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「支援の必要を感じない」「目標設定がナメてる」OPPOのAndroidタブレット「OPPO Pad2」のクラウドファンディングに感じた疑問

 OPPOはクラウドファンディングサイト「GREEN FUNDING」にて同社のハイエンドタブレット端末「OPPO Pad2」の支援形式での販売を開始した。すでに目標支援額は達成しており、事実上の日本投入となる。価格は台数限定の早期予約で7万2000円となっている。配送については9月下旬以降を予定している。


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日本でも投入となったOPPO Pad2

 

 OPPO Pad2のスペックはSoCにMediaTek Dimensity 9000を採用。Snapdragon 8 Gen.1に匹敵する高い性能を持ち合わせたチップセットだ。この機種をもって日本では初の市場投入となる。

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メモリは8GB、ストレージは256GBの構成となっており、こちらも普段使いには十分と思われる。


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画面は11.6インチ。7:5比率のアスペクト比が特徴で、画面分割時に窮屈にならない表示を売りとしている。

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この他67W充電やクアッドスピーカーなども備える


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タブレット本体のみならず 専用アクセサリーのケースやキーボード、ペンも同時に支援できる項目に含まれている

 

通常販売ではなく、クラウドファンディングで行うことに疑問。目標金額の50万円はもはやナメている

 

 OPPO Pad2は近年存在感を示す中国メーカーのハイエンドAndroidタブレット端末だ。ただ一般販売ではなく、クラウドファンディングサイトを通しての販売という点には疑問しかない。

 

 そもそも、クラウドファンディングは資本力の乏しい中小企業が商品を展開したり、大企業でも採算性の乏しいエポックメイキングな製品開発を行うための支援金を集める手段の1つという認識だ。

 

 正直OPPOはグローバル展開も行うほど大きな企業であり、資本力のないメーカーとも思えない。加えて、この商品はすでに中国やオーストラリアなどで販売されているものだ。そのため、クラウドファンディングという形で資金調達しなくても、メーカーの持つ販路で展開できる商品なのだ。

 

 加えて目標達成金額が「50万円」というのは、もはや日本市場をナメているに等しい。これはアーリープランでOPPO Pad2が9台分支援されれば達成する目標だ。

 もはや売るのは確定となっているような目標設定であり、それであれば普通に公式ストア等で販売すればいい話だ。

 個人輸入で日本に入ってくるような台数を目標設定金額にする時点で、クラウドファンディングというものすらナメていると考える。

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既に目標の3倍近い数字になっている

 

 ちなみに、20%オフの先行販売分150台を売り切ったとすると、当初目標の21.6倍という金額になる。これでWebメディアや店頭にて「クラウドファンディングで目標金額の2000%を達成した注目商品」「開始初日で目標達成した注目商品」とでも掲載されたら呆れるとしか言いようがない。

 

 正直 クラウドファンディングのサイトを見ても、「支援」という要素は感じらない。海外のメーカー商品紹介サイトのように書かれており、ECサイトのような形にしかなっていない。これならクラウドファンディングを行う意味すら問われるようなものだ。

 

 さて、日本において大手メーカーが同じような方法で展開したものはHuaweiのWatch Budsだ。そもそもこれはスマートウォッチの中に完全ワイヤレスイヤホンをねじ込んだ独創的なプロダクトのため、採算云々の前に市場規模すら見出せないほどエポックメイキングな商品だった。

 これについては 日本で販売する最低限の採算ラインを200台とし、支援目標金額は800万円としていた。これを達成できなければ、日本で展開しないという筋道が建てられていたものだった。

 ちなみにこの支援額は、約5万1000円で提供した早割100台を全て販売しても達成できない数字だった。

 

 単純な支援にとどまらず、二子玉川で実機を体験できるプロモーションを行ったり、各種展示会等で実機の展示も行うなど、製品販売のためのPRは強めに行われていた。目標達成後は量販店やAmazon等のECサイトでの一般販売も行っている。


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Huawei Watch Budsはクラウドファンディングにて需要調査を行った端末となる。

 

 今回のOPPO Pad2も同様の形で実機の体験も行えるようにしているが、Watch Budsのようなゲテモノではなく「ハイエンドAndroidタブレット」に加えて先行販売分の1/10が売れても目標達成という成功が確約しているプロダクトだ。

 市場ではサムスンやXiaomi、LenovoにGoogleが日本でも商品を展開しているセグメントとなり、OPPO以外にも競合他社が存在するのだ。

 

 これについて、テストマーケティングという考えなら理解できないこともないが、先述のHuaweiのゲテモノに比べると一般受けする製品だ。このため、わざわざクラウドファンディングという売り方をする必要があるのかという疑問がある。

 

 

価格も海外に比べて割高。完成された商品でクラファンの支援を行う必要がない

 

 

 正直筆者としてはこのような売り方はカッコ悪いというか、ダサいと評価せざるを得ない。そもそもOPPOはスマートフォンやタブレットのグローバルシェアでは上位に入るメーカーだ。試作品レベルのチャレンジングな製品ならまだしも、この商品はすでに中国などで販売されている完成された製品だ。

 

 そして 極めつけは価格だ。同サイトでは早期予約で20%オフの7万2000円としているが、これは割引がなければ8万6000円となる。


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150台限定で7万2000円だ

 

 ちなみにOPPO Pad2は中国では2999元(約5万9500円)で販売されている。これは競合他社も同等クラスの製品を展開しているため、戦略市場と位置付けの価格設定だ。今回の仕様に近いグローバルモデルはオーストラリアで販売されており、そちらの価格は699豪ドル(約6万5500円)となっている。

 

 今回の価格設定は台数限定の先行予約でも、海外の通常価格より高価なものとなっている。日本向けの台数を絞った関係の価格設定と考えるが、それでは「iPadよりも高性能で安価」というこの製品のアイデンティティーすら失われてしまう。

 

 もっと言ってしまうと、クラウドファンディングサイトは基本的に手数料として支援された金額のうち、一定の割合でサイト運営会社に支払う仕組みとなっている。

 つまるところ、これを直販ストアで販売すればこの手数料分の値引きも可能になる。台数限定の早期予約割引もクーポン配布という形で公式ストアでも行うことは可能なはずだ。

 

 現にXiaomiが同様のことを行っていて、なぜOPPOができないのか?という話にもなってくる。様々なマージンが重なって商品価格が高価になっているのであれば、それこそ消費者ファーストとは言えない。

 

 

 最後になるが、OPPO Pad2は端末としての完成度も高く、使い勝手も考えられた製品であることは伝えておきたい。激戦区の中国でも画面比率やスマホとの連携性を売りにして、市場からも注目されている。

 そのような完成された「ハイエンドAndroidタブレット」を発売から半年遅れで日本市場に投入することについて、クラウドファンディングを必要とするほどの資金調達を行う理由が見当たらない。

 市場調査という目的だとしても、競合他社が商品を展開しているくらいメジャーなものとなっており「一部のマニア向け」と言えるニッチなジャンルでもない。

 先述の目標金額を考えれば、日本に投入する予定で準備をしていたものを「様子見」という形でテストマーケティングに切り替えたと考えるべきだ。ある意味成功が確約されたテストとなるが、これをを行わないといけないくらい今のOPPOは日本市場に自信がない状態と考える。

 

 家電量販店等で取り扱ってもらうための口実作りや、キャッチコピーという見方もできなくはないが、言い換えれば自社の製品の強みをうまく対外的にアピールできていないことにもなる。それこそ、OPPOクラスの企業なら市場調査を行う専門の部門もあるわけで、OPPO Pad2に関しては役割を放棄したとも言っていいくらいだ。

 

 もちろん、大手企業がクラウドファンディングを使うことを悪とは言わないが、今回の場合は周辺機器に少し工夫をするだけでも消費者に与える印象は変わったことだろう。

 

 例えば、キーボードを日本のユーザーが使いやすいように日本語配列のものを用意する。日本のユーザーがよく利用するアプリへの最適化を行う。このような日本市場投入にあたって、ローカライズによる付加価値提供を行うための資金が欲しいといった形のアプローチであれば 「クラウドファンディングにて支援を募る必要があるのか?」という疑問はなくなるはずだ。

 

 さて、これで日本でも発売が決まった注目のOPPOハイエンドAndroid タブレット。売り方こそ疑問だが、日本のユーザーにとって選択肢が増えることはありがたいことだ。

greenfunding.jp

 

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