キャリアの下取りや中古買取店に売却したスマートフォンのうち、いくつかは海外に向けて最終的に売却される。その中継地点となる香港では、日本向けに販売されたスマートフォンも多く流れ着いている。
今回は香港で見つけた日本からやって来たであろうスマホたちをチェックしてみたい。
- XperiaにAQUOS…意外とある?香港で見つけた日本のスマホたち
- iPhoneやPixelは日本からの仕入れが安いという話も。機種によっては逆輸入も
- 香港で売られる日本のスマホ。現地での使い道はあるのか
XperiaにAQUOS…意外とある?香港で見つけた日本のスマホたち
香港は日本ではないので、現地で日本のスマートフォンを見られる機会は少ないと考えていた。海外なのでそれはそうである。
だが、そんな考えとは裏腹にとあるショップに行ったら普通に見慣れたものが売られていたのだ。これはソニーのXperia Ace IIIだ。パッケージにあるdocomoの文字からわかる通り、ドコモ版の新品となっている。価格は1045香港ドル(約1万8300円)だ。
扱っていた店舗では20台ほど在庫があると教えてくれたが、それほどまでに香港でも需要があるのかは不明だ。
別の店舗ではXperia 5IIの中古が販売されていた。お店の方曰く、日本向けのモデルでシングルSIMだから安いのだという。価格は1680香港ドル(約2万9000円)と現地の相場に比べて5〜6000円ほど安価だ。
そして意外と多かったものが、シャープのAQUOSだ。AQUOSに関しては台湾などの一部地域で展開されているものの、基本的に海外展開は行っていない。
古い機種や廉価な機種もあったが、同じくらいAQUOS R6やR7と言ったハイエンド機をよく見かけた。どちらも「ライカ」監修のカメラを備える機種で、香港でもマニアからの関心が高いのだと言う。価格についてもAQUOS R6は4〜5万円台前後、R7は8〜9万円前後で販売されていた。
また、ライカがデザイン監修を行った「Leitz Phone」も販売されており、こちらもマニアからの注目が集まるそうだ。AQUOS R7と並ぶ上の写真では、Xperia 5 IVと同じ3880香港ドル(約6万8000円)で販売されているなど、関心の高さを伺わせる。
AQUOSについてはsenseシリーズやかつてのR Compactシリーズもよく見かけた。
このほか、京セラのTORQUEやAndroid One端末、FCNTのarrows 5GやBALMUDA Phoneと言った個性的な端末も販売されていた。意外なものとしては、日本向けのLG製端末も店舗によっては評価が高かった。理由としては、日本向けの機種が比較的多く、安価に仕入れることができるといった点だ。
例えばLG V60 ThinQは発売地域がかなり限られており、値崩れが激しい韓国版が存在しないレアな機種となっている。これについては、香港に入ってくるものはほぼ全て日本版だという。
iPhoneやPixelは日本からの仕入れが安いという話も。機種によっては逆輸入も
香港で見つけたものは何もセオリーなAndroid端末だけではない。日本でも人気のiPhoneやGoogle Pixelについては、日本で仕入れたものも少なくないという。
筆者としても意外なものがGoogle Pixelだ。香港で売られているPixelは、日本からやってきたものが多いという。理由としては、日本では他国に比べて新品や中古も安価に仕入れることができること。発売日なども米国同様に早いことが挙げられる。
香港の店頭で販売されるPixelシリーズの端末。全て日本版だと言う。価格はPixel 6aで2599香港ドル(4万5500円)となっていた。
よく見るとJanコードが貼られたものも。カタカナで「シロ」と書かれているあたり間違いなさそうだ。
日本版のiPhoneも人気だ。現地ではシングルSIMでやや勝手が悪いため、香港版より若干安く購入できる。この店舗ではiPhone 13 Pro(256GB)が5900香港ドル(約10万3000円)と比較的安価だ。
変わったものとしてはドコモ版のファーウェイ P30 Proがあった。何年も置いてあるのか値段は高いままだった。
話を伺うと、こちらは中国版のソフトウェアに書き換えられており、現地ではアップデートも行われて安心して利用できると言う。
このようなある意味の逆輸入が行われる理由も、日本の方がより対象の端末を安価に仕入れられると言ったところだろう。確かに、P30 Proは米国制裁の関係で日本では投売りされたこともあり、かなり値段が落ちた時期があった。
少し前はOPPO Find X2 Proの日本版(OPG01)が、中国や香港で購入するよりも安価なため、取り寄せていたと言う。
Find X2 Proのau版にあたる「OPG01」はメモリ12GB、ストレージ512GBの構成ながら一括9万円台で販売された。これは同等構成の中国版やグローバル版に比べても4〜5万円ほど安い設定だった。日本版ながら充電ケーブル、ACアダプタも同梱されていた。
香港で売られる日本のスマホ。現地での使い道はあるのか
さて、香港という異国の地でみつけた日本のスマートフォン。予想とは裏腹に、無難なものから個性的なものまで多くのものを目にすることができた。
そうなると気になるのは使い道だ。以前はSIMロックや通信規格の関係から携帯電話として使いにくく、部品取りの側面が強かったそうだ。ここ数年はSIMロックの解除が可能となり、海外でも利用しやすくなったことで、安価に仕入れられる日本の端末が「ある種の穴場」になっていた時期もあったようだ。
特にソニーのXperiaはキャリアの一括0円販売などもあり、XZ世代では比較的新しい機種でも安価に仕入れられたという。シングルSIMでバンド面にクセがあるため、価格差も含めて香港版との棲み分けもできていたそうだ。今では日本向けの端末のSIMロックも無くなり、香港でも容易に利用できる環境になった。
これらの端末は、香港でもマニア向けに販売する側面もあるが、日本への渡航を予定している方や、「多少の不自由があっても、安価に使いたい」というユーザーに受けているようだ。
前者では渡航先の日本でFeliCaサービスを利用するため、対応した端末を安価に欲しいといった側面。後者の「不自由があっても安く利用したい」というニーズは特にiPhoneで見られるそうだ。主にシングルSIMであることが理由となる。
また、日本から仕入れる、持ち込まれる中古端末は比較的コンディションが良いと評価するお店が多かった。日本の中古端末はクオリティが高いという声は以前にも聞いていたが、改めて現地の声を聞いて確信に変わったところだ。
日本を離れ、異国の地にて、見慣れたスマートフォン見た際には驚くこともある。その際は、「ここにある理由」を考えてみると、また何か新しい発見ができるかもしれない。