Xiaomiが先日に発売した新型のTWSイヤホン"Xiaomi Buds 4 Pro"
高音質と高いノイズキャンセリング性能を両立させるため、最新技術を惜しみなく投入したイヤホンを今回レビューしてみる。
- スマホ屋が本気で作ったイヤホンをチェックしてみる
- 高音質に仕上げたハードウェアとサウンドチューニング
- LDAC対応による高音質サウンドに心を打たれる
- 強力なノイズキャンセリングや外音取り込みが売りのXiaomi Buds 4 Pro
- マルチポイント接続や防水性能、イヤホンの急速充電も売りのXiaomi Buds 4 Pro
- 高音質、高性能ノイズキャンセリングを備えながらも2万円台は破格?課題は接続性か
スマホ屋が本気で作ったイヤホンをチェックしてみる
市場競争が過熱する完全左右独立型イヤホンの市場。昨年はApple AirPods Proの新型が発表されるなど、ますます注目度が高まっていくセグメントだ。
そんな中でスマホメーカーとしてお馴染みになりつつあるXiaomiが、満を持して発売したフラッグシップイヤホンがこのXiaomi Buds 4 Proになる。
箱はスマホメーカーのイヤホンでよく見かけるタイプのものだ。
カラーはスターリーゴールドとスペースブラックの2色展開だ。
今回レビューするものはスターリーゴールドだ。ケースは蓋の部分がツヤツヤの加工になっており、充電口付近は艶消しとなっている。
ケースのサイズはAirPods Pro(第2世代)のものよりやや大きいものになる。
本体の収まり悪くない。形状はいわゆるAirPods Proのようなもので、特段取り出しにくいといったこともなく使いやすいものだ。
Xiaomi Buds 4 ProではGoogle Fast Pairもサポートされている。このようにカバーを開くと瞬時に接続される。
本体は比較的小型と言える。
高音質に仕上げたハードウェアとサウンドチューニング
Xiaomi Buds 4 Proの対応コーデックとしては、SBC/AAC/LDACに対応している。LDACではハイレゾ相当となる24bit/96kHz再生も可能な一方で、低遅延が特徴のaptX系には非対応だ。
コーデック面ではトレンディなところを押さえるが、核となるオーディオ面についても妥協はない。
ドライバーユニットは11mm経のものを採用している。強力なマグネットを2つ配列しており、高い駆動力を持たせることで充実した低域を再現できるという。
肝心のサウンドチューニングについては、Xiaomiのラボで研究されていた成果を反映させたとしている。
Xiaomi Buds 4 Proでは「Xiaomi Earbuds」という専用アプリを備えている。各種音質設定、ノイズキャンセリングの調整のほか、ソフトウェアアップデートなども行える。
LDAC対応による高音質サウンドに心を打たれる
音にも妥協はないと触れ込みのXiaomi Buds 4 Proを早速聴いてみることにする。今回の試聴曲はこちら
アイドルマスター シャイニーカラーズより abyss of conflict(2023 Version)/アンティーカ
IDOLY PRIDEよりMagical Melody/TRINTYAiLE with 初音ミク
機動戦士ガンダムNTより Vigilante/澤野弘之
スロウリグレット/田所あずさ
今回の視聴環境はスマートフォンにソニーのXperia 1IVを採用し、LDACの環境で使用する。
ストリーミング環境もスマホ単独で24bit/96kHzの再生が可能で、LDACにある意味適したハードウェアを備える機種だ。
Xiaomi Buds 4 Proについては、基本的にサウンドクオリティそのものは高い仕上がりとなっている。LDAC接続ではサウンドステージの表現と細かい音の再生が得意なようだ。
高域については変なクセもなく、気持ちの良い抜けの良さをを感じる。この抜けの良さはかコーデックに大きく依存する。伸びやかな高域を体験したいのであれば、LDAC環境での利用を強くオススメする。
ボーカルの滑らかさや低域の量感、レスポンス共に高いレベルだと感じた次第だ。特段どこかの音域に極端なトゲやピークを感じることもなく、非常に耳当たりの良いサウンドとなっている。
確かに、TWSイヤホンでここまで上手く鳴らせるのであれば上出来だ。
最初にMagical Melodyから聴いてみる。冒頭の静けさの中のボーカル表現も悪くない。ガッチリした低域は、11mmダイナミックとこの手のイヤホンでは大口径のもののおかげか、重厚感のあるものだ。
サウンドステージが広い機種となるので、このような曲でも窮屈さを感じさせず、気持ちよく聴ける。
曲をabyss of conflict、Vigilanteと続けて聴いてみる。低域のレスポンスの良さ沈み込み、窮屈さを感じさせない空間表現に関しては高く評価したい。
これらの曲は低域が出てくるものになるが、低音がしっかり効きながらも解像感を持ちつつボーカルなどには被らない。
この解像感とレスポンスの良さは、強力なマグネットを採用した点が生きていると感じられる部分だ。
最後にスロウリグレットを聴いてみる。透き通るヴォーカルに対して、高域の伸びやかさ、ボーカルの艶やかさとも取れるものが伝わるサウンドであることがわかる。
サウンドステージの広さから、塞ぎ込まれたような窮屈さや過度な濃密さと表現されるものはない。
ここまで聴いてきて、サウンドクオリティはかなり高いことが分かる。スマホ屋のイヤホンとしてはかなり上位に来るサウンドだろう。
さすがに有線のイヤホンには劣るが、LDAC環境であれば有線環境に近いところまで来ている。
サウンドとして特徴的なものとして、「ディメンショナルオーディオ」というものがある。
これは空間オーディオのようなものになるが、エフェクトとして既存の音源にも上乗せできるものと考えるべきだ。
アプリ上では3Dサウンド内の「イマーシヴサウンド」という項目にある。商品サイトの名称と違うので少々わかりにくい。
こちらをオンにするとサウンドステージがさらに広がり、よりライブ感のあるサウンドに変わる。
加えて、Appleのように、ヘッドトラッキングを用いた空間オーディオにも対応している。顔の向きに合わせた空間表現も可能だ。
強力なノイズキャンセリングや外音取り込みが売りのXiaomi Buds 4 Pro
さて、音質についてはこの辺りにして、ここからはノイズキャンセリングやマイクの品質について書いてみる。
今回このイヤホンを利用して、すごいと感じた点はノイズキャンセリングの効き目だ。
筆者も多くのイヤホンを利用してきたが、ここまで効きの良い機種はそう多くない。かなり高い次元に持ってきている。
ノイズキャンセリングの感度はかなり強力な部類だ。3つのマイクを使って最大-48dbの騒音をカットすることができる。フルオートはもちろん、アダプティブモードも備える。手動である程度の調整も可能だ。
スペックの通り-48dbの騒音カットはすごいもので、電車の走行ノイズから街の喧騒。はたまた工事現場の脇というかなりの騒音下でも、音楽を再生していればほとんどわからないものであった。
初代AirPods Proを凌駕するレベルと言えるものだ。
ノイズキャンセリングや高度な外音取込みを可能にしているのは12nmプロセスで製造される独自のチップセットだ。
通話音質も良好だ。通話時は3つのマイクに加えて、独自のプロセッサを備えることで風切り音などを高度に抑制する。高度なAIアルゴリズムも用いて高音質な通話を可能にしている。
マイクは3つ搭載されている。
マルチポイント接続や防水性能、イヤホンの急速充電も売りのXiaomi Buds 4 Pro
音以外の部分もしっかり評価したい。この機種の特徴としてはIPX4相当の防滴対応にマルチポイント接続がある。マルチポイント接続は2つの端末との同時接続が可能はものだ。
例えば、プライベートと仕事用で携帯電話を分けて2台利用している場合、前者から音楽を再生し、後者の着信待ち受けを常時を行うことが可能だ。
高音質再生を売りにする機種でマルチポイント接続できるものはかなり少ないため、そのような意味でも貴重な存在となる。
また、本体は連続9時間の再生が可能となっており、ケース併用で38時間の再生が可能だ。この辺りは競合他社のものに比べると長持ちだ。
急速充電にも対応しており、イヤホン自体は30分でフル充電できる。5分間の充電でも3時間利用できる。
フィット感についてはよく見るあの形状だ。やはりこの形状は人間工学的にもよくできているのか、TWSイヤホンの中でも上位に入る装着感だ。
ケースは無接点充電も対応するものだ。
高音質、高性能ノイズキャンセリングを備えながらも2万円台は破格?課題は接続性か
さて、Xiaomi Buds 4 Proを使ってきて、確かに音質やノイズキャンセリング性能には納得の商品だ。Xiaomiのイヤホンの中では最も音が良い機種として評価できる。
ジャイロセンサーを用いた3Dオーディオ機能も備えており、AirPods Proに近い機能を備えている。
そんなXiaomi Buds 4 Proの価格は2万6800円とAirPods Proより安価なラインとしている。どちらかというとライバルはHuawei Freebuds Pro 2(2万6800円)になるだろう。
FreeBuds Pro 2は平面ドライバーを搭載した意欲的な機種だ。昨年販売され「スマホ屋」とは思えないサウンドクオリティに驚かせられた。
Xiaomi Buds 4 ProとFreeBuds Pro 2と比較すると、サウンドについては好みの域だろう。
前者はウォームなサウンドながら低域の表現に優れる。イージーリスニングにも適していると感じた。女性ヴォーカルも刺さらないので、とにかく聴きやすいものになっている。
後者はややクールと言えるもので、高域の透き通るような感覚については優れている。また、全体的な抜けの良さは間違いなくこちらになるはずだ。可能であれば試聴してチェックしてほしい。
ただ、Xiaomi Buds 4 Proの惜しいところとして「ソフトウェア」の甘さと接続性の悪さが目立った。
機種相性もあるが、レビューで使用したXpepia 1IVではLDAC接続時に「ブツブツ」と音が途切れたり、操作時にノイズが乗ることがあった。
また、売りの一つである「ディメンショナルオーディオ」機能はLDACコーデックで動作するようになっていないのか、切り替え時にノイズが入って音が途切れる現象が見られた。
これと同じことがマルチペアリング時でも確認できたので、コーデックの切り替えがうまくいかないことがありそうだ。
接続し直せば多少は改善されるが、機種によっては処理落ちのような挙動を確認できた。
公式サイトではLDACと「ディメンショナルオーディオ」は相互に排他的になると書かれている。恐らく前のコーデックに引っ張られてしまうのだろう。
ただ、ソフト周りの問題であればアップデートでいくらでも改善の余地はある。今後改善されることに期待したい。
また、専用アプリについてもAndroid端末のみの提供となっており、iPhoneでは売りの高音質を最大限に活かすことはできない。
さて、Xiaomiとしては初の日本投入となったハイエンドTWS。他機種でも使えるアプリを備え
る点など、ローカライズも含めて上々と言ったところだ。海外ではアップデートも比較的行なっているので、今後にも期待できそうだ。
スマホ屋のXiaomiが本気で作ってきたTWSイヤホン。サウンドクオリティはなかなか素晴らしいものであった。興味がある方はぜひチェックしてみてはいかがだろうか。