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HONOR Magic 3 Pro+ レビュー カメラ特化の高性能スマホ Huawei Mate 50 Proの夢を見るか

 どうもこんにちは。時には変わったスマホをレビューというわけで、今回はHONOR Magic 3 Pro+をレビューする。

 

 


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Huaweiから分社化したHONORが展開するハイエンドスマホ

 

 ファーウェイのハイエンドスマートフォンと言えば、ライカとコラボしてカメラ性能を突き詰めた機種で有名だ。2019年以降は米国制裁の関係でMate 30 Pro、翌年発売のP40 ProではGoogleサービスが利用できないスマートフォンとなってしまった。

 加えて、5G関連機器には半導体部品の出荷規制なども絡んでしまい、辛うじて出せたP50 Proでは5G非対応の状態での発売となった。

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Huawei P50 Proは2021年発売のハイエンドスマートフォンだが、5Gには非対応だ

 

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 制裁が強化された関係でチップセットはもちろん、ソニーやサムスンのイメージセンサーまでも規制がかかったと言われるファーウェイ。

 一方で、ファーウェイから分社独立したHONORでは、そのような制裁対象になることは無かった。グローバル展開する商品ではGoogleサービスを利用でき、5G通信にもしっかり対応している。そんなHONORから発売されたフラッグシップスマートフォンがMagic 3 Pro+だ。


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 今回レビューの商品は中国版となるので、厳密にはMagic 3 至臻版(至臻は完璧の意味)となる。本記事ではグローバル版の名称であるMagic 3 Pro+と表記させていただく。

 

Huawei P50 Proの考え方をそのままに、最強ハードウェアに仕上げたHONOR Magic 3 Pro+

 

 HONOR Magic 3 Pro+のスペックはとてもプレミアムだ。メーカーの引用となるが、ざっくりと以下に示す。

 

SoC:Snapdragon 888+
メモリ:12GB
ストレージ:512GB UFS3.1

画面:6.76インチ OLED

21:10 WQHD+ 120Hz対応

 

リアカメラ

5000万画素 f1.9 1/1.28型センサー 換算23mm

6400万画素 f1.8 モノクロセンサー

6400万画素 f2.4 超広角カメラ 換算11mm相当

6400万画素 f3.5 望遠カメラ 換算90mm相当

8×8 d-Tofセンサー

 

フロントカメラ:1300万画素 

 

バッテリー:4600mA/h

 

その他、防水防塵に対応


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 HONOR Magic 3Pro+のデザインを一言でいえば、Huawei Mate 40 RSみたいなものだ。細かい表記はさておき、89°の角度にエッジを描くディスプレイ、フロントのパンチホールカメラ、リアカメラの配置は往年ののMate RSシリーズの要素を大きく感じる部分だ。 

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Huawei Mate 30 Proなど思い出させる89°のエッジディスプレイ。持ちやすいが、扱いは少々気を使う。

 

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 カメラの構成的にHONOR Magic 3 Pro+とHuawei P50 Proはかなり近いものがある。どちらも超広角、標準、モノクロ、望遠の4眼+D-tofセンサーの構成だ。

 モノクロセンサーを備える点、望遠レンズは6400万画素センサーを採用し、35mm換算90mm相当の画角となる点は共通だ。

 異なる点はカメラを構成するハードウェアだ。Magic 3 Pro+ではメインカメラにソニーのIMX700というイメージセンサーが採用されている。これはP40 ProやMate 40 Proなどで採用されたIMX700yのRGGB配列版(一般的なもの)と言える。

 他のセンサーも全て6400万画素のものとなり、この部分に関してはP50 Proの上位互換とも言える構成だ。ちなみにIMX700は1/1.28型で5000万画素のセンサーだ。

 一方で、P50 Proではメインカメラのセンサーサイズは、1/1.56型とMagic 3 Pro+一回り小さいものになっている。これはP40 Proから見てもランクダウンしたと言わざるを得ない。

 

誰が撮っても簡単、綺麗に写る。スマートフォンのあるべき形と言える高いカメラ性能

 

 ここからはHONOR Magic 3 Pro+での作例となる。脚注のないものはオートモードで撮影している。

 

  何枚か撮ってみて、やはりオートで撮影することが非常に楽しいスマートフォンと感じた次第だ。当初は処理の甘さが目立ったMagic 3 Pro+だったが、アップデートでHONOR画像処理エンジンを含めたカメラ機能が強化された。

 この画像処理エンジンに関しては、別途この機能だけの発表会が開催されるほどの力の入れっぷりだった。

 

 画像処理的にはファーウェイのXDR Fusion Proという画像信号復元システムに通じる部分もあり、コンピューテーションフォトグラフィーの分野でも大きく進化したと発表会では触れられていた。

 HONOR Magic 3 Pro+は超広角カメラが11mm相当とかなり広い点も特徴だ。カメラ性能重視の他機種よりも画角は広いが、その分歪みも生じやすい。

 

 

 望遠レンズは3.5倍を採用し、換算では90mm相当となる。Huawei Mate 40Proなどの125㎜相当のものよりは抑えられてるが、イメージセンサーには6400万画素の高画素センサーを採用。

 最大100倍望遠に対応するなど、かつてのHuawei P40 Pro+などを思い起こさせるスペックだ。

 HONOR Magic 3 Pro+の光学画角は35mm換算で11-90mm相当となる。今までのモデルから比べるとやや望遠端が抑えられた形となるが、そこは高画素センサーでカバーしている形となる。

 

 

 夜景モードもかなり優秀だ。特にHuawei P40、P30シリーズでよく見られた不自然に黄色がかったりする写りが改善され、より見た目に近い印象で撮れるようになっている。

 

 本体内蔵のフィルターやマニュアルモードも駆使すれば、夜景や味のある写真も撮れる機種だ。興味が湧いた方はマニュアルで撮影してみてはいかがだろう。

 

 動画撮影も手ぶれ補正がしっかり効いて使いやすい。なお、超広角はEISのみ。ファーウェイ系と同じく動画ではOISを使用しているような挙動は見られない。

 

カメラ以外もフラッグシップに相応しいスペックにせまる

 

 もちろん、カメラ性能以外もフラッグシップな仕上がりだ。HONOR Magic 3 Pro+の核となるSoCはQualcomm Snapdragon 888+を採用。クロックアップとAI性能向上が図られたマイナーチェンジ版となる。

 試しに普段からプレイしているミリシタを起動させてみた。最適化されていないKirin 9000端末とは異なり、タイミングとしてはほぼ完ぺきともいえる。本体のメモリは12GB、ストレージは512GBと性能面では文句なしと言える。

 

 

 画面は6.76インチの有機ELパネルとなる。Mate 40 Proにも採用されていた89°の角度でエッジを描くディスプレイを採用し、触り心地なども良好だ。120Hzのリフレッシュレートにも対応しており、この辺りはMate 40シリーズを踏襲しながらも順当に進化している。


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画面の品質も必要十分と言えるものだ

 

 HONOR Magic 3 Pro+ではステレオスピーカーを搭載する。Mate 40 Proでもステレオスピーカーとなっているが、本機種のスピーカーの音質はかなり上質な仕上がりだ。過去に多くのスマートフォンを利用してきたが、五本の指に入るくらいの高音質と言える。

 

 OSはHONOR系のスマートフォンで使用されているMagic UIを搭載する。ファーウェイ傘下だったこともあるのか、操作UIはどことなくEMUI12やHarmony OS 2.0と通じるところがある。こちらもAndroidベースのカスタムUIとなり、既存のアプリ自体は動作するが、中国版ではGoogleサービスは非搭載となる。


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本体も大型な上、プレミアム要素が大きいこともあってか、重量は234gと重たい部類に入る

 

中国版は注意が必要なHONOR Magic 3シリーズ

 

 そんなMagic 3Pro+だが、私はまずお勧めしない。理由としてはあまりに普段使いのハードルが高いからだ。

 日本で比較的目にするものは中国版となるので、もちろんGoogleサービスは利用できない。この辺りは近年のファーウェイ端末や、Googleを利用できない中国のスマートフォンを好き好んで使う方には「いつものアレか」と思ってもらって良い。

 

 通信面ではVoLTEに非対応となる。中国版ではVIVOなどいくつかのメーカーで利用できない機種もあるのが現状だ。ファーウェイでは利用できるものに対して、HONORでは利用できないものとなっている。

 そのため、中国版のVIVO X70 Pro+などと同様にau系では通話不可、ドコモ系も5G契約のものは通話不可となる。ソフトバンク系か楽天モバイルにRakuten Linkを組み合わせるくらいしか、電話機としてもまともに利用できない。

 

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 加えて、値段も安価とは言えない。HONOR Magic 3 Pro+は後継モデルが出たとは言えど、依然と10万円オーバーの高額な商品だ。

 真っ当に考えて使用する上で難のあるスマホだ。いくらカメラ性能が良くても、本体のサウンドが良くても、普通の利用者にはまず勧めることができない。

 もちろん、グローバル版を選べばそのようなことはないが、数が出てないがゆえに商品そのものが高価なものとなっている。あえて選ぶ理由があるかと言われれば、魅力的な選択肢が多い今のスマートフォン市場では難しいところといえる。 

 

HONOR Magic 3Pro+はファーウェイ Mate 50 Proの夢を見るか

 

 さて、ファーウェイが米国の制裁対象となってから間もなく3年が経とうとしている。グローバル展開でもGoogle非搭載や5G非対応で厳しい状況に立たされるファーウェイのスマートフォン。

 そんな中で、ある意味白羽の矢が立ったのは、かつてファーウェイのサブブランドであったHONORだった。冒頭にも記した通り、現在では分社化され「ファーウェイではない」ことから、制裁の対象外となっている。

 

  そんなHONORもMagic 2を2018年に発売して以降、しばらくフラッグシップと呼べる製品が存在していなかった。昨年発売のMagic 3で久方ぶりに発売できたような形となっている。

 HONOR Magic 3 Proは5G通信にもしっかり対応。ヨーロッパなどで展開されるものはGoogleサービスも利用できる。

 

 HONOR Magicというのだから、ファーウェイのスマホとは別物でしょ。そう思われる方もいらっしゃると思うが、かつては同じ会社だったこともあり、操作UIについては恐ろしいくらいファーウェイのEMUIやHarmony OSにそっくりだ。むしろほぼ同じ感覚で利用できてしまう。


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Magic UI6のスクリーンショットになるが、完全にEMUI12と言っていいくらいのものだ

 

 細かいところでは、EMUI12やHarmony OS 2.0も制裁の関係でベースとなるAndroid OSのバージョンは10となるが、Magic UIではAndroid 12がベースとなっている。

 

 初期搭載ストアアプリがAppGallery(ファーウェイが展開するストア)となっていたり、ヘルスケアアプリはデフォルトがファーウェイのものだ。

 ファーウェイのパソコンとの連携機能はMagic UIの機種でも利用できる。あまりにすんなりと認識してしまったので、本当に別メーカーとは思えないものであった。


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 カメラUIもほぼ同一だ。ファーウェイの上位機種ではライカフィルターが利用できたが、HONOR Magicでは利用できない。モノクロエフェクトも1種類しかないなど差別化はされている。この辺りはnovaシリーズやLiteシリーズなどのライカを冠していない機種に近いと言える。

 

  それ以外では、ファーウェイの純正66W充電にも対応し、50Wの高速ワイヤレス充電にも対応だ。Freebuds ProなどのTWSイヤホンやスマートウォッチも簡単に接続できる。ちなみに、HONOR Magic 3 Pro+の画面保護フィルムはMate 40 Proのものがそのまま使用できる。

 

 筆者はHONOR Magic 3Pro+を利用して「これはHuawei Mateシリーズのスマホだな」と感じた次第だ。Mate 50 Proなんて名前で出してもいいくらいの完成度だ。

 89°のエッジを描くディスプレイ、妥協のないカメラ性能、卓越した音質、プレミアムな質感。文句のいいようがない仕上がりで、端末からHuawei やLeicaの文字を探してしまう筆者がいるくらいだ。

 

 そんなMagic 3 Pro+だが、先月に後継モデルとなるMagic 4シリーズが発表され、最上位のMagic 4 至臻版も発売に至っている。     

 中国ではHONORの販売シェアも大きいものとなり、売上は上位5社に食い込んでいる。中国でもファーウェイの後釜としての期待が高いことへの現れだろう。HONOR Magic 3 Pro+はHuaweiの文字が見えないMate 50 Proなのではないか。そのように思わせてくれる完成度の高さが伝わってくる。

 スマートフォンのカメラ性能を次の次元に引き上げたファーウェイ。一部技術やノウハウを引き継ぎ、後釜とも言えるHONORのハイエンドスマートフォン。筆者としては今後も目が離せない。