ASUSは日本時間29日、最新スマートフォンとなる「Zenfone 10」をオンライン発表した。Zenfone 9で好評だった「コンパクトハイエンド」というコンセプトはそのままに、Snapdragon 8 Gen 2を採用、144Hzリフレッシュレートに加え、ワイヤレス充電に対応するなど「小さいながらも最高のパフォーマンス」を達成したという。
価格はヨーロッパ向けで799ユーロ(約12万6000円 付加価値税込み)からとなっており、順次他の地域にも展開するとしている。
コンパクト路線を継続!日本発売も期待されるハイエンドスマホ Zenfone 10
Zenfone 10の売りは何よりも「片手で持てるコンパクト端末」であることだ。サイズは高さが146.5mm、幅が68.1mm、厚みは9.1mmとZenfone 9と同様のサイズになっている。
片手で持てること、ズボンのポケットに容易に収まることが売りだ
本体がコンパクトなこともあってディスプレイは5.9インチとこの手のハイエンド機としては小さい。画面のリフレッシュレートは144Hzに対応しており、ここは従来から大きな進化ポイントとなる。
リフレッシュレートをフレキシブルに可変させるLTPO制御等には触れられなかったが、この辺りは電池持ちに直結するので気になるところだ。
色表現もしっかり対応している。画面のピーク輝度は1100nitとなっている。
Zenfone 10はブラックとホワイトはもちろん、レッド、ブルーに加えてオーロラグリーンというトレンドカラーもラインナップに加えた5色展開だ。基本的にZenfone 9の意匠を継承したデザインとなるため、本体形状に大きな変化は見られない。
ホワイトを除き本体のフレームやカメラ部はグレーで統一されるなどのデザインアクセントが特徴だ。
プロセッサはQualcomm Snapdragon 8 Gen 2を採用。最新のプロセッサを採用したことで、従来機種に比較してCPUは15%、GPUは20%の性能向上を果たしている。加えて電力効率も15%向上したとのこと。
Snapdragon 8 Gen.2採用で高性能に仕上げた。これに加えLPDDR5X規格のメモリ、UFS4.0規格のストレージを採用し、高速な読み出しが可能となった。
カメラについては、メインカメラは5000万画素(ソニー製IMX766)を引き続き採用している。基本構成は前作と変わらないが、最新プロセッサを採用したことで、画像処理性能が大きく向上し、撮影体験の向上にもつながっているとしている。
Zenfone 9で好評だった6軸ジンバルカメラは「2.0」へ進化!パフォーマンスも向上した
手ぶれ補正については「Adaptive EIS」と称する強力な手振れ補正も備えており、通常撮影時よりも切り抜きされる範囲を少なくして撮影できる。
強力な手ぶれ補正によって、ズーム時でもブレを抑えて撮影できる。
超広角カメラは1300万画素のものを採用している。画角は120度としており、かなり広角で撮影できる。
フロントカメラは3200万画素のものを採用。RGBW配列のイメージセンサーを採用し、カラーバランスや暗所性能を向上させた。
そのほか、カメラ性能としてはクイックショットと呼ばれるものを備えており、これは音量ボタン2回押しでシャッターまで切れる。出して構えた際は手ブレもしやすいものだが、6軸ジンバル機構を持つ高性能な手ぶれ補正を備えているからこそ可能なものだ。
ライトトレイルや夜景モードなどの機能は従来に引き続き搭載されており、Zenfone 9等と同じような感覚で撮影することが可能だ。
指紋センサーは側面に備えており、一部操作は「ZenTouch 2.0」と称する指紋センサーのスワイプにて行うことができる
音声周りでは高品質なステレオスピーカーをはじめ、一部では根強い支持を持つイヤホンジャックも備える。ワイヤレスオーディオもaptX Lossless、LC3をはじめとした最新規格にも対応している
また、DIRACとの提携による高音質なサウンドチューニングも引き続き採用だ。
Zenfone 10ではヘッドホン使用時にROG Phone 7と同様に「DIRAC VIRTUO for Headphone」という処理が利用できる。これは仮想的なサラウンドと言えるもので、より音の広がりを体感できるという。また、この機能は接続しているすべてのヘッドホン、イヤホンに適用できるものとしている。
従来に引き続きIP68の防水、防塵にも対応だ
Zenfone 10では4300mAhのバッテリー、30Wの急速充電といった部分も備える。今作ではユーザーからの要望も多かったワイヤレス充電にも対応するなど機能面は充実している。
4300mAhのバッテリーを採用するが、バッテリー持ちはZenfone 9比較で12.9%向上しているという。
ユーザーからの要望に答える形でワイヤレス充電に対応した
パッケージは環境に配慮して100%再生紙を使用し、大豆油のインクを使用している
純正のアクセサリーとして、Zenfone 10 Connex CaseとConnex Accessories Setが用意される
まとめスライドを見ると、Zenfone 10はコンパクトながらも妥協のないプレミアムなスマートフォンに仕上がった
そんなZenfone 10の価格はメモリ8GB、ストレージ128GBで799ユーロ(約12万6000円)。メモリ8G、ストレージ256GBで849ユーロ(約13万4000円)。メモリ16GB、ストレージ512GBで929ユーロ(約14万6000円)となっている。
これに関してはZenfone 9よりも安価な設定となっており、筐体設計を据え置いたりした部分によるコストカットが価格にも反映されている。また、今回の価格はヨーロッパ向けの付加価値税が含まれており、日本で売る場合はもう少し安価になるはずだ。
価格は高価だが、確かな性能を秘めている
144Hz画面にワイヤレス充電対応でさらに完成度を高めた!Zenfone 10はコンパクトハイエンドスマホの決定版
今回のZenfone 10の発表会はグローバル向けとなったが、ASUS Japanも配信リンクをプッシュしたり、日本語字幕を用意するなど、日本向けの展開も示唆できるような内容だった。
近年のZenfoneシリーズは製品の特性上、コンパクトハイエンド端末の支持が根強い「日本市場」を主たるターゲットにしており、何事もなければZenfon 10もほぼ間違いなく日本で登場するはずだ。
また、Zenfone 9から筐体設計などを流用していることもあり、ニッチな機種ながら本体価格も安価にすることができている。Snapdragon 8 Gen.2は従来の「8+ Gen.1」よりも発熱が抑えられたチップセットとなるため、言及の少なかった冷却機構(恐らくZenfone 9と同様)でも問題は少ないと考える。
昨年のZenfone 9は円安が進む状況の中、日本向けにはFeliCa搭載というカスタマイズを行いながらも、最廉価モデルで9万9800円という10万円切りのかなり攻めた価格設定となっていた。
日本でもメモリ16GBのモデルを展開するなど、「オープンマーケットのハイエンド端末」として確固たる存在感を示していた。
半導体部品の価格高騰に加え、円安によって軒並み値上げが続くスマートフォンの中では安価な部類となる。基本コストを抑えたZenfone 10は、昨年のZenfone 9とほぼ同等の価格になると考えられる。
Zenfone 10は性能が高いだけでなく、お財布にも優しいスマートフォンになるのかもしれない。