになった印象です。
近年ではフルサイズ対応のレンズが増え、逆にAPS-Cでは扱いにくいレンズが増えてしまいました。
そして何より、SONYとしてはAマウントはほぼ死に体のマウントとなっています。
採用機も現行ではα99IIのみで、近年の高品質なレンズはほぼ全てFE用になっています。
そのため、レンズの値段が下落し中古でも高品質なレンズがお手頃な値段で買えるようになっています。
今回使用したレンズもミノルタのもの以外は全て中古でも1万円以下のレンズです。
なぜレンズスタイルカメラは普及しなかったのか?
このカメラを出した2013〜14年はスマホカメラの高画質化が進み始めた頃で、その当時のスマホでもできなかった
・高倍率ズーム
・被写界深度の浅い作例
・解像感の高さ
・高感度耐性
を売りにしたアクセサリーでこのQXシリーズは生まれました。
一定のファンには受けたようですが、やはり接続の手間だったりがあって思うような普及はしませんでした。
さらにはレスポンスが専用機に劣ると言う弱点がありました。
これはWi-Fi接続故にシャッターを押しても0.5秒ほどのラグがあるのです。
このシャッター…Xperiaシリーズだと本体の物理シャッターボタンが適応できる仕様になっていますが、これにすると多少は改善されます。
もちろん本体のボタンで押せば問題ないのですが、それでは自由度が半減したり動体撮影に弱かったりと専用機よりは使いにくいものではありました。
そして撮影モードも癖があり、このカメラにはフルマニュアルモードが無いのです。
夜景撮影ならなんとか使えますが、シャッタースピードが30秒までと星空撮影にはかなり使いにくい仕様になっています。
この小さい本体故に山の上などで撮影する際には荷物も減らせると考えたフォトグラファーさんには惜しいものになってしまったと言います。
結果として変にスペックはありながらも、使い勝手からなにから中途半端になってしまったという見方もできるものでした。
翌年にはPanasonicが1インチコンデジをスマホに突っ込んだDMC-CM1をリリースしました。
こちらはレンズスタイルカメラのようなレスポンスの悪さも無く、快適に使えたモデルでありました。
ところがこちらもニッチ層にしか受けず後継モデルが出ることはありませんでした。
実は持ってました。
そして、ここからのスマホの技術革新は凄まじく複数カメラ搭載で被写界深度エフェクトや高感度での低ノイズ化を達成。
さらにはプロセッサパワーの暴力で数十枚を同時に撮影し、これを合成することで「手持ち3秒以上の夜景撮影」という事まで可能になりました。
そうとなればハードウェアのスペックも上がり、Xperia Z1の1/2.3インチセンサーが大きいと言われた頃とは変わりました。
Galaxy S20で1/1.7インチ
Xperia 1IIもメインセンサーは1/1.7インチ
カメラ特化のHuawei P40 Pro+では1/1.28インチなんて言う非常に大型なモデルも出てきたのです。
特にHuaweiのハイエンド機はズーム性能と高感度耐性も化け物で、紹介にあげたP40 Pro+は光学10倍の240mm相当まで対応。
高感度はISO409600まで対応の化け物になっています。
結果としてこのような飛び道具が普及するかはおろか、このような飛び道具をも超えるスペックを母艦であるスマートフォンは手にしてしまったわけです。
10倍ズームできるスマホがあれば、10倍ズームしかできないQX10など必要ないです。
センサーサイズが近い機種があればQX100を持ってしても対して優位に立てません。
便利ズームこと18-270を装着したQX1
— はやぽん (@Hayaponlog) 2020年9月27日
1枚目が等倍、2枚目が光学15倍 3枚目がロスレス30倍
なかなかこれはスマホにはできない芸当 pic.twitter.com/pqIbyZr0lj
逆にそれに近いものをスマホで出せるHuawei P40 Pro+のカメラがすごいなんて見方もできる。
— はやぽん (@Hayaponlog) 2020年9月27日
等倍、光学10倍、ロスレス20倍、ほぼ同等画角のズーム(デジタル45倍) pic.twitter.com/rOPQUt6AHW
一眼カメラ(左)とHUAWEI P40 Pro+(右)
— はやぽん (@Hayaponlog) 2020年9月27日
どちらもざっくり410mm相当 pic.twitter.com/SjxPFnh7Ok
これを見てもわかる通りで、スマホの性能もこの5年で大きく向上したのです。
そのため、現在のスマホ市場においてまともに使えるレンズスタイルカメラはのはこのAPS-Cサイズのセンサーを持ちレンズ交換可能なILCE-QX1と1インチのQX100
それと、OLYMPUSから出たフォーサーズのモデルくらいですかね。
今だからこそSONYに求められるレンズスタイルカメラの後継モデル
実はこの週末、QX1とXperia 1との組み合わせで写真を撮ったりしてました。
QX1に高倍率ズームレンズを装着したインパクトの強さ。
あまり使ってる人がいないことの希少さから多くの反響を頂いてびっくりしています。
僕のXperiaは光学15倍望遠対応なので👋 pic.twitter.com/A2W2fYziEA
— はやぽん (@Hayaponlog) 2020年9月26日
SONYの作りたかったものってこれでは pic.twitter.com/xjahVg545U
— はやぽん (@Hayaponlog) 2020年9月26日
レンズスタイフカメラのいいところ
— はやぽん (@Hayaponlog) 2020年9月26日
光学望遠 20倍(ロスレス40倍)が撮れる
背景をぼかせる絵が撮れる
ぼくのかんがえたさいきょうのXperiaになる
レンズスタイフカメラのダメなところ
見た目の異質っぷり pic.twitter.com/sSKuxaPgNf
意外と皆さん知っていてさすがだなぁと。
今回の母艦で使ったXperia 1はマスターモニターレベルの高い品質を持つモニターを搭載しており、この手のカメラのモニターには色味の調整などがしやすいとても良質な画面になっています。
そのため、このレンズスタイルカメラと近年のXperia 1シリーズの相性は抜群といえます。
レンズだけカメラQX1の強みは「撮った写真が自動でスマホに転送される点」です。
— はやぽん (@Hayaponlog) 2020年9月27日
しかもマスターモニタークラスの階調表現が可能なXperia 1との相性は抜群で、撮ったものをサクッと現像したり編集できるのが魅力と言えます。
もちろん、RAW+JPEGの撮影も可能
Xperia 1+QX1は素晴らしい組み合わせだ。 pic.twitter.com/d3UEy6m1zh
SONYさんとしては「カメラへの入り口」として、今年リリースのXperia 1II以降はαシリーズの一角という位置付けになっています。
おかげでPhoto Proといったマニュアル設定特化のアプリまで実装されています。
ある程度カメラに関しては高級機に絞った中ですので、QX10のような中途半端なスペックのレンズスタイルカメラが出る事はないと思います。
ただ、スマホのカメラ性能は上がっており、SONYのXperiaも楽観視できないのが今の情勢です。
何か吹っ切れたスマホを作って欲しいものだなと思っています。
Twitter上では「1インチセンサーのXperia」や「フルサイズセンサーのレンズスタイルカメラ」と言った声もあり、もし出てきたら個人的にもちょっとそそられそうな内容ですね。
特に1インチセンサーのXperiaなんてまんまCM1の後継モデルみたいでいいですね。
さて、今回変わり種のカメラを使ってみました。
スペックは全然今でも問題なく使えますし、普通のカメラにはできないアングルや使い方もできるカメラです。
スマホに付けるには凄まじいインパクトと、現在でも全く引けを取らない画質。
そんなロマン砲に想いを馳せてみるのはいかがでしょうか。
それでは