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シャープ AQUOS R8 proを自腹レビュー さらに進化したカメラとエンタメ性能!20万円の価値はあるのか

 シャープから発売されたカメラスマホ「AQUOS R8 pro」が7月に発売された。さらに進化したカメラと妥協のないエンタメ性能が売りというフラグシップをレビューといきましょう。

 

色表現がさらに進化!より簡単に綺麗な写真が撮れるAQUOS R8 pro


 このAQUOS R8 proのデザインを見て、まず目が行くのは大型の背面カメラだ。センサーサイズは1型を採用しており、大きさだけなら市場にあるスマホでは最大のもので、高級コンデジなどと同等のサイズだ。f:id:hayaponlog:20230807212948j:image
大型カメラの存在感と本体の重厚感が圧倒的だ

 

 AQUOS R8 proではAQUOS R7と同じ有効画素数が4720万画素のイメージセンサーを採用。これはソニー製のIMX989となっており、Xiaomiやvivo、OPPOのハイエンドスマートフォンでも採用されている。カメラのチューニングはAQUOS R7から引き続き独ライカカメラ社が監修している。スマホメーカーとの共同チューニングではXiaomiと並ぶ形だ。


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センサーが1型と巨大なゆえに、近年のスマホによくある多眼化はAQUOS R7同様に見送られた。また、リアカメラには深度センサー(tofカメラ)も備える

 

   レンズはAQUOS R7同様に35㎜換算で19㎜となり、一般に超広角に分類される画角だ。レンズ自体はライカの「ズミクロン」を冠するものとなり、コーティングが一新されるなど着実に改善されている。新機能として、色の波長を捉えられる「スペクトルセンサー」を搭載。従来よりも見たものに近い色で撮影できるようになった。

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カメラの右側にLEDフラッシュと共に備えられているものがスペクトルセンサーだ

 そんなAQUOS R8 proの作例は以下の通り。デフォルトではデジタルクロップで24㎜相当の撮影となり、作例は全て撮って出しの無編集の状態だ。f:id:hayaponlog:20230807215939j:image

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 AQUOS R8 proではどちらかというと、ライカを冠するファーウェイのスマホに近い質感の絵が出るスマホとなった印象だ。加えてスペクトルセンサーを採用したことで、より正確な色表現が可能だ。特に黒の表現が非常に豊かになっており、黒つぶれしそうな場面でもしっかりとディテールを残せている。

 解像感なども昨年のAQUOS R7に比べ、大きく進化したのがうかがえる。一方でセンサーが1インチと大型なこともあり、良くも悪くもボケみがスマホとしては強めとなる。正直、「この写真をシャープのスマホで撮りました!」と言ったところで数年前の筆者はまず信じないことだろう。思った以上の出来で驚くばかりだ。

 


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 AQUOS R8 proの夜景モードは、手持ちモードではだいたいシャッタースピードが1秒ほど、三脚モードでは4〜32秒をシーンに応じてオートで切り替わる。また、三脚モードは自動で切り替わるものになっており、これはGoogle Pixelなどと同じ挙動だ。ただ、場面によっては過度に明るくするような挙動をすることがあったので、この辺りは今後のアップデートにて改善してほしい。


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AQUOS R8 proは夜景モードに「花火モード」が追加された。このモードでは夜景撮影時に連写が可能となっている

 

 AQUOS R8 proでは、前作同様に単眼でペリスコープ望遠レンズを備えていないため、ズーム性能は最大6倍までと高くない。この辺りはテレ端(デジタルズームで144mm相当)となるが、さすがにディティールも潰れかかる。 

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AQUOS R8 pro 6倍望遠。補正は弱めなので3倍望遠くらいまでが実用域だ

 

カメラだけじゃない。シャープが送り出す渾身のプレミアムフラッグシップスマホがAQUOS R8 pro


 AQUOS R8 proに関しては1型センサー搭載のカメラ性能に注目しがちだが、画面性能なども大きく評価したい。ざっとスペックを書くと以下の通り。

 

SoC:Qualcomm Snapdragon 8 Gen 2
メモリ:12GB
ストレージ:256GB

画面:6.6インチ FHD+ Pro IGZO OLED

カメラ
リアカメラ:4720万画素 1型センサー
フロント:1300万画素
別途tofセンサーあり

バッテリー:5000mA/h
無接点充電対応

防水防塵、おサイフケータイ

 

 画面は近年のAQUOSらしく自社製造のOLEDパネルを採用。前作のAQUOS R7と比較して、自然な色が表現できるようになった点は大きく評価したい。また画面の色温度を任意調整もできるので、自分好みの設定にすることも可能だ。加えてAQUOS R8 proでは、色帯域をそのままにブルーライトをカットする仕組みが採用されており、目に優しいディスプレイだ。

 画面解像度はFHD+で競合他社のトレンドを押さえつつ、独自のものとしてAQUOS R7同様にPro IGZO OLEDなる自社製品を採用している。特徴は可変リフレッシュレート対応となり、1~240Hzまでフレキシブル可変させる点だ。

 近年のハイエンドスマホはLTPO技術と呼ばれる、可変リフレッシュレート対応の画面を持つ機種が増えてきている。AQUOSではこの部分を自社設計として、より柔軟なチューニングや省電力化を可能にしている。これにはIGZO液晶で培った制御機構などが盛り込まれている。f:id:hayaponlog:20230807213742j:image
画面は6.6インチと大型。発色もよい自社製のOLEDパネルを搭載。AQUOS R8 proではフラットディスプレイとなっている

 

 画面輝度もピーク時2000nitと比較的明るく、直射日光下でも文字がしっかり読める。加えてAQUOS R8 proではフラットディスプレイを採用し、画面保護フィルムも選びやすくなった。

 

 指紋センサーは画面内蔵のものとなる。AQUOS R7と同様にクアルコムが開発した2本の指で同時認証可能な「3D Sonic Max」を搭載している。この機能は二本指での認証でセキュリティ面が高められるほか、認証範囲が広く認証時でもストレスも感じにくいものになっている。指紋認証の速度は爆速と表現できるもので、認証感度も良好だ。画面内指紋認証の感度の悪さで悩む方には朗報だ。

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SonicMaxは大型の指紋センサーとなる

 

 プロセッサはSnapdragon 8 Gen 2を搭載と今年のハイエンド機らしいところはしっかり押さえ、メモリも12GB、ストレージは256GB+SDカードと必要十分だ。冷却性能も比較的優秀で、フレームを使った放熱に加えて特許出願中のカメラ周りのリングから放熱する新しい仕組みを採用した。

 高性能なプロセッサと新しいの冷却機構によって、長時間のゲームも問題なく遊ぶことができた。ゲーミングの側面を見ても、ハイエンドセグメントでh採用が減っていくイヤホンジャックを引き続き備える点は評価したい。

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カメラのリングを使ってプロセッサの発熱を逃す仕組みを採用する

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イヤホンジャックを備える。

 

 AQUOS R8 proを使ってみると、ハイエンド機というのもあって動作にストレスは感じない。Snapdragon 8 Gen 2は発熱も少なく、本体チューニングもあってよほどのことをしない限り発熱で「熱い」と感じることは少ない印象だ。

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原神も快適に動作するハイエンド機だ

 

   AQUOS R8 proではボックス構造を採用。これによって本体スピーカーの音はかなり良くなっている。力を入れている中国メーカーのハイエンド機には劣るが、「鳴っていただけ」と評価された過去モデルからしっかり改善されている。また、ワイヤレスのサウンドも充実しており、最新規格のaptX Losslessにも対応している。LDACに加えてSnapdragon Sound、LE Audioにも対応するため、ワイヤレスイヤホンなども柔軟に選ぶことができる。

 

 バッテリーも5000mAhと大容量のものが採用されており、電池持ちもAQUOSらしく長持ちだ。軽く利用した限りではXperia 1 Vなどと同じくらいの電池持ちであり、これは概ね8時間は満足に利用することが可能だ。ゲームなどに関しては熱落ちという現象はほとんどない。原神の高画質/60fpsモードで20分ほど利用しても処理落ち等はなく、快適に遊ぶことができた。

 これに加えて、バッテリーいたわり機能の「インテリジェントチャージ」も採用している。この他にも画面点灯時は給電しない、バッテリー満充電を90%に抑えると言ったバッテリーを劣化させにくい工夫がされている。

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本体はフロストガラスを採用。質感は歴代AQUOSでもトップレベルと言える。

 

5年間のソフトウェアアップデートやSDカード対応!安心して長く使えるAQUOS R8 pro

 AQUOS R8 proではシャープでは初の3回のOSアップデートと最長5年の長期アップデートを保証する機種となった。近年のスマートフォンは長期利用するユーザーも少なくなく、このような部分は安心して利用できる要素だ。また、綺麗な写真を撮れることを売りにしている機種でもSDカードに対応している機種は極めて少ない。たくさんの思い出を保存しても簡単に容量を増やしたり、ストレージを切り替えることができる点は大きな差別化ポイントだ。

 

 AQUOS R8 proは前作のAQUOS R7で感じた惜しいところを潰して、着実に進化を遂げた機種と評価できる。カメラに関しては、プロセッサレベルで最適化が行われた1型センサーに加え、色表現向上を目的としたスペクトルセンサーを採用。ハードウェアレベルも大きく進化していたのだ。

 これに加えて最新プロセッサによって高速オートフォーカスや夜景モードでの連写などを実現している。加えて、レンズ設計などを見直すことで、クセありだった最短撮影距離によるバーコードの読取などについてもテコ入れされている。

 そのため、AQUOS R8 proでは撮影の幅が大きく広がった。夜景や星空などの三脚を用いるような撮影でも、以前より富んだ表現が可能だ。マニュアル設定のプリセットも可能になったので、再度同じ設定で撮影する時にも、数値を調整する必要もない。


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モノクロ撮影もより質感が出るようになった

 

 多種多様なスマホが登場しても、AQUOS R8 proが「カメラ」で存在感を湿していることは間違いない。シャープが以前から主張していた「なんとなくハイエンドスマホを買う時代は終わった」という言葉は、このAQUOS R8 proにて大成したように感じる。

 カメラ以外では、

 

 また、キャリア版ながら他社の電波もしっかり使える仕様となっており、物理とeSIMのデュアルSIM運用(DSDV)にも対応している。これによってeSIM側にはサブ回線で楽天モバイルやpovo 2.0などを使用することも可能になった。

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気になるパッケージはシンプルなものだ

 

最後に。AQUOS R8 proの価格は20万円の価値はあるのか?

 

 世界的に評価の高いカメラスマホが相手でも、対等レベルで比較対象にできる性能をAQUOS R8 proは手にしたと評価できる。日本で販売されているスマホで、このクラスのカメラ性能を持っている機種は少数だ。

 さて、AQUOS R8 proの難点は価格だ。近年ではキャリアの取り扱い方法の変化によって価格が高騰する傾向もあるが、シャープの機種も例に漏れずAQUOS R8 proはドコモ版は20万9000円、ソフトバンク版が19万1520円と高額になってしまった。この設定はGalaxy S23 Ultraよりも高額で完全にキャリアの分割払い、お返しプログラム等の残価型プランと呼べる買い方前提の価格設定だ。

 

 ここで気になるのはAQUOS R8 proに「20万円の価値があるのか?」という疑問だ。実際に使って正直に言わせてもらうと、この機種に20万円の価値はないと筆者は考える。カメラ構成、端末の品質やソフトウェアの完成度を考慮してもせいぜい16万円くらいが妥当、それでも高価と考える。本来ならメーカーもこのくらいの価格を想定していたと考えるが、キャリアの分割購入施策を前提とした高価な価格で評価されてしまうのは惜しいと言わざるを得ない。

 それでもなお、シャープがこんな尖ったスマホを出して来れるのはある意味好調の証拠である。senseシリーズをはじめ同社のスマートフォンはカメラ性能重視のブランディングを強く押し出しており、その集大成がAQUOS R8 proなのだ。

 

 筆者としては、AQUOS R8 proは満を持して「カメラスマホ」と呼べる機種であることに揺らぎはない。簡単にキレイに撮れるカメラと、普段使いのバランスにこだわる。そんなこだわりのある層にむけたフラッグシップスマホだと感じた次第だ。

 今作ではケースメーカーとタッグを組んで、レンズフィルターを装着できるケースも発売された。Xiaomiなども公式でこの手のケースを販売するなど、外付けで手軽に表現力を拡張することがトレンドになりそうだ。そう言う意味ではカメラスマホの最先端を行く製品だ。

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エレコムからレンズフィルターを装着できるケースも発売される

 

   そんなAQUOS R8 proというスマートフォンはAQUOS R3やR5Gをお持ちの方はもちろん、AQUOS R6を使っている方や他社のカメラ特化のスマホをお持ちの方が乗り換えても納得できる商品だ。日本では「カメラスマホ」としての地位を確立しつつあるシャープのハイエンドスマホ。ライカとコラボして3機種目となったこの機種以降も今後も目が離せない。

 

 

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