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【コラム】なぜライカはLETIZ PHONE1のパートナーにシャープを選んだのか。背景にあるファーウェイとの「不仲説」とは

 どうも、今回は面白いものが出たということででいくつか

 

 

 

ライカ全面監修スマホ LEITZ PHONE 1の発表

 

 昨日発表されたこのスマホ。ライカが画質のみならずデザインやシステムUIまで監修した「世界初」という触れ込みでリリース

 

 端末としてはシャープのAQUOS R6をベースとしており、スペックはストレージ容量以外ほぼ準拠。撮れる画質も変わらないと明記されているが、デザインは全くの別物である。正直なところ、かっこよすぎて所有感をおおいに満たしてくれるスマホだ。

 

 

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 この丸みをおびたフォルム。当初1型センサーを積んだスマホのリークとして「ファーウェイのP50 Proなのでは」というリークが広まるくらいだ。

 確かに、こんなフォルムで1型センサー搭載のライカロゴのあるスマホなんていったら...ファーウェイと理解できる。今のところは日本市場、ソフトバンクでの専売となり、お値段は187,920円とアナウンスされている。

 

 

ファーウェイのスマホとライカのコラボレーション

 

 ライカコラボと言えば中国のファーウェイが記憶にあるだろう。初のコラボモデルにあたる同社のP9は発表時からライカのお墨付きもあって非常に注目度の高い機種だった。

 

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 この機種の開発秘話は発表されており、以下のエピソードは有名だ。

 

2014年夏から提携を結び、2年近い開発期間を経て生まれたのがP9であったこと

ライカの提示した基準はものすごく厳しいもので、同社基準の数倍の色表現などを求められたこと

カメラモジュールの量産品で基準を満たしたのは100個のうち10個以下だったこと

発表直前までデュアルカメラの試作を続けていたこと

 ファーウェイのP9やMate9をはじめとした2016年モデル。翌年のP10までのシックなデザインというのも特徴だ。カメラUIもライカを意識したものにデザインされていたりと所有感が満たされるものになっていた。

 それに対して当時のライカ側は「スマホを通してライカの名前を知ってほしい」「いいものを作っていけばWIN-WINの関係性となる」といったところで留めている。

 

 

スマホの新たな時代を作った機種の裏にあったファーウェイとライカの不仲説

 

夜景モード、ロスレス高倍率ズーム、AI補正

 

 現代のハイエンドスマホのカメラトレンドを作り上げたのがこのP20 Proであるが、マニアの間ではこれが「最後のライカスマホ」とも呼ばれている。

 

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 筆者としてもほぼ全て使ってきて、感覚的に以下のように感じる部分がある。

 

Mate 20 ProなどのKirin 980世代ではよりAI性能の強化がされ。過去のスマホより鮮やかではあるが「本来のライカ」の色が出なくなってきていたこと

 

ライカ規格に応える要の技術でもあったモノクロセンサーが廃止になったこと

 

P30シリーズ以降で採用された高感度重視のRYYBセンサー機は特にライカのような色味が出ないと言われたこと

 

ぺリスコープレンズは画質的にも厳しいのでは?という声があること

 

米国では販売できないので、ライカの考える名売り的にも微妙だったこと

 

 このような声はP30シリーズの発売以降、中国をはじめとした国外のコミュニティで言われていた。いわゆるファーウェイとライカは不仲という説だ。

 人によっては「P30はライカという名ばかりのありきたりなスマホだ」と評する方もいたくらいだ。

 

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 筆者も過去に多くのライカを冠するファーウェイのスマホを利用してきたが、確かに色味という面では少しずつ変化を感じる。どちらかというと、競合他社が強いシャープネスが強い作例に寄せてきた感は拭えない。

 

 実は最初に触れたLEITZ PHONE1の発表会で、このスマホの企画は2019年7月からあったと明かされている。これを踏まえて時系列を並べると以下のようになる。

 

2019年3月 ファーウェイ P30シリーズ発表

(この時には方向性の違い、制裁の可能性から見切りをつけていたと思われる)

 

2019年5月  米国のファーウェイに対する制裁強化。Googleなどが取引停止を表明

 

2019年7月  ライカとシャープが新たなスマホの企画立ち上げ(後のLEITZ PHONE 1)

 

2019年8月  米国製品の調達猶予措置期限が満了となる

(以降米国の絡むソフトウェアや半導体の供給が停止される)

2019年9月  Mate30シリーズ発表(以降Googleなし)

 

2020年3月  P40シリーズ発表

2020年11月 Mate40シリーズ発表

 

2021年5月  シャープ AQUOS R6を発表

2021年6月 P50シリーズの展開を予告

2021年6月  シャープとの共同で自社ブランドを冠するLEITZ PHONE 1の発表

 

 もちろん、ファーウェイが米国の制裁で端末の新規開発が難しくなること、ライカ自体もドイツ企業で政治情勢によっては今後の提携も難しいものが挙げられる。そこにP30シリーズのころから言われる不仲説、今回出てきたLETIZ PHONE1の企画時期…これらは綺麗に被ってくる。決して何かの偶然ではないはずだ。

 

なぜ、ライカはパートナーにシャープを選んだのだろうか。

 

 ここで出てくる疑問はなぜパートナーがシャープだったのかというところ。単純に筆者のの思うところだと

 

シャープとして一貫した写真の「色味」がないこと

(ソフトウェアチューニングが甘いと言われる一因)

自社でカメラモジュールを作れるメーカーであること

端末の設計に自由度が高いこと

シャープとしてもグローバル展開を視野に入れた際のブランドが欲しいこと

コラボモデルなどの少数生産にも柔軟であること

(ホンハイ傘下での柔軟さ、日本においてはキャリアと組んでの販路があるため)

 

 特に一貫したメーカーのカメラの色味やチューニングがない点は。P8以前のファーウェイと被るところがある。何色にも染まってないのなら、ライカチューニングで染め上げてしまえと。

 

 実際、中国系メーカーと組むなんて噂もあったが、Xiaomi、OPPO、VIVOのスマホは「打倒ファーウェイ、打倒サムスン」というところでしのぎを削った結果、すでに「自社の色味」を手にしてしまった側面がある。

 

 そのため、自社の色味と競合せず、かつ自社内にコンシューマー向けカメラ部門がないメーカーと言えばシャープくらいしかないのも事実かと。加えて、シャープ自体もスマートフォンカメラ性能の向上と、新たなブランド価値の構築は課題としていたという。実際、カメラ関係のエンジニアの募集をかけていたことが知られている。

 

  自由度の高い設計ができるがゆえに、1型センサーという、スマホに入れるには規格外品ですら形に収めてしまう点もある。コラボモデルやキャリアカスタム品の製造ノウハウ、日本では全キャリアとのパイプをもつ販路の強さも魅力的に映ったはずだ。

 

 

 まとめ

 

 

 今回ライカブランドでの登場で、日本のみならず世界的な注目度も高い機種に仕上がっている。一方ファーウェイのライカとのライセンスが「5年契約」というのが多くのメディアで触れられており、P9から数えて事実上名を冠せるのはMate 40までなのかなと感じる次第だ。

 

 5G機器にはイメージセンサーの輸入が認められない今のファーウェイにとってはかなり苦しい立ち位置だ。その上でライカのライセンスも失効し、そのライカはもう新たなパートナーを見つけて商品展開をしている。

 

 ファーウェイはライカに頼らない力をつけたのは間違いないとは思うが、ハードウェアでの制約が大きく正直なところ、harmony OSのために細々中国市場で生きていくのが今後の立ち位置になるのかなと思われる。

 

そしてもうひとつ、ライカ側からは「再出発」という意味も取れます。

 

 奇しくもLETIZ PHONE1を発表した6月17日はファーウェイがライカとコラボした初号機であるP9の日本版発売日となっている。

 

 不仲説も出るくらい方向性が合わなくなってしまったパートナーとは見切りをつけ、5年の節目に新たなパートナーと共に再出発を図った。そんな意図が見え隠れする。

 

 

個人的にはLETIZ PHONE1に期待しつつ、来週のAQUOS R6の発売を待ちたいところだ。

 

それでは

 

 

※ここに書いたのはあくまで筆者の持論であり、メーカー等からもたらされたものではありません。ご了承ください。