一部のユーザーから熱烈な支持を集めるサーマルプリンターを持つ端末。今回は年末の企画として、この端末で何して遊ぼうかといったところを考えてみることにする
SUNMIの決済端末?プリンター?なにコレ?
これは感熱紙用のサーマルプリンタ搭載のハンディーターミナルとなる。主に決済端末と呼ばれるカテゴリのもので、一般人には店舗等で利用される以外に馴染みのないものだ。
店頭でよく見かけるPOSレジは導入コストが高く、小規模事業者ではなかなか厳しいものがある。iPad等を利用した安価なシステムもあるが、そのような中でAndroid等を搭載し、コード決済に特化した端末がこのハンディーターミナルだ。
特徴としては安価であること。事業要素においてのカスタマイズが可能なところだ。企業のロゴを入れたり、必要な決済方向に応じた端末や売上管理システムのカスタマイズも可能だ。
それもあって中小規模の事業者。移動販売やデリバリーサービスといった分野では強い支持を持つ端末だ。
このような端末は法人向けが主体だったこともあり、高コストな端末が多かった。近年ではXiaomiが出資するSUNMIをはじめ比較的安価なシステムを展開するメーカーも出てきている。
筆者の保有するSUNMI V1sは近々3Gサービスが停波することもあり、非常に安価に販売されていた時期があった。そのタイミングで購入したため、6000円ほどで購入できた。購入から概ね1年ほど使ってきたことになる。
①決済管理用端末として使う
こんな法人向けの端末、普通の用途で利用するのは難しい。そういう意味では、個人の決済管理とデバイスとして利用するのもアリだ。
ある意味本来の利用方法なので、ここに関しては機能面も充実しているという。例えばコミケを始めとした同人即売会やフリーマーケットといった場面で、売り上げの管理やレシートの発行と言った場面での利用だ。
最も同人即売会は多くの商品を陳列することは少なく、フリーマーケットも現金払いが主流なこともあって利用シーンは限られる。
どちらかといえば、領収書代わりのレシートを発行する際に利用するとよい。記念品として取っておけるようなものであれば、利用者にも喜ばれるはずだ。
②インスタントカメラとして使う
この手の決済端末はQR コードを読み込む関係で、本体にカメラが内蔵されている。もちろん画質面などは大きく劣るが、オートフォーカスやLED フラッシュといった。基本的な部分は備えている。
SUNMI V1sでは500万画素のカメラを備える
このカメラとサーマルプリンターという特性を利用したインスタントカメラとしてもこの手の端末は利用できる。
カメラ性能は高くなく、もちろん白黒印刷となる。そのため、印刷画質はとても目も当てられないようなものだ。そのような欠点もレシート印刷なら、独特の味わいを引き出すこともできる。
チェキのような用途でも利用可能だ。最もこんな端末を向けられて写真を撮られても、どんな表情をしていいのかわからないものである。
筆者も撮影したがどんな顔をしていいのか分からなかった。印刷してみるとじわじわくる。
道端の風景を撮影するのも良いはずだ。独特の味わいがあるようなプリントができる。
筆者はこれでスナップショットを撮影していた際に、警察から職務質問をされたことがある。人目がつくところでの過度の利用は控えるべきだ。
③仕事のツールとして使う
アイデアいただいたものとして、Google Keep等のメモやリストを印刷する端末として利用するというものがある。
もっとも付箋等に書いた方が楽だし早いのは間違いないのだろうが、リスト等であれば縦長の用紙で物理的に出てくることから、わかりやすくなるようにも思う。
レシート用紙にリストを印刷する人という社内で謎の立ち位置になり、これをきっかけに新たなコミュニケーションも生まれるのではないかと感じる。
また、QRコードの印刷等で利用する場合は通常印刷よりも読み取りやすいサイズで出力されるので、この辺りにも上手く利用できるはずだ。
④仲間内でのコミュニケーションに使う
これは SNS 上で話題になったが、プリンタという特性を生かして魚拓印刷機として利用するものがある。
いわゆるSNS上での発言等を物理的なログで残すというものだ。元々ハンディーターミナルというの仕様ため、本体からSNSを閲覧、スクリーンショットの後に印刷といったことができる。
こちらはテキスト主体なこともあって、画質も比較的良好だ。仲間内で楽しむツールとしても楽しいだろう。
決定的瞬間も即プリントだ!
また、推しのスクリーンショットなどを印刷する用途にも使える。使い方は無限大だ。
似たような用途として、趣味で使う名刺代わりにも利用できる。筆者も何度か使用したことがあるか、この端末のインパクトとリアルタイムで印刷される内容は、相手にものすごく強烈な印象を与えることができる。
通常のデザインでもいいが、レシートを生かしたデザインだとより相手にインパクトを与えることができる。何より印刷コストが安いというところが個人的には利点だ。
昨年の初音ミクのライブイベントである「マジカルミライ」にて実際に筆者が配ったものだ。渡すと誰もが驚きの表情で迎え入れてくれた。
最後に。工夫とアイデアで楽しく使うのがこの手の端末の醍醐味
最後になるが、この手の端末の実用的なスペックはかなり厳しい。筆者が利用しているSUNMI V1sはMediaTek MT6580を採用しメモリは1GB、ストレージは8GBの構成だ。
このSoCは8年ほど前に販売されていたエントリー向けスマートフォンに使われていた。Android 6.0に32bitのSoCであったり、ストレージが絶望的に少ないこともあって、ゲームなどのアプリを動作させることはかなり厳しい。
筆者も「デレステ」の起動を試みたが、起動はできたもののライブ画面ではテクスチャエラーを起こすなどかなり厳しいものであった。
デレステは辛うじて動いた。『さよならアンドロメダ』の歌詞とテクスチャエラーによって紫色になった画面が印象的だ。
イオシスで彗星のごとく販売され、わずか24時間で200台以上が完売となった「SUNMI V2」は後継機種だ。
64ビットのSoCを採用しており、本体も薄型軽量となった。4G通信に対応していることで使い勝手も向上している。
逸般人向けとして安価に販売されていたが、いったいどこから200人もそんな人たちが湧いたのだろうか。
一方どちらの機種もストレージ容量が8GB とシンクライアント的な用途でしか利用できない。セルラーが通信ができるとはいえど、スペック的にもスマホのようにガンガン使うなことはできないのだ。
使い方としては別の端末で印刷する画像やデータを作成し、この端末に転送して利用するといった方法がストレスも少ないはずだ。
もちろんセルラー通信対応で Android 搭載ということであれば、PayPay等を起動してこの端末で決済することもできる。決済端末で決済をするというのは、何とも不思議な光景である。
本来であれば充電クレードル兼データ管理用のスキャナも存在する。このクレードルには USB 端子が備わっており、パソコン等と連携してリアルタイムの売上管理が可能になっている。
また、表示面をお客さん側に見せていることで、お手持ちのスマホの画面をかざすだけ決済が可能になっている。決済端末として利用するのであれば、是非とも持っておきたいオプションだ。
なお、決済デモで利用しているカメラはAndroid OSを採用しているので、実際にQRコード決済が可能だ。
そんなサーマルプリンター搭載業務用端末はマニアが購入する初めての業務用端末としてもおすすめだ。
他の端末と比べてゲテモノ感もなく日本で使う上で必須の技適もあり、サポートもある程度しっかりしている。何かあっても対応してくれる。印刷する感熱紙もAmazonで比較的安価に売られている。
今回はあくまで筆者が試した範囲でのものになるが、簡単に思いつかないような利用方法も多く存在するはずだ。
柔軟なアイデアで面白い利用方法を思いついたのであれば、是非筆者にも教えてほしい。この投稿を読んで興味がある方は、年末に是非使って遊んでみるといいはずだ。