どうもこんにちは。今回はEdifier Neobuds Proとなります。本日よりMakuakeにてクラウドファンディングが開始となりまして、それにあたっての先行レビューとなります。
- いよいよ日本にも上陸の世界初ハイレゾ対応フルワイヤレスイヤホン
- ハイレゾコーデックとは?
- アクティブノイズキャンセリング、外音取り込み、低遅延モードなどの多岐な機能を搭載したNeobuds Pro
- 多彩な設定は専用アプリで可能。本体もアップデートもされるので長期利用も安心
- 惜しいところ
- まとめ 音質と機能性の両方をとりたい方におすすめの完全ワイヤレスイヤホン
いよいよ日本にも上陸の世界初ハイレゾ対応フルワイヤレスイヤホン
ワイヤレスイヤホンでハイレゾ再生。近年ではイヤホンやヘッドホンで対応機が増える中、完全ワイヤレスイヤホンの分野ではなかなか採用されなかった背景がありました。電池持ちの課題、アンテナ設計、信号のロスによる音切れや遅延…
過去に高音質のaptXなら対応していた機種もありましたが、近年のaptX Adaptivまでは軒並みうまくいかないものが多かった印象でした。HuaweiのFlypodsやXiaomi AirにOPPO Enco Xのように後述のHWAコーデックに対応していたTWSは存在していましたが、このNeobuds Proはその上のハイレゾ音源クラスの伝送のみならず再生にも対応したワイヤレスイヤホンとなりました。
日本では6月末に発売のSONY WF-1000XM4がハイレゾ相当のLDAC対応と話題ではあるが、このNeobuds Proは3月29日にはLHDC Gold認証を取得している世界初のハイレゾ対応TWSイヤホンとなっており、先行して中国市場にて販売されています。
パッケージもフラッグシップモデルということで気合が入っています。
スペック上では20~40000Hzの再生周波数帯域にも対応しているようだ。
いわゆるハイレゾ対応となる。
本体はカナル型と呼ばれる。イヤーピースも5サイズ付属するが、高さが低いものとなるため他社のものに変える際は注意が必要。ちなみに付属のイヤーピースは抗菌タイプのものになっている。
付属品には充電ケーブルやソフトポーチも付属します。
このNeobuds Proはダイナミックドライバと高音域を得意とするバランスド・アーマチュア(以下BAユニット)の2つを搭載したいわゆるハイブリット構成となっており、BAユニットは米Knowls製のものを使用しています。
接続はバイアンプ式を採用し、独立チューニングを施してるのが特徴となります。イヤホンでバイアンプ?となるのもわかりますが、こういうチューニングができるのはアンプとスピーカーがある意味一体化してるBluetoothイヤホンの強みともいえますね。そのため、このNeobuds ProはTWSイヤホンの中でもかなりの「音質」を重視したモデルとなります
ハイレゾコーデックとは?
Bluetoothといえどバージョンなどが多くあり、音声面では多くの「コーデック」という規格があります。主によく耳にするのは以下のものでしょうか。
SBC
最初期からあり、全てのBluetooth機器が対応している。伝送量の限られる規格の上で策定されたため音質はあまり良くない。
AAC
世界的にも広く普及していいるコーデック。AppleがiPodで採用してから爆発的に普及し、多くのBluetoothイヤホンが対応。
aptX
現Qualcommがライセンスを保有。
BluetoothにおいてはSBCの弱点を改善しているものの為音質は良い。
前者とはっきりわかるほど違うが、iPhoneでは諸般の事情から現在に至るまで非対応。
これが従来から広く使われていたコーデックとなります。いわゆる「ハイレゾ対応ワイヤレス」と呼ばれるものは以下のコーデックに対応となっています。
LDAC
ソニーが旗振りした初のハイレゾ相当の伝送が可能なコーデック。
24bit/96KHzまでの伝送に対応しており音質もよく、日本ではソニー商品を中心に対応機が多い。近年ではAndroid 8.0以降なら標準サポートしています。
aptX HD
aptXを発展させて高音質に振ったもの。24bit/48KHzまでの伝送に対応してはいるがハイレゾ相当の伝送は謳われていない。
aptXがAndroid 8.0から標準サポートとなったため近年対応機が増加中
LHDC
台湾のSAVITECH社が開発したもの。2018年に発表されたHUAWEIの「HWA」の基幹技術でもあり、LHDC対応=HWA対応と思ってもらってよい。
こちらも24bit/96kHzまでの伝送に対応しています。
これらハイレゾ対応のコーデックの共通点は最大900kbps前後での伝送が可能という点だ。これはBluetoothの規格上の制約で上限が1000Kbpsとなっているため、この点では横並びとなっている。
勘のいい方はお気づきだろうが、900Kbpsでハイレゾ?と言うのは正解です。これらはBluetoothの規格に収めるギリギリの容量まで圧縮されるので、厳密にはハイレゾ音源が本来持つ情報量をこれらの圧縮されたものが持っているとは言えません。なのでどの規格も「ハイレゾ相当」とあるのですが、まぁそれはそう言う事情があるのです。
複合アルゴリズムは興味深いので、参考までに興味ある方はLDACの開発者インタビューをチェックしてみると良いだろう。今回レビューするNeobuds Proは「LHDCコーデック」に対応しているという点に注目してもらいたいです。
実際に聴いてみて
今回はHWA対応のHUAWEI Mate 20Proを使用してのレビューとなります。基本的に上限の900kbpsでの接続で使用しています。
試聴曲はこちら
シンエヴァンゲリオン:劇場版より
One Last Kiss/宇多田ヒカル
同作のテーマソングとして起用されたナンバー
街中で聴いたりした方も多いと思われる一曲です。
TVアニメ マクロスΔより
GIRAFFE BLUES〜Kaname Solo Requiem〜
GIRAFFE BLUESのカナメ・バッカニア(CV:安野希世乃さん)ソロバージョンでもあり、通常のものとは異なるリアレンジのされたナンバー。
「愛しい人を想う」そんな切ない思いを歌い上げる情景に心揺さぶられるものです。
スロウリグレット/田所あずさ
このブログではおなじみ。いつものです。
正直聴いてわかったのは従来の完全ワイヤレスイヤホンの壁を打ち砕いた感があります。もちろん音の良いTWSはありましたが、このNeobuds ProはLHDCというコーデックによる音質面のアドバンテージがかなり大きいです。
有線接続と無線接続でまるで音が違う。そんなイヤホンをいくつも見てきた中で、完全ワイヤレスイヤホンでこのクラスの音が鳴れば個人的にはすごいなと思いました。
サウンドとしては現代風のドンシャリと言うのが特徴と言えるだろう。高域はBAユニットらしい音の繊細さを感じ、低域はダイナミック型特有の音圧のあるものになっている。女性ボーカルの抜けの悪さ等もなく、シャリつきも少ない点は評価できる。
One Last Kissやスロウリグレットのような楽曲だと低域の音圧がグッと入り、ボーカルや高域も過度に主張しない程度に奏でてくれる。この辺りの曲との相性は比較的良いと感じました。ただ、GIRAFFE BLUSEのピアノの音がかなり渇いたような感じに聴こえたのは惜しいところかなと。よくも悪くも今風のサウンドです。
個人的には1万円前後で販売されてる有線のハイブリッド機とも引けを取らない音に感じました。一言でまとめればわかりやすい「ハイブリッド機の音」ではある。
いままでは「完全ワイヤレスイヤホンは音質よりも利便性をとったもの」という認識でサウンドクオリティはどこか妥協しなければならないところがありました。その妥協をしなくても良いところまで来た数少ないTWSと見て個人的には良いと思います。
接続性は音質重視の設定では正直微妙なところで、さすがに最高設定では街中で途切れることもありました。基本的には街中などの移動時は接続設定はオート、自室でケーブルのしがらみ無く聴きたい時は高品質モードにすると良いでしょう。もちろん、SBC/AACコーデックにも対応してるので国内でも販売される多くのAndroidスマートフォンやiPhoneでも利用可能だ。
ただ、売り文句のひとつであるLHDC接続はできないのでサウンドクオリティは1段下がってしまうが、それでも従来の完全ワイヤレスイヤホンとは一線を画す高いサウンドクオリティなのは確かだ。
アクティブノイズキャンセリング、外音取り込み、低遅延モードなどの多岐な機能を搭載したNeobuds Pro
主に音質面をメインに話していきましたが、他にも魅力的な機能が多いNeobuds Proとイヤホン。本機種ではANC(アクティブノイズキャンセリング)を搭載し、低減度合いは-42db相当のアイソレーションとなり、なかなかの低減率を誇ります。
このスリットにマイクが収められている。
実際、ノイズキャンセリングではAirPods ProやWF1000XM3などが有名なモデルとして挙げられますが、それらの機種と比較しても大きな差がないくらいに実用できるものになっています。
低遅延モードはゲーミングモードとしての実装になります。遅延を80msまで抑えられるので、リズムゲームなどは難しいですが動画視聴などをメインならさほど気にならないレベルでの低遅延再生が可能です。イヤホン本体をダブルタップすることでこれらの設定は変えられます。また、これらの設定順序などは後述のアプリケーションにて変更が可能だ。
電池持ちはメーカー公称値で6時間(ANCオフ)となっており、充電ケースでは3回分のフル充電が可能となっています。実際に使ってみたところ、ANCオンで大体3時間半ほどの連続利用が可能でした。これでも、1日2時間の利用ならフル充電でも1週間以上は使えることになりますね。
充電ケースはType-Cでの充電となります。赤いランプがいいアクセントとなっており、サイズもコンパクトでかさばらない点は嬉しい。本体はIP54相当の防滴となる。フィットネスジムなどでも安心して利用できると言えます。
多彩な設定は専用アプリで可能。本体もアップデートもされるので長期利用も安心
ノイズキャンセリングのオンオフや接続品質の設定は専用の「Ediffer Conect」と言うアプリで使用可能です。このイヤホンを購入したら一緒にインストールしておきましょう。
このアプリからは以下のことが可能です。
・ノイズキャンセリングのオンオフ、感度設定
・イヤホンのファンクション設定
・音質、品質設定
惜しいところ
個人的に完全ワイヤレスイヤホンとしての完成度は高いのですが、惜しいところもいくつか。
LHDC対応スマホが少ない点
個人的に惜しいのはここなんですよね。LHDCに対応してるのは日本で出てる機種だとHUAWEI P20以降の全同社スマートフォン(Liteやnovaシリーズも対応 LHDCを拡張したHWA)やOPPO Find X2 Pro(OPG01)※アップデート必須
これ以外にはXiaomi Redmi Note 10 Pro、Mi Note10/10Pro、Mi Note10 Lite、Mi 10Lite 5G(XIG01)くらいしか存在しません。本当に限られます。
そのため、このNeobuds Proの真価を発揮するにはこれらのスマホとの組み合わせが不可欠となります。安いものなら2万円台とお買い得ではあったりしますが、そのためだけにスマホを買うのは...ねとなります。
対応機の一例であるXiaomi Mi10 Lite 5G XIG01
現行最強音質完全ワイヤレスイヤホンと名高いSONY WF1000XM3はLDACやLHDCといった高音質コーデックには対応しないものの、SBC/AACで圧縮された信号をウォークマンで培った「DSEE HX」でアップコンバートをかけることで高音質化を図っています。
さらには後継のWF1000XM4は多くのAndroid スマホが標準対応しつつあるLDACに対応してきたため、ハイレゾ対応としては良いライバルとなることでしょう。
実際のサウンドクオリティだけならWF1000XM3よりもNeobuds Proの方が高いのですが、この高いサウンドクオリティを発揮できる環境が少ないのが惜しいところです。この辺りはLDACにも後日アップデートで対応するとのことで、安心して使うことができるでしょう。
音圧感度が低い(能率が悪い)
これは複数ドライバを積んだワイヤレスの宿命とも言えるものだが、このNeobuds Proも例に漏れず非常に音量が取れないのです。メーカー公称値の音圧感度は91db±3dbと能率は一般に悪い部類と言われます。そのため、筆者もMate 20 Pro接続時で音量は大体8/10ほどとなっていました。
特にハイレゾ音源の場合マスタリングの関係でCD版より音量レベルを落としてるものが多く、いつもより音量を若干上げてリスニングされてる方も多いと思います。個人的にはもう少し音量が出ればな…と思うところでありました。
アプリの設定と開発者向けオプションが競合する
実のところ、Android端末では開発者向けオプションからBluetooth伝送のビットレートやクオリティの設定が可能です。ただ、アプリ内で高品質を選択したまま開発者向けオプション側でもLHDC高品質を指定すると極度に音切れが発生するような状態になります。そのため、このイヤホンを使用する場合は開発者向けオプション側でビットレートや伝送品質を操作しないことが大切となります。
まとめ 音質と機能性の両方をとりたい方におすすめの完全ワイヤレスイヤホン
率直に思ったのは「この完全ワイヤレスイヤホン。音いいな」でした。ポータブルオーディオにある程度ハマり、最後は10万円クラスのイヤホンを買った筆者から見ると、無線のイヤホン。特にワイヤレスに関しては音質は期待してはいけないものと言うのがどこかにいつもありました。
実際今持ってるWF1000MX3も機能性と通話機として使用する端末がiPhoneと言うところで選んだ節がありました。音切れのひどいTWSなんかでaptX対応なんて少数な上に通信が不安定で使えない。ましてやLDACクラスの音質なんて生かせるものが出るのはまだ先だ…なんて思ってましたが、時代が進むのは早いものです。
今後はAmazon Music HDといったハイレゾストリーミングも使用する機会が増えていくことになると思います。外でも、ケーブルのしがらみ無く、ハイレゾストリーミングを。ある種の究極系が見えてきたような感じです。
今回、レビューのNeobuds Proは中国市場では900元(約15,500円)という破格のお値段で販売されており、コスパの高さはえげつないです。また、日本ではクラウドファンディングのMakuakeにてプリセールを行っており、早いもの勝ちにはなりますが、お買い得に購入できるものとなっています。
通常価格は13,999円を予定しており、Makuakeでは最大40%割引で購入できる特典も準備されています。価格としては10,000円以下での購入が可能となっておりアフターサービスなども含めてこちらのほうが安心して購入できるかと思います。
正直、1.5万円以下でこの音なら断然アリですね。アクティブノイズキャンセリングもついてて、電池持ちも十分ですので。
対応端末が少ない問題は、昨年9月に中国のサウンド工業協会とデバイスベンダーや自動車メーカーなどとの連携をはかるAudio Quality Societyを設立しています。この中にはスマホベンダーのOPPO VIVO Xiaomiがおり、チップセットメーカーのMediaTek。さらにはLHDCコーデックを開発したSavitech。
今回のNeobuds Proの開発を行うEdifierをはじめ、DAPで日本でも存在感を出してきたHybi や大手のHIFIMANなどのオーディオ機器メーカーも含まれており、以前よりも横のつながりを強化しようというのが感じ取れます。そのため、日本でも名前をよく見るようになったOPPOやXiaomiのスマートフォンなら今後はしっかり対応してると思っています。
最後に特徴をまとめると
LHDCコーデック対応かつ、世界初のハイレゾ認定のTWSイヤホン
10mmダイナミックドライバ+BAユニットのハイブリット構成
‐42db相当のアイソレーション機能を持つアクティブノイズキャンセリング
連続6時間の長時間再生とIP54の防水機能を備えるボディ
さて、今回レビューのNeobuds Proは以下の方にお勧めできるイヤホンと思います。
・音質の良いワイヤレスイヤホンが欲しい
・音質と機能面で妥協したくない
・安価なノイズキャンセリングイヤホンが欲しい
・とりあえずイヤホンが欲しい
それでは