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Huawei FreeBuds 5 レビュー LDAC対応ノイズキャンセリングで驚きの高音質!インナーイヤー型の常識を覆す完全左右独立型イヤホン

 ファーウェイが日本でも発売した完全ワイヤレスイヤホン。最新技術を惜しみなく投入したFreeBuds 5を手に取れる機会があったので、今回レビューしてみることにする。

 

 

スマホ屋が本気で作ったハイレゾ対応インナーイヤー型イヤホンをチェック!

 

 市場競争が過熱する完全左右独立型イヤホンの市場。今年も各社ハイエンドモデルや新型商品が発表されるなど、ますます注目度が高まっていくセグメントだ。そんな中でスマホメーカーとしてお馴染みのファーウェイが、満を持して発売したフラッグシップイヤホンがこのFreeBuds 5だ。

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箱はスマホメーカーのイヤホンでよく見かけるタイプのものだ。今回はコーラルを使用する

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ケースは艶消しの加工がされており、レビューのコーラルはどちらかと言えば「シャア専用」を感じるピンクがかった赤だ。サイズはやや大きいが、Qi規格の無接点充電にも対応する。

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本体の収まり悪くない。いわゆるAirPodsのようなものとなるが、ケースの形状を卵型に改善し、より本体を取り出しやすくなっている

 

 

 FreeBuds 5の対応コーデックはSBC/AAC/LDAC/L2HC(ファーウェイ独自)に対応している。LDACではハイレゾ相当となる24bit/96kHz再生も可能な一方、低遅延が特徴のaptX系には非対応だ。


 コーデック面でもトレンディなところを押さえるが、核となるオーディオ面についても妥協はない。ドライバーユニットは11mm経のものを採用しており、デュアルマグネット機構と音圧強化技術を用いたことで16Hzからの低域を再現できるという。インナーイヤー型では構造上完全に密閉することができないため、低域再生には不向きとされているが、どのようなサウンドなのか気になるところだ。

 サウンドチューニングについては、ファーウェイの音響ラボで研究された成果が反映されている。同社は2012年から音響ラボを設立して研究を続けており、今回の製品はその音響技術の賜物と評価できるのだ。もちろん、グラフィックイコライザーも備えるので、ユーザー好みの調整も可能だ。

 


インナーイヤー型とは思えない重低音。びっくりの高音質サウンド

 

 低域再生も強化されて音にも妥協はないと触れ込みのFreeBuds 5を早速聴いてみることにする。今回の試聴曲はこちら

 

Mix shake!!/スリーズブーケ

Mix shake!!

Mix shake!!

  • スリーズブーケ
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 


catch my feeling/MILLIONSTARS Team4th

catch my feeling

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  • MILLIONSTARS Team4th
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 


トワラー/MILLIONSTARS Team7th

トワラー

トワラー

  • MILLIONSTARS Team7th
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 


スロウリグレット/田所あずさ

スロウリグレット

スロウリグレット

  • 田所あずさ
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

 

 

 今回の試聴環境はスマートフォンにソニーのXperia 1 Vを使用し、LDACの環境で試聴する。ストリーミング環境もスマホ単独で24bit/96kHzの再生が可能で、LDACにある意味適したハードウェアを備える機種だ。

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今回はXperia 1 Vを用いて試聴した


 実際に聴いてみると「所詮はスマホ屋のイヤホンじゃん。」と下に見ていた自分に腹が立ってくる。インナーイヤー型の特徴である抜けの良い高域、滑らかで解像感の高いボーカル、厚みのある低域。音に関しては何を取ってもApple AirPodsなどからひとつ抜けたところに位置する。


 高域は自然な伸びが特徴だ。安価なインナーイヤー型にありがちな「シャリ感」はなく、うるささは感じない。開放的な抜けの良さも備える心地よいものだ。そして大きく進化したポイントは低域再生だ。特に量感やレスポンスはインナーイヤー型としては驚くもので、EDMをはじめとした現代音楽にもしっかりマッチする。

 
 この抜けの良さはコーデックに大きく依存する。伸びやかな高域を体験したいのであれば、LDACやL2HC環境での利用を強くオススメする。ボーカルの滑らかさや低域の量感、レスポンス共に高いレベルだと感じた次第だ。完全ワイヤレスイヤホンでここまで上手く鳴らせるのであれば上出来だ。

 

 最初にスロウリグレットを聴いてみる。透き通るヴォーカルに対して、高域の伸びやかさが印象的なサウンドだ。塞ぎ込まれたような窮屈さや過度な濃密さと表現されるものはなく、いい意味でハイレゾを意識したチューニングとなっている。


 曲をcatch my feeling、並びにMix shake!!に変えてみる。インナーイヤー型ながら低域のレスポンスの良さ沈み込みがあり、窮屈さを感じさせない空間表現は高く評価したい。この曲はかなり低域が効くが、低音がしっかり入りながらも解像感を持ちつつボーカルなどには被らない。この解像感とレスポンスの良さは、強力なマグネットを採用した点が生きていると感じられる部分だ。


 ここでトワラーに曲を変えてみる。冒頭の静けさとアコースティックギターに映えるボーカル表現も悪くない。特段エロティックといったリアルさはないが、程よい伸びで「聴かせる」要素は揃っている。サビのドラムスとベースが入ってくる場面の低域は重厚感があり、リズミカルなビートを聴かせてくれる。サウンドステージも比較的広い機種となるので、このような曲でも窮屈さを感じさせずに気持ちよく聴ける。

 

 ここまで聴いてきて、FreeBuds 5のサウンドクオリティはインナーイヤー型ながらもかなり高いことが分かる。所詮はスマホ屋のイヤホンと馬鹿にしていたのは申し訳ない限りだ。さすがに有線のイヤホンには劣るが、LDAC環境であれば有線環境に近いところまで来ていると実感できた。

 

インナーイヤー型ながらノイズキャンセリングが売りのFreeBuds 5。通話性能や操作性も強化

 

 さて、音質についてはこの辺りにして、ここからはノイズキャンセリングやマイクの品質について書いてみる。今回このイヤホンを利用して、すごいと感じた点はインナーイヤー型ながら驚くレベルのノイズキャンセリングだ。

 前述の通り、インナーイヤー型では完全に密閉できないためノイズキャンセリングでは不利になる。そのため、インナーイヤー型でノイズキャンセリングに対応する機種はいくつか存在するものの、効果的なものは少なかった。


 ただ、今回はインナーイヤー型ながら、あのファーウェイが「ノイズキャンセリング」というのだから相応のクオリティに仕上げてきたはずだ。

 そのノイズキャンセリング性能は思った以上に強力だ。確かにFreeBuds Pro 3などに比較すると劣るが、ノイズキャンセリングをオンにすると、周囲の喧騒や電車の走行音が静かになることが分かる。それでいて耳元を圧迫することもないため、密閉型で感じる息苦しさなどは感じない。


 通話音質も良好だ。通話時は3つのマイクに加え、AIアルゴリズムも用いて高音質な通話を可能にしている。こちらもVPU(Voice Pickup Unite)の配置を最適化し、従来よりも高音質で音声を収音できるようになったとしている。


 音以外の部分もしっかり評価したい。この機種の特徴としてはIP54相当の防水対応にマルチポイント接続がある。マルチポイント接続は2つの端末との同時接続が可能だ。
 例えば、プライベートと仕事用で携帯電話を分けて利用している場合、前者から音楽を再生し、後者の着信待ち受けを常時を行うことが可能だ。高音質再生を売りにする機種でマルチポイント接続できるものはかなり少ないため、そのような意味でも貴重な存在となる。

 

 FreeBuds5では接続した両方の機種で対応していればLDACコーデックが利用できる。ファーウェイの端末間であれば、よりシームレスな接続が可能だ。スーパーデバイスからワンタップで接続したい端末に切り替えて利用できる。ちなみにイヤホンのOSはHarmony OS 4.0となっていた。

 

 バッテリー性能はANCオフで連続約5時間、充電ケースと組み合わせで最長30時間。ANCをオンで連続約3.5時間、充電ケースと組み合わせで最長20時間バッテリーが持続する。実際に利用した限りでは、公称値並みに利用できることを確認した。

 

 イヤホンのアンテナ部に特徴的な窪みを持つ形状を採用。実はこの窪んだ部分が珠間切痕(耳の軟骨が切れている部分)に収まり、抜け止めのように作用する。
 このため、インナーイヤー型ながら「耳から落ちにくい」構造になっている。耳にしっかりフィットさせることもできるため、低域再生やノイズキャンセリング性能の向上にも大きく作用している部分だ。

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異様な見た目だが、フィット感はかなり良好だ。激しく動いても耳から落ちることはなかった。

 

 

インナーイヤー型ではトップクラスの高音質!ノイズキャンセリングを備えて2万円台は破格?

 

 

 今回のHuawei FreeBuds5だが、インナーイヤー型とは思えない低域再生のほか、高いノイズキャンセリング性能も備える意欲作と感じた。
 地道なハードウェア強化、コーデックの強化といった「進化」を感じる要素は多く、「ワイヤレスイヤホンの新境地」とも言える高いレベルを見せつけられた。

 

 完全ワイヤレスイヤホンの場合、通常のイヤホンに比べて出荷数が多い分パーツコストを圧縮できる。それ以上に、処理アルゴリズムやハードウェアを自社開発していることも、この価格に抑えた理由だと改めて感じる。研究開発に惜しみなくコストを投入し、グローバル展開できる販路とブランド力を持ったファーウェイだからこそできるものだ。

 

 事実、米国の制裁でスマートフォンの展開は難しくなったものの、ウェアラブル端末やワイヤレスイヤホンについては好調であり、日本でも比較的売れ筋となっている。

 スマホ屋のファーウェイが本気で作ってきた完全ワイヤレスイヤホンのニューモデル。サウンドクオリティや機能性などのトータルでの完成度はかなり高く、単品として評価してもなかなか素晴らしいものであった。時折セールも行われているようなので、興味がある方はぜひ検討してみてはいかがだろうか。

 

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