京セラはTORQUEユーザー向けの自社ポータルサイトにて、「TORQUEの開発継続並びにコンシューマー向けの展開を継続する」旨を公表した。
当初、大手メディアが「TORQUEはコンシューマー向けにも展開を継続する」と「TORQUEも含め完全撤退」と相反する内容でそれぞれ報じるなど、動向が不透明な状態であった。今回、メーカー側からやっと正式な回答が目に触れられるところに出てきたので、筆者としても安心できたところだ。
以下、ポータルサイトに投稿された内容を引用する
先日より、京セラの携帯端末事業について、各メディアでさまざまな報道がされており、
TORQUEファンのみなさまにはご心配をおかけし、大変申し訳ありません。
先般発表しております通り、京セラのコンシューマー向けスマートフォン事業は
今後終息を予定しておりますが、TORQUEについては法人向けでも多くのお客さまに
ご愛顧いただいており、コンシューマー・法人のお客さま双方のご期待に応えるべく
今後も継続していきたいと考えております。
TORQUEを愛してくださり、心待ちにしていただいているみなさまへのご報告が遅くなり、
ご不安、ご心配をおかけいたしましたことをこの場をお借りして改めてお詫び申し上げます。
これからもTORQUEを応援いただけますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
ポータルサイトによると、TORQUEは展開を継続するとした。
TORQUEは残す。背景にあるauとタフネス端末の強い繋がり
TORQUEについては、京セラのスマートフォンの「柱」とも言えるタフネス要素を多く備えた機種だ。そして、このTORQUEを今の知名度まで押し上げたのは、他でもないauの販路。的を絞ったマーケティングとバックアップのおかげだ。
auはフィーチャーフォン(ガラケー)時代からタフネス要素を持ち合わせた高耐久な携帯電話を20年以上前から展開している。このラインナップは、同社の商品の中でも特色があるもので、他社との差別化も図られていた。
それは端末の製造メーカーが変わり、ブランドが変わり、形状がスマートフォンになっても途切れることなく今日まで続いている。
auとしては、5G対応モデルに至るまで続くタフネス端末
この高耐久な携帯電話を20年間売り続けたノウハウはメーカーにも反映されている。どのようなユーザーが利用するのか、どのようなシーンで利用されるのか。どのようなシーンにて端末が壊れた(修理に来た)のか。これらのノウハウが積み重なり、メーカーを跨いで継承されたことで、TORQUEは「ただ強いだけの携帯電話」ではなく、アウトドアやマリンスポーツを嗜むユーザーにも評価されるスマートフォンとなった。
特に、登山やサーフィンなどのアクティビティ向けに絞った機能を多く搭載している点は、他社のタフネス機と大きく異なるものだ。
そして、auのタフネス端末は過去に同社と様々なメーカーが手を組み、二人三脚で育てた大切なものだ。これは京セラのTORQUEとて例外ではない。一般向けだけでなく、法人需要もかなり強い支持を持つだけに、auとしてもこのようなタフネススマートフォンを易々と見捨てることはできないのだ。
継続?終了?TORQUEに関して内容が割れた報道の理由とは
さて、最後にはなるが、今回メディアによってTORQUEの動向について真逆の報道が存在した理由を考えてみたい。さまざまな理由があると考えられるが、これは、情報ソース元が異なることが大きな要因と考えられる。
「TORQUEは継続」としたものは、京セラの広報回答を情報ソースとしている。これに対して、「TORQUEも終焉/終了」としたものは決算報告会における「京セラ谷本社長への質疑応答における回答」を情報ソースとしているようだ。
なお、速報性だけで見ると谷本社長の質疑応答の方が早かったこともあり、同じタイミングでふたつの相反する内容のニュースが出た形となった。
筆者も関係者を通じて同社広報に確認をとってみたところ、「TORQUEは継続」との回答を頂いていた。その一方で、公式プレスに関連した情報が掲載されていないことから、不安を感じていたことも事実だ。
このことから、決算報告会の時点では谷本社長に対し、正しい情報が届いていなかったのではないかと考えられる。そして、京セラやauとしてもプレスやウェブサイト更新といった目に触れる形で情報が更新されていなかったこともあり、正しい情報を得ていたメディア側でも続報の更新が遅れた形となった。
この件としては、今回京セラがTORQUEのポータルサイトにて回答をしたことで落着した形となった。
TORQUEを愛するファンには朗報!次世代機の開発も継続
「TORQUEが無くなるかもしれない」
この報道に対し「乗り換え先が見当たらない」「TORQUEのためにauを選んでいた」という声も多く見られた。他にも「仕事のお供」「これがなければ仕事にならない」と言った法人需要を思わせる声も見受けられ、ニッチな機種ながらも多くのユーザーに愛され、利用されていることがうかがえた。
ポータルサイトの言葉通り「お客様に愛されている」スマートフォンというもの肌身で感じた次第だ。筆者も慌てて後継になりそうな「似た機種」を探してみたのだが、どうやらその心配は杞憂だったようだ。
ニッチなからも愛されるスマートフォン。TORQUEの件はそれを感じさせる大きな出来事であった。
ソース:
https://torque.kyocera.co.jp/announcements/bhca3cdv7k9jhlv0