ファーウェイが中国にて発売したスマートフォンである「Mate 60」シリーズ。あらゆる部分が謎に包まれているが、筆者も現地にて調達してきたのでテストできる範囲で検証したい。
なお、本来であれば技適未取得の端末のモバイル通信は利用できないが、電波法第103条の6(特定無線局と通信の相手方を同じくする外国の無線局等)の解釈並びに総務省のQ&A、所管総通の問い合わせによる回答に基づき、電波を発した状態で運用することとする。詳細は次回記事にて掲載する。
中国製チップ搭載で5G対応の可能性が極めて高い。日本でも利用できる可能性が高いMate 60 Pro
ファーウェイのMate 60 Proについては中国でも多くの憶測が飛び交った。その中の大きなものとして、制裁を受けているファーウェイのスマートフォンながら、5G通信が利用できるのではないかと言うものだ。
スピードテストを行った投稿などを見ると、かなり高速で通信できているものもあり、環境によっては5G対応なのではないかと思わせるものもある。
その一方で海外で利用できるかについては、かなり疑問視されていた。筆者は日本でも中華メーカーとの親和性が高いと言われているソフトバンクの回線にて検証を行った。
場所は5Gを利用できるエリアで、国内キャリアの端末では1Gbpsほどの実行速度を確認できた。同じエリアでスピードテストを行った結果、Huawei Mate 60 Proでは下り880Mbpsの値を記録した。
記録時の写真では中国での投稿と同じく、アンテナピクトに「4G」などの表記が消えていた
この速度は海外端末の「4G通信」として考えると極めて早いものだ。日本などでは4G通信における回線高速化のため、複数の電波を束ねて利用するキャリアアグリゲーションと言う技術が使われてきた。
一方、この技術は国内キャリアで販売された端末にて最適化されており、SIMフリー端末でもここまで高速通信が可能な機種は少ない。
ましてや、海外から輸入した端末は国内キャリア向けに一切の最適化がされていない。そのため4G回線でかつ、最適化もされていない端末で1Gbps近い速度で通信できること自体異常なのだ。
そうなると、考えられる事は5G通信に対応していることになる。5G通信であれば、海外とのシステム共通化も進んでおり、日本でも対応バンド上では中国メーカーの端末が利用しやすい形となっている。
筆者は韓国でも中国メーカーのスマートフォンで5G通信ができるか確認してきたが、今回のMate 60 Proで記録した速度は、それとほとんど変わらないものとなっている。
画像は韓国にて5G通信を行ったXiaomi 13 Ultraだが、キャリアの最適化が行われないと5Gの速度はこの程度となる。
ただ、Mate 60 Proではテスト時にアンテナのピクトの表記が消えており、5Gで通信しているかの表記はなかった。接続ネットワークを識別するアプリでも、4GまたはLTEと表示される形となっていた。そのため、Mate 60 Proのソフトウェア側でかなり巧妙に偽装されている可能性が高いのだ。
5G対応については、今回のスマートフォンが中国製の部品で作られている関係で、米国の制裁を回避してたものと考える。
核となるチップセット「Kirin 9000s」は中国のSMIC 7nmプロセスで製造されていることが判明されており、この流れであれば5Gに対応していても何も驚かないものだ。
中国製チップで5G対応の可能性まで出てきてしまったスマートフォンだ
次回は、今回のテストにて、海外から持ち込まれたスマートフォンが日本でも利用できるという。これを電波法ならびに総通に問い合わせたので、確認していきたい。
今回のMate 60 Proは海外で調達、通信のため開設、利用してから日本に持ち込んだ。