いまさらながらMotorola RAZRを手にする機会があったので、そのファーストインプレとか買いてみようと思う。なお本記事では後継のRAZR 5Gもあるため、本端末をRAZR 2019と表記する。
おお???? pic.twitter.com/XeE8RCizJR
— はやぽん (@Hayaponlog) April 16, 2022
- Motorola RAZR 2019 これはどんなスマートフォン?
- 新しいのに懐かしい。RAZRという世界初の縦折りフォルダブルスマホ
- RAZR 2019で感じたスペックの低さ、値段の高さ、物理的な使いにくさ
- 折りたたみスマホのマイルストーンとなる Motolora RAZR 2019
Motorola RAZR 2019 これはどんなスマートフォン?
2019年にモトローラより発売された世界初の縦折りタイプの折りたたみ(フォルダブル)スマートフォンだ。往年のフィーチャーフォンを思い起こさせるデザインと、折りたたみの革新性に当時惹かれたユーザーも多かっただろう。スペックは以下に示す通りだ。
SoC:Snapdragon 710
メモリ:6GB
ストレージ:128GB
画面
6.2インチ 2142×876 Flex OLED
2.7インチ 800×600(サブディスプレイ)
カメラ
1600万画素 電子式手ぶれ補正(リアカメラ)
500万画素(フロントカメラ)
バッテリー:2510mA/h
Android 10
その他:eSIMに対応
新しいのに懐かしい。RAZRという世界初の縦折りフォルダブルスマホ
基本的にはかつて販売されていたフィーチャーフォンであるRAZRシリーズのデザインを踏襲しており、随所にその様子が伝わるものになる。
RAZR 2019は6.2インチの画面を折りたたんでコンパクトに持ち歩ける点はありがたいと言える。重量は205gとやや重たいものにはなるが、畳んだ時のコンパクトさは魅力と言える。
閉じてコンパクト。開いて大画面の折りたたみスマホはやっぱり未来を感じるものだ。
この手のスマホの魅力は重々承知しており、やはり縦長となるスマートフォンをコンパクトに折りたためる点は評価できる。
このrazr 2019はBOE製のパネルを搭載している。登場時期を考えれば世界初の縦折と言われるフリップタイプに加え、折り目が目立たないフォルダブルスマホとなる。
Galaxy Foldなどと比較しても画面の展開時に折り目がない利点を持っており、これらの機種とも差別化が図られている。一方、このRAZR 2019は閉じたときのヒンジの音が不安を感じるような「ギッ」という音がする。本体が若干厚くなったRAZR 5Gでは改善されているポイントになる。
この手のスマホとしては当たり前になりつつある、折りたたんだ面にサブディスプレイを搭載したことも大きな利点だ。折りたたんでコンパクトになるだけではなく、折りたたんだ状態でもメッセージ内容を確認、クイック返信が可能な点は黎明期ながら非常に斬新なアプローチであった。
この大画面サブディスプレイの存在は後継のRAZR 5Gにも引き継がれ、Galaxy Z FlipやHuawei P50 Pocketにはない特徴となっている。
サブディスプレイは2.8インチと大画面な上に、一部アプリも起動可能だ
筆者が試した限りではリズムゲームのミリシタですら動いたことから、多くのアプリがこの画面でも動作すると思われる。主に画面を閉じた状態でも通知の表示、着信内容の確認、動画視聴、メールやSNSのクイック返信、セルフィーのプレビュー画面と言ったことができる。
今回レビューのゴールドは反射を抑えており、高級感がある
細かい点ではあるが、本体下部のデザインはRAZR 5Gよりも往年のRAZRシリーズに近いものと言える。指紋センサーがThinの上についている点も、デザイン上のアクセントと言える。
RAZR 2019で感じたスペックの低さ、値段の高さ、物理的な使いにくさ
RAZR 2019を改めて使ってみて感じたこととして、フォルダブルスマホを初めて出したメーカーながらソフト、ハード共に完成度の高い商品に仕上げている点は評価したい。
2019年発表のRAZR 2019は世界的に見ると、フォルダブルスマホとしてはRoyole FlexPai、SAMSUNG Galaxy Foldに次ぐ3番目に発表された機種となる。
Galaxy Z Filpを始めとした縦折りタイプでは世界初の商品であり、値段は1499ドルとGalaxy Foldよりは安価だったものの、市場には好意を持って迎えられなかった。
理由としては、値段に対するスペックの低さがあり、この部分が消費者に良いイメージを与えなかった。ちなみに核となるSoCにはSnapdragon 710を採用している。
ハイエンドではなく、1つ下のアッパーミドルのSoCを搭載したことで、小さい筐体ゆえの熱設計などの問題に対処した結果と言える。問題はこのスマートフォンの価格が、1500ドル(日本円で当時17万円)であったことだ。黎明期とはいえ、サービスインしていた5Gにもチップセット的に非対応といった点も悔やまれる。
Snapdragon 710搭載のスマートフォンは実売価格が4〜5万円クラスでの採用例が多く、ハイエンド帯の価格設定であるRAZR 2019では性能不足に見えるのは必至と言えた状態だ。発売当時でもゲームなどのリッチコンテンツの動作は厳しいと言われ、現在では2〜3万円クラスのスマートフォンの性能とほぼ同等になる。
正直スペック不足に感じることも多いため、ブラウジングやSNSといった用途を限定して使用するのが良い。
razr(2019) ミリシタ 3D高画質
— はやぽん (@Hayaponlog) April 25, 2022
ノーツスピード:200 タイミング:-2
初期のフォルダブル端末あるあるのタッチスキャンレートの甘さを感じる。スペックもSnapdragon 710なので致し方ないところもあるかなと。
これについては後継のrazr 5Gで改善されている。 pic.twitter.com/8zYtZt1mDR
加えてカメラ性能や、バッテリー持ちに関してもお世辞には良いと言えないものだ。発売時期を考えても、やや物足りなさを感じる写りと言える。後継のrazr 5Gでは改善されている点なので、この辺りはコストなどを考慮して仕方なかったと言えるところだ。
そしてこの機種はeSIM(組込みSIM)のみしか利用できない機種となる。発売は2020年の2月だったとは言え、展開したキャリアやオペレーターは世界的に見てもまだ少数だったこともあって、運用面でも使いやすい端末ではなかったと言える。
日本でも入手されていた方はいたものの、当時eSIM運用可能なキャリアは楽天モバイルしかなく、エリアも今に比べれば遥かに小規模だった。
加えて、日本で主流のBand1を利用できないハードウェアのため、ローミング先のauの電波すらまともに掴めない点もあり、日本ではかなり使いにくいスマートフォンであったと言える。
今回入手した米国Verizon版では日本語の設定すら無いものとなる。これも使いにくさに拍車がかかる理由の一つだ
ハードウェアとしてはRAZR 5Gと被る点ではあるが、画面の切り掛けが大きいが故にステータスバーで多くの面積が使われてしまう点、Thin(アゴ)の部分がデザインや設計的にも大きく出ておりスワイプジェスチャーや文字入力がやりにくい点が挙げられる。6.2インチの大画面ながら実行範囲は6インチくらいとやや惜しい結果に。Thinのデザインも含めてやや画面が小さく見えるのも相まってると感じる。
折りたたみスマホのマイルストーンとなる Motolora RAZR 2019
モトローラが送り出した縦折りタイプの折りたたみスマホであるRAZRシリーズ。今となれば初代ゆえの荒削り感は多く見られるが、コンセプトは現在にも通じるところがあると言える。
正直なところ、現在は日本でも購入可能なRAZR 5Gがある以上、入手も困難で性能も劣り、運用面では非常に使いにくいRAZR 2019をオススメすることはない。
ただ、アップデートはしっかりされており、現在でもAndroid 11。セキュリティパッチも2022年1月まで来ている。加えて、楽天モバイルのエリアが拡充した結果、普段使いでもある程度問題なく利用できるようになっている。各種オペレーターもeSIMのオプションを展開しており、複数キャリアから選べるようになった点もここ数年の変化と言える。
世界初の縦折りフォルダブルスマホ RAZR 2019は、今更ながら使っていて楽しいスマートフォンと感じた次第だ。
最後に、このスマートフォンを「いいスマホだからはやぽんさんも買いなよ!」と教えてくださった亡きライターさんに届きますように。そんな言葉で締めくくらさせていただきたい。
素敵なスマホとの出会いを、ありがとう