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vivo X70 Pro+ レビュー V1チップ搭載で夜景撮影は敵なし。目が覚める高いカメラ性能に驚かされるスマートフォン

 どうも。今年はカメラ特化スマホが目白押し世間ではiPhone 13シリーズで湧き上がるなか、ひねくれた筆者はこんなスマホを代わりに買いました。vivo X70 Pro+です。カメラです。

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カメラ性能の強化を続けるvivoのスマホ。その最高峰がX70 Pro+

 

 近年のvivo XシリーズはファーウェイのPシリーズに対抗する「カメラ性能特化スマホ」という位置づけの展開となる。名称に「Pro+」を用いる時点で、ファーウェイのカメラ性能の高いスマホへの対抗意識がうかがえる。

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フラグシップは「Pro+」を冠する

 

 特にMicro PTZを搭載したX50 Pro以降はカメラ性能の評価が高く、筆者も春先にX60 Pro+を購入している。X60シリーズは上位モデルにドイツの光学機器メーカーZEISSのレンズとコーティングが使用されている。マニアの間でも評価の高いスマホだ。正直、日本では馴染みのないvivoのスマホ。今回のX70シリーズの大きな特徴を簡単にまとめると以下のようになる。

 

vivo V1チップ(上位モデルのみ 独自補助ISP)

全レンズ光学式手振れ補正(最上位モデルのみ)

全機種Zeiss T⋆コーティング(従来は上位モデルのみ)

全モデルでプロセッサベンダーがバラバラ

 

 特に独自のISPとなる「V1」というチップを搭載。世界的に見ても久方ぶりの外部ISP搭載スマホということもあって、プロセッサー標準のものでは難しい処理、時間のかかる処理を補完する形で撮影が可能だ。

 似たものとして、過去にソニーのXperia XZ2 Premiumに搭載された「AUBE」が記憶に新しい。こちらはデュアルカメラ使用時の光軸ズレ解消、BW成分合成による高感度、低ノイズ化、動画撮影時のフレーム単位での画像合成のために実装されていた。それと同じような形で「V1」もSoC標準ISPやGPUの補助的な処理を担当するものになる。

 

 今回はProとつくモデルがExynos 1080(X70t ProはDimensity 1200 vivo)と、モデルによってSoCが違うので、チューニングの調整なども担うものと推測される。特に低照度の撮影で力を発揮するというV1チップ。いろいろ撮り比べたいところだ。

 

 

X60のマイナーチェンジにとどまらない。ZEISSナチュラルカラーとV1チップで別物に進化したX70 Pro+

 

 カメラ性能が強化されたX70 Pro+のカメラハードウェアについてはざっくりと以下のようになる。

超広角:4800万画素(Micro PTZ) f2.2

メイン:5000万画素 f1.57

2倍望遠:1200万画素 f1.6

5倍望遠:800万画素(最大60倍ズーム) f3.4

 

 基本的には2月発売のX60t Pro+に準拠するものになっているが、T⋆コーティングはそのまま引き継ぎ、ガラスモールドレンズが採用された。また、全レンズに光学式手ぶれ補正がついた点と、V1チップの存在が従来機との違いだ。カメラ特化スマホはもう撮った写真で評価するしかありません。作例は以下の通りだ。

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印象を一言でいえば。「綺麗」と評価できる。暗がりでも白飛びが少なく、HDR 補正がかなり強烈に効いていることが分かる。良し悪しについては読者の好みに任せるが、目が覚めるような写りに仕上がっている点はスマートフォンらしい進化を遂げたものと言える。

 

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フォトスタイル「サイバーパンク」で撮影

 2倍望遠は同社のスマートフォンが得意とする画角とあって見事だ。Xシリーズではポートレート望遠と呼ばれるこの画角に力を入れており、f1.6の明るいレンズを採用してデジタルズームではなく専用のカメラを使うことで、かなりきれいに撮れるようになっている。X70 Pro+ではこのカメラなど光学式手ブレ補正も備えており、抜かりのない仕上がりだ。

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5倍望遠はまずまず。Huawei P50 ProやGalaxy S21 Ultraに比べると物足りなさは感じるが、それでも並みのスマホよりはきれいに仕上がる。

 

 

 X70 Pro+ではドイツの老舗Zeissとのコラボレーションがより強化され、「ZEISSナチュラルカラー」という処理が加わわっている。こちらの処理は中華メーカーに多い派手目で明るいものではなく、ナチュラルカラーというだけあってみた色に近い処理となっている。

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X70 Pro+ AIオートモードにて撮影

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X70 Pro+ ZEISSナチュラルカラーで撮影

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こちらはSONY Xperia 1III(Photo Pro プログラムオート)で撮影

 見ての通り、AIオートモードに比べて彩度などの面では大きく異なる絵作りとなっているのが分かる。筆者的にびっくりしたのはZEISSナチュラルカラーの色合いが、専用機のチューニングを意識したSONY Xperia 1シリーズにかなり近いものに仕上がっているのだ。X70 Pro+のほうが若干明るいかというところ。

 

 

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 ZEISSナチュラルカラーとAIオートの併用はできないものとなっているため、実質的にオートモードがふたつあるようなものだ。

 

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ポートレートモード フォトスタイル「ZEISS Planer」で撮影

 X70 Pro+ではZEISSのレンズを再現したボケを出すことができる。ライティングしたときや、意図的に光を当てるともっと分かりやすく玉ボケが出るそうだ。

 

 そして、V1チップの真価を発揮するのは夜間撮影、明暗差のある場所での撮影と言えるだろう。以下の作例が分かりやすいものだった。

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X70 Pro+ 電球の根元がしっかり出ていて白飛びせず処理されている。

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X60 Pro+ 処理は優秀だが、根本の部分は白飛びしてしまっている。



 部屋の電球を撮影した例。電球の根元の部分までしっかり解像されたうえに、周囲もくっきり写っている。ホワイトバランスはどちらも優秀だが、X70 Pro+のほうがより見た色に近いものになっている。

 

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夜景モードにてそれぞれ撮影。自然なホワイトバランス処理の優秀さと、白飛びしないようにマルチフレーム合成されていることがわかる。


 X70 Pro+では長時間露光を生かした撮影モードが充実している。フォトスタイルを変えるだけで簡単に光の軌跡を描いたりできるので、使い勝手によっては面白いだろう。

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長時間露光モード フォトスタイル「ナイトグラフィティー」カラー「サイバーパンク」

 この機能はX70シリーズでしかできないため、V1チップの恩恵を受けている部分だと思われる。

 

 フレアは恐らくレンズ面の汚れか何かだろう。高性能ゆえに定期的なレンズクリーニングが必要と言える。

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フォトスタイル「星空」にて


 X60 Pro+でも話題となった「星まで撮れる」夜景モードは今回も健在だ。夜景モードは三脚検知でだいたい明るい街中で5~12秒、暗いところで30~36秒といったところだ。手持ち撮影ならものの数秒でサクサク撮れるのも魅力だ。

 

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X70 Pro+ 夜景モードにて

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X60 Pro+ 夜景モードにて

 この二機種を比べると空の色の違いはあるが、これは設定である程度補正できる。星空撮影のフォトスタイルとしては星の軌跡をオートで撮影してくれる機能も備えるデフォルトで露光は2時間、最低30分が必要となる。

 

 

 動画撮影性能も強化された。ジンバル撮影などもそのまま備えるが、今回は目玉機能として「水平線補正モード」がある。

 

 水平線撮影モードにて撮影できるものはいたって普通だが、撮影してる本体は90度傾けても補正し続けるというものとなる。スマートフォン本体を360度回しても補正してくれるバケモノだ。

 

 

 超広角カメラに備えるMicro PTZを用いた撮影も魅力だ。ブレがほとんどない状態で撮影ができる。

 

カメラだけではない。全方位に進化したvivo X70 Pro+

 

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 前作のX60 Pro+の惜しいところとして挙げていたのが「カメラ以外はハイエンドスマホとは呼べない」という点だ。

 カメラ性能は高いが、エンタメ機能などは微妙なところで防水にも非対応だった。今回はそこに改善が入り、X70 Pro+ではハイエンドスマホと呼んでも差し支えない仕上がりとなっている。

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 画面は前モデルから少し大きくなった6.78インチに。画面解像度はWQHD+と向上しハイエンドスマホらしいものに。

 今回はサムスンのE5 AMOLEDと呼ばれるものを採用している。10億色の色表現、120Hzの高フレームレート対応と言ったところもしっかり押さえている。LTPO技術も盛り込まれAQUOS R6のような1~120Hzまでフレキシブルにリフレッシュレートを変化させることが可能だ。

 

 画面はエッジスクリーンなので持ちやすいとはいえ、大きさ的にはGalaxy S21 Ultraクラスとなるので評価は割れる。

 

X60 Pro+に引き続き、本体背面はレザーとなっている。※ブラックはガラス筐体となる。そのためこのカラーだけ重量も異なる。

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X60 Pro+比較でも本体は一回り大きくなっている。

 

 核となるプロセッサーはQualcomm Snapdragon 888+を搭載。通常のSnapdragon 888に比べてCPU/GPU性能が微増、AI処理性能が向上している。メモリも8GBまたは12GBと必要十分ながら、X70 Pro+ではストレージの最低容量が256GBとなっている。写真を撮るのが主体のスマートフォンなだけにありがたいものだ。

 

 高性能なゆえに発熱が気になるところだが、実際のところ発熱は多い。X70 Pro+では冷却機構が改善され、液冷ヒートパイプ式になったことから「フレームが極度に熱くなる」ということは少なくなっている。結果として本体全体で熱を逃がすので、熱く感じると思われる。

 

 

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フレームは金属製だ

 

 X70 Pro+では本体スピーカーもステレオスピーカーになっている。ファーウェイもP50 Proでやっと載せてくれたので、後追いながらこちらにも載ったのはうれしい限りだ。そしてIP68の防水に対応。X60 Pro+惜しいところだったので、より撮影の幅がグッと広がる。

 

 

普段使いのしにくさからお勧めできないが、カメラ性能はすばらしいX70 Pro+

 

 これに関しては前回レビューしたX60 Pro+と全く同じものが当てはまる。理由としては以下の2つになる。

 

日本語に難ありのため(ロケールはあるが、中華フォント)

VoLTE非対応のため(OSアップデートにて対応)

 

 日本語のフォントがいわゆる中華フォントなので、表示面で違和感を感じることは少なからずあるだろう。また、一部項目が中国語表記になったりしているところもある。

 

 特に後者のVoLTEがリージョンロックされてるのが致命的で、これは4G通話ができるか否かというところに関わってくる。VoLTEに完全移行したauやUQ mobileではまともに使えない。

 また、ドコモ系も5G契約となると3G回線をつかまなくなるため、基本的に現行契約ではVoLTEオンリーとなります。5G契約ではau同様にまともには使えない。

 OCNなどのMVNOを使う手もあるが、3G回線は使えなくなるアナウンスがされてることから長くは利用できないと考える。

 ちなみにソフトバンク系は問題なく使用できるが、通話は3Gオンリーとなる。楽天モバイルはデータ通信はできるが、通話はできないようだ。

 

※追記:Origin OS 3.0にアップデートすると、VoLTEが利用できるようだ。

 

それとは別にX70 Pro+で感じたことは

 

・電池持ちが悪い

・発熱がある

・一部アプリと相性が悪い

 

 上二つに関しては正直X60 Pro+比較でも悪い。モノはいいだけに惜しいのだが、これについてはV1チップを積んでるからではないか?という指摘もある。確かにカメラ使用時が一番バッテリーの消費が激しかった。

 

 発熱は体感的なものもあるが、X60 Pro+比較でも熱くなることが多い。今のところ熱落ちの挙動はしてないが、場面によってはX60 Pro+よりも不安定だった。

 

 

 アプリに関してはOrigin OSとの相性が悪いのかTwitter公式クライアントをはじめとした一部アプリがよくフリーズしたりする。筆者のX70 Pro Plusも最初は良かったものの、購入してから既に2回のOrigin OSアップデートがきており、その2回目に来たやつを適用したらTwitterが落ちるようになってしまった。

 

 Origin OSも比較的アップデートが多いもので不具合修正は早いのだが、この手のものの不具合はなかなか修正されない。他にも「アプリによっては通知がうまく来ない」「GPSのつかみが良くない」と言ったことも報告されているようだ。

 

 それでも、前述の通りのカメラ性能のもつ魅力がこの使いにくさを超えるのであれば...買っても後悔することはないでしょう。

 

 

最後に、X70 Pro+はカメラで選ぶならマストバイ、スマホで選ぶなら別を選べ

 

 vivo X70 Pro+スマホにおけるカメラ性能なら現時点ではひとつ飛びぬけたものを持っている。特に夜景モードの多様さ、ZEISSナチュラルカラーの採用で彩度高めの中華スマホチューニングとも異なる絵が出せる。

 

 V1チップを用いた高度なコンピューテショナル・フォトグラフィーを駆使した目が覚めるような美しい撮影体験、動画の手振れ補正の優秀さ、オートでもマニュアルでも遊び要素のあるとても良いスマホだ。


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 マニュアルモードもX60 Pro+より充実している。普通の人が求める範囲内ではこれ以上のものを見つけ出すのは難しい。

 

 X70 Pro+の望遠性能はやや弱いので、屋内メインならP50 Pro、屋外メインではGalaxy S21 Ultraを組み合わせるとよい。

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 vivo X70 Pro+は写真を撮るのが楽しくなるスマホ。スペックもハイエンド、画面もE5 AMOLED採用で隙が無く、ステレオスピーカーに防水機能もしっかり備える。従来と異なり妥協のないハイエンドスマホだ。

 それでいてお値段は5499元(約9.3万円)~というハイエンドながらリーズナブルなのも魅力的だ。日本への直輸入でしたらざっくり10.5万円ほどとなる。ファーウェイのP50 Proは6499元でしたから…

 

 ただ、スマホ...電話機として使うにはあまりにハードルが高い。Googleサービスの使えず5G非対応のP50 Proのほうがまだ「スマホ」としては使えるのだが、X70 Pro+はVoLTE非対応というのがあまりにも普段使いでは壁がある。

 

 また、X60 Pro+の上位互換かと言われると「完全な」ではないように感じた。サイズ感はX70 Pro+がGalaxy S21 Ultraなどの大画面機に対してX60 Pro+は一回り小さいものとなる。そのため、X60 Pro+のサイズ感は、ファーウェイのP30 ProやP50 Proに近いものとなっており、後者の方が手になじむというユーザーも多い。

 

 X60 Pro+は防水でないことがいい意味でも作用し、長時間の動画撮影ではX70 Pro+よりも優位と思うところはある。また、Origin OS周りの最適化や不具合修正も少しずつ行われてはいるものの、トータルではまだX60 Pro+よりも不安定な要素もある。

 そんなX70 Pro+はカメラとして割り切り、現時点ではコンパクトなスマホとの2台持ちがベスト。iPhone 13 miniなどのコンパクトなスマホと組み合わせるとよいでしょう。

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それでは、ファーストインプレッションでした。