オウガ・ジャパンは9月28日、新型スマートフォンとなる「OPPO Reno10 Pro 5G」を発表した。グローバル展開していたベースモデルにFeliCaを備えた日本向けモデルとなる。オープンマーケットのほか、キャリアではソフトバンクが取り扱う。
カラーはグロッシーパープル、シルバーグレーの2色展開。10月6日の発売で、価格は直販ストアで8万6800円、ソフトバンクでは8万640円となっている。
日本ではオープンマーケット、キャリア共通でこの2色が展開される
OPPO Reno10 Proの基本性能をチェック。30分以内でフル充電できる80Wの急速充電は嬉しい
OPPO Reno10シリーズは同社の顔となる上位モデルの位置づけの製品で、グローバルでも展開された製品だ。フラグシップのFind X6シリーズが中国以外では販売されなかったことから、実質的なグローバル向けフラグシップとなっている。
OPPO Reno10 Proはベースモデルで、今回は日本に投入されなかった最上位モデルの「Reno10 Pro+」も存在する。
OPPO Reno10 Pro 5Gでは、「ワンダフルチャージ」をテーマに端末を29分でフル充電可能な80Wの高速充電、10億色の従来モデルからメモリの増強が図られている。
チップセットは「Qualcomm Snapdragon 778G 5G」を採用し、メモリは8GB、ストレージは256GBとなる。最大8GBまでの仮想メモリ割り当ても可能で、トータル16GBまで拡張できる。
画面はFHD+解像度、6.7インチOLEDディスプレイを採用。10億色の色表現、120Hzのリフレッシュレートにも対応だ。
ディスプレイはReno Aシリーズより高品質なものを採用した
本体背面のリアカメラは、メインカメラに加え、超広角、2倍望遠の3眼構成となる。
メインカメラは5000万画素のソニー製「IMX890」を採用し、光学式の手ブレ補正も備える。超広角カメラは800万画素、3200万画素の2倍望遠カメラを備える。
売りは3200万画素の2倍望遠カメラだ。換算で50mmという人物撮影を行いやすい画角に設定し、高性能なイメージセンサーを採用した。ポートレート撮影をする場面で、より綺麗に撮影できるとしている。
フロントカメラについても、2倍望遠カメラと同様の3200万画素のセンサーが採用されている。こちらもキレイなセルフィーが撮影できるとしている。
最大の売りは「80W SUPERVOOC フラッシュチャージ」という急速充電機能だ。日本では65Wのものが過去に出ていたが、これの進化系と言える存在だ。この機能によって4600mAhのバッテリーを約28分でフル充電できる。
また、独自のバッテリー管理技術「BHE」によって、このような急速充電を行っても劣化しにくいものとなっている。同社では1日1回の充電で換算しても、4年間は80%以上の性能を保てるとした。
80Wの急速充電は付属の専用チャージャーを用いて行う。予備が欲しい方向けに別売もされるようだ。
長く使える仕組みも備える。OSにはAndroid 13をベースにしたColorOS 13を採用。「Dynamic Computing Engine」と呼ばれるバックグラウンドと管理によって、長期間使用できるよう改良されている。
アップデートの期間は明記されなかったが、Reno9 Aのような「システム劣化度」を抑える仕組みも備え、4年使っても快適な動作ができるとした。
このほか、IP54等級の防滴、防塵機能にも対応し、日本独自のカスタマイズとしておサイフケータイにも対応だ。いわゆるセキュア仕様のFeliCaとなっており、マイナンバーカードの電子証明書をサポートした。
海外展開のスタンダードモデル。8万円の価格に対してスペック不足とアップデートの不透明さが難点か
今回のOPPO Reno10 Pro。直販の8万6800円の価格を見て「高い」と思った方もいたかもしれない。Reno9 Aの倍近い値段でかつ、防水性能で劣るならそう思えるかもしれないが、この機種はグローバルのRenoシリーズがベースとなっており、日本専売のReno Aシリーズとは異なる立ち位置のスマートフォンとなる。
この手のスマホだと先行販売された海外版は安く、日本版がべらぼうに高いのでは?と思われるかもしれないがそのようなこともない。
先行販売されている香港での価格は3999香港ドル(約7万6000円)だ。これに日本の消費税やFeliCaを搭載するカスタマイズを考えたら、直販版の8万6800円、家電量販店のポイント還元で実質7万8000円前後の設定とした日本版のReno10 Proはかなり頑張った製品と評価できる。
香港版も決して安い価格ではない
その一方で、消費者側目線の懸念はOSのアップデートだ。OPPO Reno10 Pro 5Gは既にリリースから2年が経過したプロセッサを採用するため、一般にプロセッサベンダーから新規OSへの最適化が行われてないことで、OSアップデートは難しくなる。そのため、ハードウェアとしては利用できてもソフトウェア的な製品寿命は見込めないと考える。
バッテリー充電技術や各種最適化機能で4年使えるとしても、2年落ちのアッパーミドルを今から4年使うとなれば後半にはスペックに余裕がなくなってくることも予想される。
加えて、オウガジャパンの展開した過去の日本向けスマートフォンは、グローバルよりも短命のOSアップデートとなった機種がほとんどだった。
これは10万円を超えるFindシリーズでもそのような扱いだったため、同社が推し進める「長く使う」といったところでは懸念が残る。
加えて、この機種はグローバル市場でも苦戦を強いられている機種となっている。大きな理由はやはりプロセッサのSnapdragon 778Gは「2年前のアッパーミドル」と評価されているためだ。
単純性能ではXiaomi Mi11 Lite 5Gやnothing phone(1)と大きく変わらず、世界的に見ても競合となるスマートフォンはより高性能なものになっている。正直今年の後半に入って約8万円の価格で出すスペックの機種ではないのだ。
2021年発売のMi11 Lite 5Gと基本的なスペックは変わらない
これは日本市場でも厳しいものになると考えられる。OPPO Reno10 Pro 5Gと競合してくるスマートフォンはiPhone SE(第3世代)、Google Pixel 7a、Motorola edge 40、nothing phone(2)あたりとなる。プラス1万円でASUS Zenfone 10や、価格は未発表だが先日発表のXiaomi 13Tも選択肢に入ってくる激戦区だ。
Reno10 Pro 5Gはこの中で最もスペックが低く、防水性能も防滴までとアピールできるポイントが少ないのだ。他のスマホにない10億色の色表現が可能なディスプレイ、2倍望遠カメラ、80Wの急速充電、256GBのストレージが差別化ポイントとなる。
また、ソフトバンクでは発売日から実質24円の施策を入れて安価に購入できるとしたが、これでもiPhone SEとPixel 7aが競合として立ちはだかる。同条件ならiPhone 13や14もあるため、厳しい状況となることは確かだ。
最も価格帯や性能が近いPixel 7aを比較に出しても、基本性能や防水性能の高さで差を開けられる形となる。アップデート期間が不明確なReno10 Pro 5Gに対して、明確なアップデート期間をアピールしたPixel 7aは昨今の「長く使う」という考え方に対して、親切さがあるように感じる。
OPPO Reno10 Pro 5Gについては惜しい点がいくつかあるが、10億色の色表現が可能なディスプレイ、2倍望遠カメラ、80Wの急速充電といった機能を備える。グローバル版と比較しても高価になっておらず、機能と価格帯を考えれば攻めた要素も多い。
この優位性をメーカーやソフトバンクがどれだけアピールできるかで、このスマホの命運を分けそうだ。
OPPO Reno10 Pro 5Gスペック
SoC:Snapdragon 778G 5G
メモリ:8GB
ストレージ:256GB
画面:6.7インチ OLEDパネル
10億色の色表現
120Hzのリフレッシュレート対応
カメラ
標準:4800万画素
超広角:800万画素
2倍望遠:3200万画素
バッテリー:4600mA/h
80W急速充電
Android 13 ColorOS 13.1