こんにちは。これまで使ったスマホは300台以上。生まれはギリギリZ世代のライター はやぽんです。
さて、サムスンの最新スマートフォン「Galaxy Z Flip5」が日本でも発売されてから4か月が経過した。キャリアだけでなくオープンマーケットでも発売されるなど、ますます注目される1台だ。
今回は筆者が4ヶ月間実際にGalaxy Z Flip5を利用して良かったこと、惜しいところをまとめてみたいと思う。
- Galaxy Z Flip5の大画面カバーディスプレイは思った以上に便利だった
- フリップタイプとしては高性能。バッテリー持ちがやっぱり惜しい
- Galaxy Z Flip5は新時代のフリップタイプ決定版。カスタマイズ性も兼ねたスマートフォン
Galaxy Z Flip5の大画面カバーディスプレイは思った以上に便利だった
Galaxy Z Flip5はフリップタイプの縦折型のフォルダブルスマートフォンだ。日本向け価格は約16万円からとプレミアムラインの機種だ。特徴として、3.4インチの巨大なカバーディスプレイが目につく。
まるで「ふきだし」を意識した大型のディスプレイでは、従来の通知やクイックアクションに留まらない「今までにない体験」が可能としている。ここからはカバーディスプレイを用いた体験を中心に記していく。
拡大したカバーディスプレイはより多くの情報を表示できる
フリップタイプのフォルダブルスマートフォンにおいて、カバーディスプレイは通知やクイックアクションと言った「スマートウォッチ」的な用途で利用されることが多かった。正直この用途でしか利用できないのならスマートウォッチで事足りてしまう。
ここでサムスンも方針転換を行い、Galaxy Z Flip5では通知のみならず「第2の画面」として普通に利用できる表示領域を獲得した。ブラウザはもちろんLINE等のメッセンジャーアプリやSNSなども無理なく表示することができるが、デフォルトでは一部制約がある。
これについては日本でも「Good Lock」というユーザー好みに一部機能を拡張できる機能が利用できるようになった。これによって、カバーディスプレイをより柔軟に利用できるようになる。Googleマップや各種バーコード決済画面の表示はもちろん、原神などのゲームも動かすことも可能だ。
電卓などはカバーディスプレイで動かすと便利だ
このように柔軟にアプリが起動できるGalaxy Z Flip5だが、アプリのアスペクト比は引き継ぐことができない。そのため、基本的にアプリは再起動する形となる。ゲームなどでは億劫かもしれないが、SNS等であればそこまで不満には感じないはずだ。
また、Flipsute Coverを使えば本体だけでなく、カバーディスプレイをテーマのように「着せ替え」ができる。日本でもいくつかの種類が販売されており、今後拡充されれば新たなトレンドにもなりそうだ。
コンテンツカバーは韓国アーティストなどのものが展開されている
日本限定のカバーも存在する
日本以外でも各種限定のカードが用意されており、韓国では原神とコラボした商品もある
カードを背面に置くとカバー画面のテーマが置き換わる
フリップタイプとしては高性能。バッテリー持ちがやっぱり惜しい
ここまでカバーディスプレイの操作感を中心に紹介したが、ここからは本体のスペックなどを見ていこう。Galaxy Z Flip5はSoCにSnapdragon 8 Gen 2 for Galaxyを採用し、メモリは8GB、ストレージは256または512GBの構成だ。基本性能はフリップタイプではトップレベルに高く、多くの場面で満足に利用できる仕上がりだ。
ストレージは日本国内向けも最低構成が256GBになったことで、容量不足にあえぐ場面も少なくなりそうだ。これに加えauと直販ではより大容量の512GBも取り扱うなど、必要に応じて選べるようになった。競合のrazr 40 ultraが256GBのみなので、ここは大きな優位点となる。
いくつかゲームをはじめとしたタイトルを遊んでみたが、Snapdragon 8 Gen 2採用端末らしく多くのコンテンツで快適に遊べた。一方で冷却機構やバッテリーの関係からGalaxy S23 Ultraなどと比較するとパフォーマンスは劣る印象だ。
フリップタイプのスマートフォンでは現時点でも唯一のSnapdragon 8 Gen 2を採用。Galaxy向けにクロック周波数が高められたカスタム品だ
基本性能も高く、原神も快適に動く
展開時の画面は6.8インチでフルHD+解像度。22:9の縦長のアスペクト比を採用し、120Hzのリフレッシュレートに対応するなどこちらも高性能な仕上がりだ。Galaxy の折りたたみ端末としては初の「ティアドロップ方式」と呼ばれる方式の機構を採用。画面をぴったりと畳むことができるようになった。
画面は6.8インチ。前作より画面輝度が上がった
カラーはグラファイト、ミント、ラベンダー、クリームの4色展開だ。日本ではラベンダーがドコモ、クリームがau専売のカラーとなっている。これに加えて直販ストア限定色にグレーが用意されている。
今回はミントを使用。フレームも淡い緑色を採用し、今回のGalaxy Z Flip5シリーズの推しカラーとなるようだ。
ヒンジ部の機構は一新され、画面をピッタリと閉じれるようになった
画面の角度保持もある程度可能だ。カメラなどのアプリは、90度で保持した際に柔軟にUIが変わる
カメラについては1200万画素のメインカメラ、1200万画素の超広角カメラを備える。夜景モードなどもしっかり備え、綺麗に撮影することができる。
カメラ部は若干出っ張る形だ
何枚か撮影したが、比較的綺麗に撮影できる
生体認証としては電源ボタン一体型の指紋センサーを備える。バッテリー容量は3700mAh、急速充電に加えてワイヤレス充電にも対応だ。日本向けにはおサイフケータイに対応し、各種ICカードが利用できる。防水等級にはIP8Xとなっており、水気のある場面でも大丈夫だ。
正直惜しいところはバッテリー持ちだ。フリップタイプのスマートフォンは構造の関係から大容量のバッテリーを搭載できないため、この辺りはトレードオフとなっていた。
Galaxy Z Flip5でも3700mAhのバッテリーが採用され、年々大容量になるもののコンパクトなGalaxy S23などと比較すると容量は劣る。そのため、相対的にバッテリー持ちが悪い機種が目立つのだが、これに関してはGalaxy Z Flip5も当てはまる。高性能なプロセッサを載せている関係もあるので、できれば4000mAhくらいは欲しいと思うところだ。
一方でカバーディスプレイが大型化したこともあり、クイック返信などはカバー画面で事足りる。以前よりも画面を開く場面が少なくなるため、前作のGalaxy Z Flip4などに比べると電池持ちは良かった印象だ。
Galaxy Z Flip5は新時代のフリップタイプ決定版。カスタマイズ性も兼ねたスマートフォン
さて、Galaxy Z Flip5だが、フリップタイプの折りたたみスマートフォンの「新時代」が到来したと評価できる仕上がりだ。一言でいえば、とにかくカバーディスプレイで「できること」が格段に増えたのだ。
今までは通知や楽曲の再生画面の表示といった「スマートウォッチ」的な用途が主だったカバーディスプレイを大幅に進化させ、通常のスマートフォンに近い利便性を持ち合わせている。ブラウジングやSNS閲覧はもちろんのこと、動画視聴やゲームもある程度楽しむことができる。
どちらかといえば、Galaxy Foldのような横開きスマホに近いコンセプトで「閉じてコンパクト、開いて大画面」を形にした機種へと進化した。これは従来より指摘のあった「いちいち画面を開かなければならず、スマートではない」という点に対して、ひとつの答えを提示した。
これに加えて、新たに「着せ替え」の要素まで付与された。カバー画面が大型化すればするほど、デコレーションできる面積は小さくなる。razr 40のように意図的にカバーディスプレイを小型にして「魅せる」要素を強めに出した製品が現れるくらい、メーカーにとっては塩加減が悩ましい部分なのかもしれない。
今回の「カバーによる着せ替え」はデコレーションの要素と大画面の両立という面では非常に優れていると感じた。
これ以外にも機能面や特徴的なハードウェアで他社の製品もGalaxyとの差別化を図ってきているが、ハードウェアやOneUIをはじめとしたソフトウェアの完成度の高さ、各種アクセサリーの豊富さで敵わないのが現状だ。王者の座は未だ揺るがないと思った次第だ。
高価とはいえキャリア取り扱いで入手性も上がり、大容量モデルも登場したことで「長く使える」スマートフォンになりつつあるように感じた。現時点の完成形と評価できるGalaxy Z Flip5で折りたたみスマホの新時代を体験してほしい。