AppleがiPhone向けOSの最新バージョンとなる「iOS17」を発表した。様々な新機能が追加される一方で、5.5インチiPhoneとしては最後の生き残りとなった「iPhone 8 Plus」も対象外となった。
サポート終了となるiPhone 8シリーズ
これによって後継機種の購入や検討を悩ましく思う「5.5インチiPhone難民」と呼ばれる人々が顕著になってくる。今回は「iPhone 8 Plus」からなかなか乗り換えられなかったユーザーの声にインタビューできたので、紹介していきたい。
今回取材に応じてくれたAさん。iPhone 8 Plusを5年以上利用しているユーザーだ
乗り換え先が見つからない「iPhone 8 Plus難民」に話を聞いてみる
筆者
それでは、iPhone 8 Plusを選んだ理由を教えてください。
Aさん
特にこだわりはなかったのですが、みんながiPhoneを持っていること、動画やゲームで遊ぶことが多かったので、この機種を選びました。
容量の多い256GBを「特別に0円で」ってお店で言われたので、同行した親を説得するのも楽でした(笑)
筆者
なるほど。この機種を5年以上使っていると伺っていますが、今に至るまで不満はありましたか?
Aさん
正直、今は電池が持たないのが厳しいですね。5年も使えば仕方ないかなと思っていますが、修理にもお金がかかるので、結局モバイルバッテリーで何とかしています。
それ以外の不満は少ないです。よく遊ぶゲームもとりあえず動いてくれますし、Youtubeもきれいに観れますので。
確認したらバッテリーの劣化度は「79%」と一般に寿命を迎えた状態となっていた
筆者
最近のiPhone 14や13に乗り換えられなかった理由を教えてください。
Aさん
まず、値段が高いですね。最近家電量販店の売り場を見ましたが、安いと言われたiPhone 13でも総額で12万円くらいすることに驚きました。パソコン並に高いので、これなら今のスマホが壊れるまで使おうかなと思います。
あとはiPhone 8 Plusの性能に大きな不満がなかったので「今すぐ乗り換える」という選択が出てこなかったです。
バッテリーの持ちが悪い点もモバイルバッテリーの使用でカバーできていますので、交換までは考えていなかったです。
今回のアップデート終了のニュースを見て「そろそろ変えなきゃなのかな?」と思ったくらいです(笑)
iPhone 14や13についてはお店で触った限りですが、iPhone 8 Plusよりサイズが小さいこと。指紋センサーがないことから自分には合わないと感じました。
仕事柄マスクを着用することが多いので、指紋センサーは重宝しています。新しい機種には無いのでどうしても躊躇してしまいます。
筆者
昨年は6.7インチと大画面の「iPhone 14 Plus」が新しく出ていますが、こちらは確認してみましたか?
Aさん
はい。iPhone 14 Plusも試してみましたが、やっぱり私には合わないなと。サイズ感や重さはいいのですが、角張った形なので指があたって痛かったです…
あとはよく遊ぶリズムゲームと同じ持ち方をすると「指の置き場がないこと」を実感しました。
このような持ち方をするので全画面の機種だと誤反応を誘ってしまい、Aさんには合わないようだ。
筆者
先ほども言われていた「iPhoneの値段が高い」ことを受けて、Android OSのスマートフォンは検討したりしていますか?
Aさん
AndroidスマホはiPhoneに乗り換える前に使っていたのですが、安い機種だったのか性能も低くて「ポンコツ」って言葉がぴったりでした。
今のものはそんなことないと思いますが、何を選んでいいのか分からないので選択肢には入れていないです。
筆者
なるほど。最後になりますが、メッセージ等あれば教えてください。
Aさん
正直なところ、乗り換え先がないので、できればiPhone 8 Plusをそのままに性能を今風にした機種が欲しいです。これはさすがにわがままですかね(笑)
まぁ、ゲームする時の"指の置き場"は最悪スマホケースでカバーできればいいですが、ゲーム側が対応してくれるか分からないので、やっぱり画面の上下に指を置けるこの形が1番好きですね。
ただ、最近のスマホは値段が高くなっているように感じます。Androidスマホは安いものを選ぶと昔みたいに痛い目を見るので、「長く使えるいいもの」を選ぶとどれも10万円を軽く超えてしまう。あまり関心がないのでどうしても高価に感じてしまいますね。
スマホについては、はやぽんさんの方が詳しいはずなので、何かおすすめ教えてください(笑)
筆者
そんな教えられるほど詳しくはありません(笑)
今回はありがとうございました。
インタビューで聞いて。改めて分かった「iPhone 8 Plus難民」を生み出す乗り換え先の少なさ
最後になるが、Aさんにも言われたように「おすすめ」と言える機種を書いていきたい。そうとは言ってもiPhone並みに長く使えて、価格も手頃で、画面も大きいスマートフォンとなると「iPhone」「Pixel」のほぼ2択になってしまう。
ひとつは「iPhone 14 Plus」だ。この機種は6.7インチのディスプレイを備えた「iPhone 14の大画面モデル」となる。価格は直販で12万円からとなるが、重量も203gとiPhone 8 Plusとほぼ変わらず、容量についても最大512GBが用意されている。
大画面モデルのiPhone 14 Plus(画像右)
もうひとつは「Google Pixel 7 Pro」だ。この機種は6.8インチの画面を備えるPixel 7シリーズの最上位機種となる。高性能なプロセッサや強力なカメラ性能などを備えながら、価格は直販で11万円からとこの手の機種としてはかなり安価な設定となる。
また、最長5年間のセキュリティパッチが提供されるなど安心して長く利用できる要素を備えている。SDカードは利用できないが、容量については最大512GBが用意されている。
Pixel 7 Proは長期のアップデートも保証される
それ以外ではGalaxy S23シリーズなども長期のアップデートが行われるので検討すべき製品だが、やはり価格が高価になるので購入しずらいところはある。
分割購入でお求めやすいとは言え「分割とは言えど払う金額は同じ」となる。返却プログラムなどの購入しやすい施策もあるが、こちらは「事実上のレンタル」なので割安感を感じる方は少ないだろう。
高い性能を持つGalaxy S23 Ultraだが、価格も20万円に迫るなど高価なものになっている。もうひとつ下のGalaxy S23 Plusが欲しいものだ。
さて、この5.5インチiPhoneがOSアップデート終了となることは、かつての4インチiPhoneが同様の扱いを受けたときに並ぶ衝撃的な出来事だ。指紋センサーを求め続ける声には4.7インチのiPhone SEで対応できるが、これに「大画面」と注文がつくと途端に選択肢が少なくなる。
iPhone 8 Plusに関しては実に6年間にわたってOSアップデートが行われ、今後も重大な脆弱性等が確認されれば随時アップデートが行われる。今すぐお手持ちの iPhone が利用できなくなるわけではないが、長期的に見るともう製品寿命は限界に来ていると感じる。
このように、特徴的な端末からファンが多かったものが、ラインナップ変更や撤退を理由に後継機が発売されなくなり、機種変更先が見つからない方々をしばしば「難民」と呼ぶことがある。
今回筆者が示した機種でも厳密には、iPhone 8 Plusの置き換えをすることは不可能だ。ベゼルを備えることが必須であること、16:9の画面比率や本体の薄さを求めるとなれば他に選択肢はないのだ。
この手のものとして、ソニーのXperia Z Ultraを端に発する「ファブレット難民」が有名だが、この5.5インチiPhoneもある意味替えが効かない「難民」が出てきている。
長きに渡ってiPhone 8 Plus使い続けたユーザーも発売から6年となれば、そろそろ買い換えを検討する時期だ。
筆者としては、改めて見つめ直す機会とも捉える。これを機に、いま一度自分のスマホについて、必要なところなどを拾い上げ、機種選びに対して向き合ってみてはいかがだろうか。