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Microsoft Surface Duo レビュー 削ぎ落とした軽量2画面スマホは「未来の本」だった

 どうも。今年のベストバイスマホ!とか言ってから年末に3台ケータイが増えた筆者です。今回はその中の1台、Microsoft Surface Duoのレビューとなります。

 


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Surface Duoってなに?

 

 マイクロソフトが作り出した次世代のスマートフォンです。2019年に発表され、Galaxy Foldと双璧をなすかと思いきや…発売は大いに遅れて2020年となり、ほとんど売れずに残念な目になったスマホです。ざっくりスペックをまとめると以下のようになる。

 

SoC:Qualcomm Snapdragon 855

メモリ:6GB

ストレージ:128/256GB

 

ディスプレイ:5.6インチ1800×1350×2枚

展開時:8.1インチ2700×1800 AMORED

 

カメラ:1100万画素 F2.4

 

バッテリー:3577mA/h

 

 ちなみに発売価格は北米価格で128GBモデルが1499ドル、256GBモデルで1799ドルでした。

 

 

2画面スマホの完成系を示した究極の1台がSurface Duo

 

 Surface Duoを一言で言えば21世紀中盤。2020年代の新しい形の本です。

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サイズ、重量。何をとっても素晴らしく、まるで未来に生きてるように感じますね。

 

 折りたたみの2画面スマホながらここまでの薄型化はすごいとしか言いようがない。並みのスマホの半分。畳んだ状態でiPhoneクラスの厚みはすごいと言える。

 

 重さも250gとこの手のスマホとしてはかなり軽量だ。350gの2画面スマホにも見習ってほしかったくらいには軽量だ。

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 画面はOLEDパネルを採用。モビリティ重視のデバイスなら輝度面で優位な液晶パネルを採用してほしかったところもあるが、やはり今更並みの液晶パネルには戻れないくらい有機ELパネルはモバイルデバイスに浸透している。

 おかげであの薄さと重量を獲得しているので、こればかりは背に腹は代えられない。削りすぎないベゼルで手持ちスペースを確保するなど、とにかくフィーリングが良いと言える端末だ。


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 簡単に全画面モードにもできることからタブレットライクな使い方も可能だ。中央ヒンジ部はやや気になるが、かつてのZTE AXON Mよりかは控えめと言える。

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 横画面では下画面いっぱいにキーボードを表示しての使い方も可能だ。LG V60 ThinQやGalaxy Z Fold 2などでも可能ではあるが、どちらもソフトウェアキーボードが横長になってしまい入力はやりにくい。かつてのシグマリオンやVAIO Type Pなどに近いと言える。

 

 一方で、Surface Duoではキーピッチに多少なりの余裕があるためまだ快適と言える。背面がフルフラットなのもあって、がたつきなどもない。

 別売のSurfaceシリーズ用スライタスも利用できるので、OneNoteなどに手書きメモなどもとりやすい端末だ。

 

 その他のスペックとしてはSoCにQualcommのSnapdragon 855を採用。スペック的に過不足はないが、発表時期の兼ね合いもあって5Gには非対応となる。

 メモリは6GBとマルチタスクをアピールする機種としては少し物足りない印象だ。ストレージは128または256GBと選べるので、用途に合わせて選ぶとよいだろう。

 セルラー通信としてはnano SIM+eSIMのデュアルSIMとなる。AT&T版はnano SIMのみのシングルSIMとなるようだ。Twitterでご指摘いただいた皆さんありがとうございます。

 

ソフトウェアの完成度がいまひとつなSurface Duo

 

 正直に言えば、ソフト面の完成度はお世辞にも良いとは言えないだろう。複数アプリのアクティブ起動はできず、あくまで2つ表示できるのがこのスマホの特徴と言える。

 

 開けば8.3インチの大画面ながらマルチタスクを生かした使い方も限定的で、Galaxy Foldのようなマルチタスクメインの使い方はできない。f:id:hayaponlog:20220104213218j:image

ここまでがメーカーの考える使い方と言える。ここから別窓での表示はできない。

 

 また、ゲームには致命的に不向きで、パズルゲームのようなものならまだしも、高負荷なモノや、反応速度を求めるリズムゲームはまともに遊ぶことは現時点では無理というべきだろう。

 リズムゲームは恐らくSurface Duoの仕様の関係で無理と考えられる。各画面はそれぞれアクティブで動いてるのではなく、切り替えて動作してると考えるのが良いだろう。片方が反応してればもう片方は無効化されるような挙動だ。

 

 また、片面だけでもうまく動かないのは元々のタッチパネルの反応の悪さなどが絡んでいるとも言えるだろう。正直、ミリシタでダメなのなら他のコンテンツは絶望的だろう。

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 カメラは内側のインカメラ兼用とかなり割り切った仕様に。画面を180度回すことでリアカメラ風には使えるものの、お世辞にも2020年発売の1000ドルオーバーのスマホとして満足できるものではない。付いてるだけまし程度。QRコードリーダーだと思えばよいだろう。

 

 こんな立派なハードウェアでありながらスピーカーはモノラルです。大事な事なのでもう一回書きます。スピーカーはモノラルです。

 

 予想通りかと思いますが、電池持ちもあまり良いとは言えません。だいたい1日ギリギリ持たないくらい。いくらSnapdragon 855で5G非対応とは言えど、8.3インチの画面を持つタブレットとほぼ同義なんですから…

 ちなみに電子書籍をローカルに保存し、ビューワーとしてオフラインで使うなら3日は持ちます。

 

立ち位置とターゲットが迷子なSurface Duo

 

 発表された2019年時点ではフォルダブル端末は先進的ではあったものの、コスト面や耐久性の面で未知数とも言える状態であったため、Surface Duoの2画面というスタイルは決して時代遅れというものではなかった。

 同時期のLG V50 ThinQやROG Phoneのように拡張アタッチメントで2画面化できるスマホはあったものの、サイズや重量ではスマホというよりUMPCに近いものになったと言える。

 価格も1499ドルと普通のスマホより高価ではあったが、フォルダブル端末よりは安価であった。そのため、薄型軽量で2画面というSurface Duoはまだ需要があったように思えた。

 

 ところが発売はおおむね1年遅延して2020年となり、この年には多くのフォルダブル端末が発表された。前時代的な2画面スマホにスペック的にも1年落ちとなり、値段の割に合わない端末となってしまった感は否めない。

 

 値段に関してはマイクロソフトとしても法人向けにフォーカスを当てて展開しようとした側面が強いと言える。

 発表会でもOfficeにTeamsの同時起動や、PCライクな使い勝手の良さをアピールしており、他社のスマホのようなUXの熱烈なアピールはされていなかった。

 どちらかと言えばビジネスワーカー向けの端末で、コンシューマーをターゲットにしていなかったと捉えるのが正解だろうか。

 

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 日本でも売る気が多少はあったのかSurface Duoは技適を取得している。これは米国AT&T向けモデルでも同様だ。

 

今ならお買い得に買えるSurface Duo

 

 実はSurface Duo自体は、後継のSurface Duo 2の発表を前後してたたき売りされているのか、かなりお買得に購入できるのもポイントと言える。

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 米国アマゾンでは1月4日現在AT&T向けの128GBモデルが431ドル(約50,120円)、256GBモデルで460ドル(約53,500円)で購入可能だ。

 日本向けにも発送可能で、これに送料と消費税が別途かかる形となる。前者でざっくり5.7万円、後者で6.2万円というところだ。

 

 SIMロックがかかっているので運用には難があるが、チャットサポートからロックの解除申請ができるそうなので、deepLなどを使いながら試してみるのも良いだろう。

 SIMロックのかかってない機種もプラス100ドルほどで購入できるそうなので、その辺のやり取りが面倒な方はこちらを選ぶとよいだろう。

 

 発売時の価格を考えれば安いが、今ではこのくらいの価格が妥当と言える。定価で欲しいとは思わない端末ですね。

 

Surface Duoは失敗だったのか

 

 正直、安くなったとは言えど私自身このスマホを読者の皆様に勧めることはできません。個人的には薄型軽量の2画面スマホ。マイクロソフトがLumia 950XL以来の5年ぶりに出したハイエンドスマホとなるSurface Duo。

 Windowsで覇権を取るマイクロソフトがWindows系ではなくAndroid OSを積んできた点は、ある意味ミッシングリンクとも言えるポジションでコレクション的側面で購入しています。

 

 ソフト、ハード共に完成度もいまひとつ。後継機の登場でサポートも未知数。普段使いしにくい形状、機能もあってスマホなのか何なのか分からない端末。Surface Duoを評価するならこうなってしまう。

 

 そのため、この薄さと軽さと2画面を求めなければGalaxy Foldの初代を買った方が多くの方は幸せになれるかと思います。

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 最初に「未来の本」と書いたのは、Surface Duo自体は電子書籍などの文字媒体を読むには最適な端末だと感じたからです。マンガや写真集、雑誌に限りますが...


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 これはフィーリング的にもアナログ的な要素が残ってるからとも言えるところがあります。見開きで表示できること、物理的に開くってあの動作が何気に大切です。

 フォルダブルスマホを「5年先の当たり前になるスマホ」と書いていましたが、こちらは5年先の当たり前の本に…なれたらいいですね。

 さて、昨年に発表された後継機のSurface Duo 2が発売されたことで、ある意味プロダクト的には成功してるようにも思えるSurface Duoシリーズ

 かつてのWindows mobileやWindows Phoneとは異なり、Android OSを採用することでアプリ不足解消を図ったこと、多くのアプリベンダーを呼び込める土台を別プラットフォームから持ってきたのが大きな変化点です。これどう転ぶかが今後の展望次第でしょうか。

 

 個人的にはまだSurface Duoを失敗と決めつけるようには早い気がします。それでは。マイクロソフトが繰り出した2画面スマホのレビューでした。